第14話 懐かしい雰囲気
オープンキャンパスの次の日、葵音の家に来た。なんやかんやで、久しぶり。
――ピンポーン
「はーい。ちょっと待ってね〜」
インターホンから、ワンテンポ遅れて声が聞こえてくる。
「お待たせ。咲翔が、うちに来るのいつぶりやったっけ?」
「小6ぶりちゃうかな?」
「そんな来てなかったんだね。先に私の部屋に行っといて」
「はいはい」
葵音の部屋は…………ここか。
…………あの頃から変わってないな。変わってるとしたら、参考書が増えてるぐらいか?
小学生のときからハマったぬいぐるみがあちこちに置かれてる。
昔は机もぬいぐるみだらけだったが、今は参考書の方が目立っている。
「お待たせ。昼にはお母さんが帰ってくるから、昼ご飯買ってきてもらうね」
「悪いな」
「ううん。お母さんも、今日から来るって聞いて張り切ってた(笑)」
…………懐かしいな。この笑顔、4年前までこの部屋で見てたままや。
「……そうなんや(笑)」
咲翔は、自然に口角が上がっていた。
「この部屋も変わってないでしょ」
「変わってないな。机に参考書が増えたぐらい?」
「……そうだね。机の上だけは減ったかも」
「それ以外は、増えてるんかい(笑)」
「増えたとは言ってないよ(笑)」
そして、ローテーブルでテキストを開ける。
隣同士には座らなかった。ただ、別々の机でも、対面でもない。
距離は決して近くないが、どこか懐かしい雰囲気が流れていた。




