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普通の大学教授の祖父だと思ってたのに  作者: 綿ダッコ
第4章〜崩壊〜

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第47話 お願いやから

 それから、休む日が続いた。1日1食しか食べていない。胃が空っぽの時間の方が長い。

使用人さん達とも、事務的な会話しかしていない。

母さん、父さん、おじいちゃんも部屋の前に来てくれた。

けど、喋れる状態じゃなかった。


「咲翔様、葵音様がお見えです」


 …………葵音。


「…………咲翔、大丈夫?めちゃくちゃ、散らかってるけど。ほら、この本も大事にしてたやつじゃん。カーテン、開けるよ」


「…………」


 何もする気力が起きない。片付けなんか、しなくていい。


「ねぇ、どうしちゃったの?」


「…………ダメかもしれん」


「え?」


「実はさ――」


 土曜日にあったことを話した。話したかったけど、家族には話せなかったこと。

途中、何回も詰まった。全部は話せない。

話すのが怖い。

思い出したくもない。

 葵音は静かに聞いてくれていた。表情までは…………覚えてない。


「…………そうだったんだね。でも、もしかしたら――」


「…………いや、無理やと思う」


 葵音の言いたいことは言わなくても分かる。「粘り強く交渉したらいけるかもしれない」と言ってくれるのだろう。けど、あんな風に言われたら、葵音のことを切り出すしかない。そんなことは…………できない。

あいつに会いたくもない。


「そんなの分かんないじゃん」


 分からない…………それが、怖い。下手なこと言って、失うくらいなら、潔く失いたい。


「…………諦めようかな」


「…………諦める咲翔を見たくない。協力するって言ったじゃん」


「でも…………」


「でもじゃない!!」


 …………。


「(…………出てって)」


「え…………?」


 本当は、居てほしい。けど、考えたくもない。

葵音でも、一から十までは言えん。だから、それを隠しながら作戦を立てるのは、ムリ。


「お願いやから、出てって欲しい」


「なんで、そんなこと言うの…………」


 悲しませたくない。けど、今はそんなこと考えられない。


「…………お願い」


「…………咲翔のバカっ」


 …………ごめん、葵音。

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