第32話 文化祭2
机の上を片付けていた。葵音と奈緒音が座っていた席。リハーサルでした時より、片付けやすい気がする。
「咲翔、キッチンと交代する?」
「え、別に大丈夫やけど…………」
「どうせ、俺もうすぐホールやし」
「そ、そう…………?」
キッチンとして使っている隣の教室に移動した。冷たい物が多いから、エアコンがさっきの教室より涼しい。
「あっ、咲翔こっち手伝って」
「……おっけー」
「咲翔くん、最近疲れてない?今度は全教科満点目指して寝不足とか?」
期末テストの時に隣の席だった女子に話しかけられた。何とか、平常心を保つのに必死だった。
「……まぁ、全教科満点は目指してるけど、寝不足の原因ではない」
「ふーん。もうすぐ休憩でしょ?」
「うん」
数十分後、咲翔は休憩に入っていた。
ようやく終わった…………。時間経つの、遅かった気がする。
…………今日の仕事はこれで終わりか。
咲翔は、1組の前まで来ていた。
…………あれ、いつの間に1組の前まで来てたんや?
でも、来ちゃったしな…………。
咲翔は、その場で2分ほど迷っていた。
でもなぁ…………。いや、入ってみよ。
「お、おかえりなさいませ。ご主人様」
接客担当は、大正時代のような袴を着た葵音だった。葵音に案内され、窓際の席に座った。
「……ご注文が決まりましたら、お呼びください。ご主人様…………」
…………はっず、これ。葵音は相変わらず、似合ってたし、周りはグループばっかりやし…………。
…………現代のメイドカフェらしいメニューばっかりやな。流石に、普通のメニューぐらいあるやろ…………って、ない!?
せめて、この中でも恥ずかしくないやつは…………これ、かな?
『アツアツ、ロシアンルーレットたこ焼きwithメイドと勝負!!』
普通…………では無いけど、これやったら恥ずかしさは和らぐはず…………。
「す、すみませーん」
「……ご注文はお決まりですか。ご主人様」
「……『アツアツ、ロシアンルーレットたこ焼きwithメイドと勝負!!』をください」
「……分かりました。すぐにお持ちいたします」
きっと、大丈夫。何も無い、はず…………。
「……お待たせしました。『アツアツ、ロシアンルーレットたこ焼きwithメイドと勝負!!』です。この6つの中で、1つだけワサビの入ったハズレがあります。じゃあ、さく…………ご主人様からどうぞ」
咲翔は、真ん中のたこ焼きを口へ運んだ。
「…………辛!?」
咲翔は、紙コップに入った水を飲み干した。
「……お水持ってきます!!」
葵音は、すぐに水の入ったペットボトルを運んできた。
「…………ふう」
まさか、1発目からハズレを引くとは思わんかった…………。運悪すぎやろ。
「……いってらっしゃいませ。ご主人様…………」




