第34話 公約と応援演説
次の日の放課後、出馬するための用紙を出しに行った。
「咲翔、演説と応援演説の作戦会議しよ」
「分かった」
そこにあった空き教室に入る。換気されていないせいか、少し暑い。
「咲翔は、どんな公約を出すの?」
葵音は、ノートを出す。
咲翔の名前を中心にした、マインドマップがチラッと見えた。
「公約…………目安箱の設置にしようと思う」
「他には?」
「他…………考えてない」
「本当に目安箱の設置だけでいくの?」
「うん。そのつもり」
「実は、塾が同じの先輩が居たからその人に聞いたんだけど、奇抜な公約を出した方が当選しやすいんだって」
「奇抜な公約…………目安箱も奇抜な公約じゃない?」
「え、本当に言ってる?咲翔なら、もっと出せるでしょ」
「そうやけど…………」
「応援演説にも関わるから、ぼかさずに言って」
虫がついたときの目でも、校外学習のときに助けたときの目でもない、真剣な眼差しで見つめる。
「…………これ以上の公約を出したくない」
「なんで?」
「…………必要ないから」
「え、どういうこと…………?」
「…………」
咲翔は、目を逸らした。
「…………このままだったら、応援演説で公約のこと言えないから、適当に理由考えるよ?」
「……ええよ」
「…………分かった」
いつもの帰り道、選挙のことは話題に上がらかった。
…………咲翔、本当に目安箱だけなのかな?
咲翔がそれだけで勝負するとは、考えられない。
今日は居なかったけど、他の候補者が居るかもしれないのに…………。
…………一旦、応援演説の文を考えよ。




