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神薙 ~日本神話×ロボット。怪獣を救う神機の物語~(50話達成!)  作者: さく


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4話 悪意の矛先 4-1

男は、 いつも通り会社へ向かっていた。

けれど、 その足取りは重い。

会社へ近づくたび、 身体が重くなっていく気がする。


「はぁ……」

男は、 小さくため息を吐いた。

憂鬱だった。

会社へ行きたくない。

けれど、 行かなければならない。


「よし……!」

男は、 会社の前で頬を叩く。

無理やり、 自分を奮い立たせる。


そして、笑顔を作った。

自分を偽るように。




凪は、 両親へ勇斗のことを話していた。

もちろん、 本当のことは言えない。

けれど、あの怪獣事件の最中。

確かに、 あの母親は勇斗を託した。


「あの子を、 一人にはできない」

「うちで育てることって、 できないかな……?」

凪は、 拳を強く握る。


責任を感じていた。

母を奪った、せめてもの償いだった。


昨日、 澪にも言われた。

“凪のせいじゃない”

と。


それは、 凪自身も分かっている。

けれど、どうしても、 割り切れなかった。


勇斗は今、 施設へ預けられている。

怪獣事件の後、凪は、 両親と共に勇斗を託したのだった。


凪は、 自室へ戻っていた。


両親の返事は、 NOだった。

当然だ。

突然現れた赤ん坊。

しかも、 怪獣事件に巻き込まれた子供。


両親が、 責任を持てないと言うのも理解できる。

けれど、

「……くそ」

凪は、 ベッドへ倒れ込んだ。


どうしようもない。

頭では分かっている。

それでも、胸の奥に残る感情を、 凪は消化できなかった。




澪は、 神社から町を見下ろしていた。

町は、 今も復興作業に追われている。


怪獣の被害。

根の正体。

御母様。

そして、凪を、 巻き込んでしまったこと。


澪の胸の中もまた、 整理できない感情で溢れていた。

「凪には…… ああ言ったけど……」

澪は、 小さく俯く。

「気にしてるよね……」


凪の表情を思い出す。

それなのに、

“凪のせいじゃない”

なんて、

無責任だった。


澪は、 ぎゅっと膝を抱え込む。

「どうしたら…… いいの……?」

弱々しい声。


視線の先には、 傷ついたもう一体の神機。

(守り人……)


澪は、 そっと目を伏せた。

(御兄様……)


澪……。

(御兄様……?)


優しい笑顔。

逞しい背中。

いつも、 澪を守ってくれていた。


澪の言葉を、 誰よりも信じてくれた人。

そして、澪の神託を、 人々へ伝える役目を担っていた。



――轟音。

崩れる大地。

咆哮。


「ここを…… 封印せねば!」

傷だらけの神機。

片腕は砕け、 全身が傷ついている。


それでも、守り人は、 剣を掲げていた。

空へ描かれる光の紋様。


「澪……」

振り返る横顔。

「後の世は……」


光が溢れる。





雷鳴。


澪は、 ハッと顔を上げた。

「……早い」

その表情から、 血の気が引いていく。


「また…… 来るの……?」

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