第42話 大問題
「……じゃあ、また明日、学校でね」
「……うん、また明日」
葵音が、朝の高級車に乗り込む。正直、俺も乗せて帰って欲しい。ここで暮らしていける自信がない。
「では咲翔様、行きましょうか」
「は、はい…………」
三明さんが、後ろに立っている。どうやら、母さんや父さんの担当では無さそうだ。
…………もし、本格的に住むことになったら知らんが。
「咲翔様にとって、葵音様はどのような関係なのですか?」
急だった。けど、自身を持って答えられる。
「幼馴染です」
それ以上は言えなかった。脳が、言うことを拒否する。大事な存在とは思っていても言えない。
「そうですか…………ご無礼なことを聞いてしまい、申し訳ありません」
「いえ、大丈夫です…………」
謝られると困る。泰斗ならそんなことで謝らない。
…………もちろん、いい意味で。
「お風呂の時間はいかがいたしましょう?夕食前か、後か。ご用意いたします」
「…………夕食前で」
「承知致しました」
年上の人に、間接的であっても命令をするのは、イヤや。慣れないどころか、無礼と思ってるせいで、罪悪感がすごくこみ上げてくる。
部屋に戻った。部屋に案内される時に預けたカバンが、ピカピカになっていた。
「あの、これって…………」
三明さんがまだ、部屋の中にいた。この機会を逃したくないと思って、聞いてみた。
「荷物は、すべて磨いております」
「え、でもこれって布ですよね…………」
「布でも、大丈夫でございます」
そこらのクリーニング屋さんよりすごい技術やぞ…………。
「それと、明日着ていかれる制服についても、シワのないようにしております」
「え、全部ですか…………?」
秋とはいえ、ほぼ冬だ。制服は全部持ってきている。
「はい、全てでございます」
「今も洗濯しているんですか…………?」
「アイロン掛けなどの全ての工程が終了しております。着替える際にお申し付けくださいませ」
この短時間で、全部したの!?
「それと、明日からの送迎についてなのですが…………」
「送迎って、朝の車でですか?」
「はい、その通りでございます」
「じゃあ……いいです」
「……かしこまりました」
あの車で学校の前までは最悪や。葵音以外は知らんのに、行けるわけ無いやろ。大問題どころの話じゃない…………。




