第28話 変
…………葵音。
「咲翔、今日ずっと変じゃない?」
最寄り駅まで歩き出した。いつもの道…………な、はず。
「……そうか?」
「絶対そう。私のこと呼んでみて」
「あお…………新口」
「ほら、やっぱり。私のこと、名字呼びしてる。今まで、咲翔にされたことないのに」
「…………」
声のトーンが低い。校外学習で聞かれた時よりも更に低い声。
「…………私、夏休みのとき何かした?」
「……何もしてない」
葵音の方を見れない。見ないといけないのに…………。
「じゃあ、なんで急に名字呼びになるし、距離取るの?」
葵音は、距離を詰めた。咄嗟に避けてしまう。
「ほら、そうやって避けるじゃん。いつもならそんなことしないのに…………」
「…………言えん」
「…………もしかして、私のことキライになったの?」
葵音の目には薄い涙の膜が張っていた。咲翔は、目を見開いた。
「いや、そんなことは…………」
「絶対にそうじゃん!!夏祭りのとき、これからも幼馴染でいてくれるって言ったのに…………本当、最低!!」
「あっ、ちょっ…………」
葵音は、駅に向かって走り出した。
咲翔、私のことキライになっちゃったの…………?
あれだけ、カッコよくて、側にいてくれるって言ってたのに…………。それに、奈緒音も懐いてたのに…………。
なんで、急に距離を取るの…………?
気が付いた頃には、駅のホームに立っていた。
葵音は、カバンを地面に置いた姿勢のまま動けなかった。
なんで、なんで…………。




