第12話 私服……?制服……?
終業式の次の日、咲翔はいつもの場所で葵音を待っていた。
あっつ。休みの日なんやから、私服で居たいわ。
夏用とはいえ、分厚いんよな…………。
「お待たせ、咲翔」
白のワンピースに日傘を持った葵音が、向こうからやってきた。
「咲翔、なんで制服なの?私服で良かったはずだけど…………」
「え?私服って良いの…………?おじいちゃんに制服じゃないとあかんって言われてんけど…………」
「え、そうなの?確か………………ほら、ホームページにもどっちでも良いって書いてあるよ?」
「ホンマや。…………おじいちゃんに騙された?」
「騙してるかは分かんないけど…………なんでだろうね?」
「俺にもさっぱり分からん…………」
え、もしかして制服なん、俺だけ?
「着替えてきたら?」
「いや、時間無いしこのまま行くわ」
「そう?そこまで急がなくていいと思うけど…………」
「どっちにしろ、おじいちゃんにとやかく言われるやろうしな」
「あっ、そっか」
「暑いから、早く行こか」
「うん」
◇ ◇ ◇ ◇
「まもなく、城洛大学前、城洛大学前終点です。この電車は到着後――」
いつも通学に使う電車とは違う路線やから、間違えんか心配やったけど、終点で良かった…………。
にしても、広いな。
「うわぁ、ここからでも見えないくらい広いね」
「そうやな。しかも、キャンパス以外の施設も大量にあるらしいし」
おじいちゃん、こんなデカいところで働いてるんやな。今までは名前を聞いて「ふーん」としか思ってなかったけど、意外とスゴイんじゃ…………?
改札からでも、どこにあるか分かるやん。あの門が異質すぎる。
「しかも、駅チカだし…………最高な環境じゃん!!」
「確かに。というか、葵音は何学部見たいん?」
「うーん…………決まってない。とりあえず、城洛大学に合格だけはしたい。城洛大学なら、なんでも学べそう」
「そうなんかな…………?史学科しか調べてないから、他はよく分からんわ」
――ピーポーピーポー
すると、すぐの曲がり角から救急車が曲がってきて、キャンパスの隣にある、城洛大学附属病院に入っていった。
「附属病院もあるってことは、医学部もあるんかな?」
「そうみたいだよ。その他にも、パッと見ても分からない学部、学科もたくさんあった」
「本当になんでも学べそうやな…………」
――ガヤガヤ
駅から門までの道には、城洛大学が依頼したであろう警備員や大学の職員らしき人たちが立っていた。
受付だけでも、立派な小屋が建ってんぞ…………。
「次の方どうぞ〜。予約をされていたら、学校名とお名前をお願いします」
「城洛高校の杏堂咲翔です」
「杏堂咲翔さんですね………………少々お待ちください…………!!」
咲翔の受付をしていた人は、急に裏に走っていった。
え…………?受付ちゃんと出来てなかった?
これで、葵音を待たせたら申し訳ないな。
葵音は、どこにおるんや?
「予約されていたら、学校名とお名前をお願いします」
「城洛高校の新口葵音です」
「新口…………はい、こちら資料一式と特典のボールペンです。このバックも含めて持ち帰っていただいて大丈夫です」
「ありがとうございます」
「あちらに、無料でドリンクを配ってるので、ぜひ」
ドリンクまで配ってるんだ…………。
…………咲翔のところ受付の人いないけど、どうしたんだろ?




