第22話 ナンパ
「荷物持っとこか?」
「うん。お願い」
荷物を咲翔に預けて、トイレへ向かっていた。
「お姉ちゃん、ここ暗くない?」
「暗いけど、お姉ちゃんがいるから大丈夫だよ」
確かに、ちょっと暗すぎるかも…………。街灯付けて欲しい…………。
「なぁなぁ、お嬢ちゃんたち、一緒に回らね?」
「浴衣可愛いから、声かけちゃった」
「え?」
葵音と奈緒音は、後ろを振り向いた。そこには、2人の男性が立っていた。
「ここら辺の子っしょ?俺たちもここら辺やからさ、回ったあとも、ね?」
葵音は横にいた奈緒音を、後ろに寄せた。
もしかして、ナンパ?だとしたら、何されるか分からない…………。そもそも、なんでこんな人たちと回らないといけないの…………。絶対にヤダ。
「……イヤです」
「そんなこと言わずにさ、悪い人じゃないから」
男性らは、少し上げていた口角をさらに吊り上げた。
…………その顔は、絶対に悪い人。そんな人とは会ったことない。けど、分かる。
「……それでも、イヤです!!」
葵音は、さっきよりも少し口調を荒げた。
「いいから、いいから」
言葉選びはそのままだった。が、顔は明らかに違っていた。
咲翔、助けて…………。怖いよ…………。それに、このままじゃ、奈緒音すら守れない…………。
私と奈緒音、どうなっちゃうの…………。
「(お姉ちゃん…………)」
「(奈緒音、大丈夫だからね)」
男性らの手が伸びてくる。
助けて、助けて…………。
すると、前から微かに、足音が聞こえてきた。
…………あれは、咲翔!?でも、気付いていない?
「……やめてください!!」
葵音は、男性らの手をはたいた。
咲翔、気付いて…………!!
「こんの……!!」
男性らの手はさっきよりも、速いスピードで手を伸ばしてきた。
助けて、咲翔…………。
葵音は、何も見れなかった。
「おい」
「あ゙?」
…………もしかして。
「俺の彼女になんか用?」
「彼女?ふん、デタラメやろ」
「デタラメ?お前らに、何が分かる」
…………咲翔、怖い顔してる。けど…………安心する。
「…………ちっ、めんど」
男性らは、鳥居の方へ歩いていった。
「…………大丈夫か?」
「うん…………ありがとう。奈緒音、もう大丈夫だよ」
「うん…………」
「何もされてない?」
「掴まれそうになったけど、大丈夫」
「良かった…………」
…………いつもの咲翔だ。いつもの優しい咲翔。安心できる顔。
「……ねぇねぇ、咲翔お兄ちゃんってお姉ちゃんの彼女さんだったの?」
「「え?」」
「いやいや、さっきのは庇うためで…………」
「そ、そうだよ、奈緒音」
「ふーん…………というか、トイレ行きたい」
「あ、そうだった!!」




