第26話 決められない
…………葵音。
扉を閉めた瞬間、膝から崩れ落ちた。
交友関係をリセット、か…………。多分、威厳を保つために狭めないといけないんやろうけど…………文化祭前っていうのに、リセットすることなんか無理やって。
そもそも、それを抜きにしても幼馴染ぐらいええやんか。
たしかに、城洛大学は名門校やけど、ここまでせんでも…………。
咲翔は、ゆっくりと目を閉じた。
葵音に伝えたらどうなるんやろ…………。
必死に止めるんかな。それとも――
目から、涙が出てくる。台風のときのような大粒の涙。
葵音とは、これからも幼馴染で居ると約束した。
それをおじいちゃんのために、無下にしていいのか?
どっちを優先すれば…………。
咲翔は、スマホを取り出した。
いっそのこと、葵音に聞いてみるか?
いや、確定もしてないことに不安にさせるのは…………。
咲翔は持っていたスマホを、床に投げつけた。
◇ ◇ ◇ ◇
咲翔が目を覚ました頃には、夜中だった。
寝てた、のか…………。時間は…………3時か。
…………とりあえず、水分補給しに行こう。
リビングの電気だけ付いている。
「…………おじいちゃん?」
「咲翔…………」
咲翔は、雅史の対面に座った。
「おじいちゃん…………俺は、おじいちゃんも大事やし、葵音のことも大事。だから、どうしたらええんかな…………」
「…………千夏も言ってた通り、咲翔に決めて欲しい。黙ってたのは、じいちゃんの責任やから、辞任するならする」
それが、分からんねんやって…………。でも、俺の人生…………。
「…………分かった。自分で決める…………。おやすみ」
「おやすみ」




