第48話 お姉ちゃん
…………咲翔、おじいちゃんの方を取るのかな。
私なんかじゃ、咲翔を支えられない。だから、私を追い出したの…………?
…………そんなことない。あの一城さんを、説得したらいいんでしょ。けど、咲翔も説得できなかった相手…………。
あれ、いつの間に駅にいたの…………?しかも、目の前に来てるし。全然、音しなかったじゃん。
――ピロン
…………咲翔かな?…………ゲームの通知。
そういえば、このゲーム、咲翔がしてたから入れたっけ。最近、全然してない。咲翔もしてるところ見たことない。
…………寒いよ、咲翔。
温めてよ…………。
◇ ◇ ◇ ◇
「おかえり、葵音。遅かったわね」
「うん…………ちょっと、勉強して帰ってた」
「そういえば、千夏さんから連絡が返ってこないんだけど、何か知らない?」
「…………分かんない」
「そう…………」
おばさんも、同じようなことになってるのかな。
だとしたら、もっとヤバいんじゃ…………。
最近、階段が2倍あるように感じる。そんなこと、あり得ないのに…………。
「……お姉ちゃん、どうしたの?」
「奈緒音…………いつの間に部屋に入ってたの?」
「居るか聞いたじゃん」
「そうだっけ…………」
そんなこと、聞かれたっけ。全然、記憶にない。
「お姉ちゃん、元気ないなら遊ぼうよ」
…………。
「遊ぼうよ〜、お姉ちゃんが――」
「うっさい!!出てって!!」
「お姉ちゃん…………」
うるさい…………。今はそんなことしてる暇ないの。
――ガチャン
「奈緒音…………」
…………私、最低なお姉ちゃんだ。
せっかく奈緒音は、元気づけようとしてくれたのに…………。それを、怒鳴って…………。
…………お姉ちゃん失格だよね。
「葵音、大丈夫?」
「お母さん…………それと、奈緒音…………」
「お姉ちゃん、大丈夫?」
「…………ごめんね、奈緒音」
「お姉ちゃん、泣いてるの?」
「うん…………ちょっと」
「葵音、何があったのか教えて?」
咲翔のこと、言っていいのかな。けど…………。
「…………咲翔ね――」
――咲翔のおじいちゃんが学長だったこと
――咲翔と喧嘩したこと
それだけしか言えなかった。咲翔が許してくれるか分からなかったから。
「そうだったの…………。それだけ?」
「…………うん。それだけ」
「そっか…………。でも、咲翔くんも喧嘩したくてしてないと思うわよ?そんな性格じゃないだろうし」
「…………そうだよね」
咲翔も、限界だったんだよ。きっと…………。
でも、そこで支えられなかった…………。
「しんどかったら、明日休んでいいからね」
「うん…………ありがとう」
嘘は付きたくないけど…………。
「お姉ちゃん、咲翔お兄ちゃんとケンカしちゃったの?」
奈緒音に心配かけちゃったな。
「…………奈緒音、咲翔には会えるからね」
「本当に…………?」
「うん、大丈夫」
自信はない。けど、奈緒音を心配させたくない。
「次、いつ会えるの?」
「それは…………分かんない。けど、いつかは…………会えるからね」
「……分かった」
…………本当に会えるのかな。




