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普通の大学教授の祖父だと思ってたのに  作者: 綿ダッコ
第4章〜崩壊〜

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第37話 欲張り?

 …………明るい。寝てたのか。


 部屋に散らばったバックの中身、制服のベルトが腰とお腹を締め付ける。

床に座っていたからか、腰が痛い。

重い腰を上げ、部屋着に着替えて、1階に降りる。いつもとは少し違う動作だ。

リビングには、父さんとおじいちゃん。母さんの姿は無い。

けど、机にはいつも通りの朝食。おじいちゃんの健康に気を使って、改善した朝食。


「……おはよ」


「咲翔、おはよ」


「昨日は寝てたのか?」


 父さんとおじいちゃんが帰ってくる頃には、寝ていたのだろう。帰ってきたことすら気が付かなかった。


「うん、寝てた」


「そうか…………それで、選挙はどうやったんや?」


「まずまず…………葵音にも協力してもらった」


「…………咲翔は、どうしたいんや?」


 前と同じ質問。けど、確認ではない。


「…………分からん。どうしたいかも、どうすれば良いかも」


「…………」


 無言が続いた。ただ、新聞紙を捲る音と、食器と箸が擦れる音しか聞こえない。


「…………咲翔」


「…………何?」


 その音が全て止まる。


「じっくり考えたらええ。元々は、じいちゃんの責任や。だから、咲翔はどうしたいのかを自分自身で考えて欲しい。無責任に感じるかもしれん。けど、じいちゃんらが変に口出しして、後悔して欲しくないんや」


「…………分かった」


 最後の一口を食べて、食器を流し台に置く。

リビングを出るときに、おじいちゃんに話しかけようとした。けど、声が出なかった。


 …………俺は、どうしたいんや。


 分からない。葵音もおじいちゃんも大事だし、出来ることなら両立したい。体力的には十分、両立出来る。

けど、制度が阻む。

おじいちゃんを責めれば、乱暴だが解決する分にはする。

けど、この家族で居たい。


――熱心に研究に打ち込むおじいちゃん


――俺のことを第一に考えてくれてる母さんと父さん。


このままで居たい。葵音だってそうだ。


――初めて、自分たちでコンビニに行った日


――奈緒音が懐いてくれた日


――久しぶりにお泊まりした日


――これからも幼馴染で居ると宣言した日


全部、全部、大事な思い出。けど、どっちかしか取れない。

どっちも、と思うのは欲張りなのだろうか?

とにかく、どっちかを選ばないといけない。

そのためにはまず…………葵音に言うか、ぼかすかを決めないと…………。

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