第49話 接触
「咲翔様、お勉強はなされないのですか?」
最近、三明さんが部屋に来るようになった気がする。今までは、滅多に来なかったのに。
「…………する気力がない」
「そう、ですか…………では、昼食は…………」
「……食べれんかも」
「承知致しました…………」
「それと、千夏様がお会いしたいと…………」
「…………まだ、話せん」
「……承知致しました。お伝えしておきます」
まだ、誰にも話せる自信がない。母さん達は知ってるのかな…………。知ってたとしても、まだ自分の口からは、話せない。
「…………寝よ」
眠たい訳じゃない。散々、寝た。
けど、ベッドに横になりたい気分。
…………やっぱり、落ち着かない。少ししわくちゃなシーツ、小さい時に汚した小さなシミ、ベッド一つをとっても、恋しい。
本来は、帰れてるはずだった。けど、アイツのせいで…………。
◇ ◇ ◇ ◇
「…………っ、葵音様!!」
「三明さん…………。咲翔は…………?」
「咲翔様は、お部屋にいらっしゃいます」
「案内してもらってもいいですか?」
「追い返されるかもしれませんが…………」
「大丈夫です」
追い返されたっていい。とにかく、咲翔の様子を見たい。
「つかぬことをお聞きしますが…………葵音様、学校はどうなされたのですか?」
「休みました」
「…………左様でございますか」
おばさんにも会わない。使用人さん達しか居ない。
…………後で、おばさんにも会いに行こう。
「失礼いたします。咲翔様――」
「どうしたんですか?」
「…………咲翔様、寝ておられます」
「入っても良いですか?」
「大丈夫…………で、ございます」
咲翔、疲れてる顔してる…………。ベッドに座ったけど、起きない。寝たばっかりなのかな…………。
…………ほっぺた、冷たい。布団被ってないし。風邪引いちゃう。
――ガバッ
「え……?」
なんで急に肩掴んだの?もしかして、起きてる?
「葵音…………」
「起きてるの?」
「…………」
寝てるっぽい…………。
「うーん…………」
「キャッ!?」
何、この状況!?咲翔に…………腕枕されてる。
しかも、顔近いし…………。でも…………安心するかも。
…………眠たくなってきた。




