第13話 オープンキャンパス
「お待たせしました」
普通にしてるってことは、問題なさそうなんかな…………?
「では、こちら資料一式と特典のボールペンです。このバックも含めて持ち帰っていただいて大丈夫です。取っ手の部分に付いているものは外さないようにお願いします」
「分かりました。ありがとうございます」
「あちらに、無料でドリンクを配っていますので良かったら、ぜひ」
「ありがとうございます」
咲翔は一周見渡したあと、葵音の方へ小走りで向かった。
「ごめんごめん。遅なった」
「ううん、私もさっき終わったから…………というか、その取っ手に付いてるやつなに?」
「分からんけど、外さんといてって言われた」
葵音のやつ、というか、周りの人全員付いてない…………。
「なんでだろうね?まぁ、とりあえず回ろ?」
「うん。とりあえず、片っ端から回るか」
城洛大学の色々な場所を巡り、色々な体験をした。
――史学科、古文学科の体験授業
――各学部、学科の展示
など、オープンキャンパスで入れるところは一通り回った。
「……私、城洛大学に絶対に入る!!」
2人は、まだまだ明るい空の下、城洛大学前駅に向かっていた。
「何か学びたいことあったん?」
「うん。文学部の古文学科で学びたい」
「古文学科か。あそこの教授優しそうやったな」
「それもあるし、単純に興味が湧いた。授業も面白そうだったし」
「俺は古文学科は合わへんかな。単純に興味の方向が違うわ」
「咲翔は、日本史の起こった出来事とかの方が好きだもんね」
「そう。まぁ、『源氏物語』とかの有名どころは好きやけど」
「それにしても、咲翔のおじいちゃんってこんなスゴイところで働いてるんだね」
「俺も正直今日来るまでは、教授なんや、としか思ってなかったけど、意外とスゴイのかもしれん」
「教授なだけでもスゴイのにね」
「それもそうか…………」
「……ねぇ咲翔、勉強するのいつにする?」
「……いつでも良いけど。7月と8月後半は予定入れてないし」
「……もし迷惑じゃなかったら、私の家で大丈夫な日、毎日勉強しない?その方が、分かりやすいし」
「いいけど、葵音の方こそ大丈夫なん?」
「私も同じ時ぐらいにしか予定入れてないから、大丈夫」
「分かった。じゃあ、いつからにする?」
「……明日からでも良い?」
葵音は、咲翔のズボンのポケット付近を少し引っ張った。
「ん。いつもの時間で良い?」
「……うん」
咲翔は、葵音の方を見る。
夏のこの時間は明るいにも関わらず、葵音の顔色だけは冬の夕焼けみたいだった。




