第52話 咲翔を……
「…………お母さんが言ってたんだけど、おばさんから返事が無いんだって」
「…………俺のせいかも」
「…………どういうこと?」
「俺、母さんにも父さんにも会ってないし、喋ってない。だからそれで…………」
「…………会いに行こ。私も会いに行きたい」
お邪魔かもしれない。けど、咲翔が行く気になってくれたら…………。
「…………分かった」
おばさん、起きてるかな…………。
「咲翔様、葵音様…………、どちらへ?」
「母さんの部屋に行きます」
「…………承知致しました」
伝統…………。確かに、重要かもしれない。けど、なんで咲翔にまで…………。
こんな家、落ち着けるわけないじゃん。
◇ ◇ ◇ ◇
三明さんは、ついて来なかった。けど、止める気も無さそうだった。
――コンコンコン
「…………母さん」
おばさん、返事ないけど大丈夫かな。
「…………開けるで。母さん…………それに、父さん、おじいちゃんまで…………」
おばさんもおじさんも、前会ったときと全然違う…………。
「咲翔…………」
おばさん、フラフラしてる。
「母さん…………ごめん。話せなくて」
「…………心配してた。三明さんに聞いても、何も教えてくれなかったから…………」
三明さんも何か知ってるのかな…………。
「…………ごめん」
「何があったのか、教えて…………」
「…………うん」
咲翔は、私に教えてくれたことを話した。途中、何回も詰まってた。その度に、私も苦しくなる。
「…………黙ってて、ごめん。けど、あっちが飲んでくれるまで、交渉するって決めた。大切なものを守りたいから。それが、俺の意思」
咲翔の意思…………。
「…………咲翔、お母さん、ウソついた。咲翔の意見を尊重したかった。けど、交渉する咲翔の身に何かあったらダメだから…………」
「…………じいちゃんも、それには反対や。別にじいちゃんに何かあるからじゃない。咲翔の身に何もあって欲しくないんや」
「…………父さんも同じや」




