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普通の大学教授の祖父だと思ってたのに  作者: 綿ダッコ
第3章〜危険信号〜

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第29話 明日だけ

 …………こんなことになるなら、しなきゃ良かった!!


 同じ頃、咲翔は高校近くの閑静な公園に来ていた。

咲翔の蹴った石が、看板に当たって乾いた音だけが、周りに響いた。


 泰斗はすぐ気付くし、葵音には誤解されるし…………。こんなことをした俺が間違いやった――



――昨日の夜


「千夏の様子見てくるわ」


 元親は、リビングの椅子から腰を上げた。


「…………答えを急ぐわけじゃないが、咲翔の気持ちはどうなんや?」


「…………葵音とは一緒に居たい。けど、おじいちゃんの気持ちも分かる。教授陣の態度を正したかったんやろ?」


「ああ、その通りや」


「だから、出来るなら両立したい」


「…………それは、無理や。じいちゃんも両立出来るならさせてやりたい。不自由を被るのは、じいちゃんだけで良い。けど、そう上手いことは出来ん」


「…………」


「けど、苦痛を減らす方法はある」


「苦痛を…………減らす?」


「もちろん、葵音ちゃんを優先するなら、してくれてええ。もし、じいちゃんのワガママに付き合ってくれるのなら、苦痛を減らすことは出来る」


「…………一応、聞きたい」


「…………葵音ちゃんだけじゃないが、徐々に距離を取るのはどうや?その期間だけでも、じいちゃんが足止めしたる」


「徐々に…………」


「そうや。特に葵音ちゃんと、一気に距離を取るのは難しいやろうから、明日一日だけでも実践してみたらどうや?」


「…………分かった。とりあえず、明日一日だけやってみる」


 徐々に距離を取る、か。たしかに合理的やけど…………。


 咲翔は、リビングの椅子から重い腰を上げ、自室に戻ろうとした。


「咲翔…………」


「母さん…………大丈夫?」


 フラフラしてるやん…………。


「うん…………咲翔こそ大丈夫?」


「俺は…………大丈夫。色々、模索してみる。おじいちゃんも葵音もどっちも大事やから」


「…………そう。ごめんね、咲翔…………。お母さんが頼りないばかりに…………」


 ギュッと抱きしめられる。安心、できる。できるけど、不安も感じる。


「母さん…………俺は大丈夫やから。ほら、立てる?」


「…………ありがとう」


 千夏をリビングのソファに座らせた咲翔は、自室に戻った。


 …………とりあえず、明日だけ。明日だけやってみて、考えよう。

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