第51話 覚悟
「葵音、どうすれば交渉出来るかな…………」
…………聞いてしまった。自分だけで解決出来るならしたかった。けど「協力させて」、この言葉に甘えてしまった。
「…………交渉、してくれるの?」
葵音の声は広い部屋に響かないほど、静かだった。
また、だ。声が喉に張り付いて出てこない。
「…………出来るなら、あいつになんか会いたくない。けど、会わないと」
空気が、重い。
「…………私のことは話したの?」
「…………話してない」
話せない。葵音に何か危害が加わるぐらいなら、強引にでもこっちの要求を飲ませる。
「…………じゃあさ、私のことも話そうよ。もしかしたら、それで心変わりしてくれるかもしれないじゃん」
「でも、葵音に何かあるかもしれんで…………」
俺は…………、
「葵音に何かあって欲しくない。葵音の人生が壊れるぐらいなら、俺の人生を壊す」
「そんなの、ダメ。…………一緒に、居たい」
葵音…………、
「…………本当に、言っていいのか?」
「うん、それで状況が変わるなら」
「…………分かった。話してみる」
「次からは、私も会う。咲翔の家の問題かもしれないけど、私にも関係あるから…………」
…………巻き込みたくなかった。けど、葵音がこう言ってくれてるんや。それを断る方が、良くない。
「…………ありがとう、葵音」




