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神薙 ~日本神話×ロボット。怪獣を救う神機の物語~(50話達成!)  作者: さく


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4話 悪意の矛先 4-2

男は、 仮面を被っていた。

上司への顔。

部下への顔。

顧客への顔。

いつも、 笑顔を貼り付けている。

けれど、心の中では、 ずっと大雨が降っていた。


休憩時間。

ふと、 ため息が漏れる。

「はぁ……」


突然、 胸の奥が沈んでいく。

涙が出そうになる。

けれど、 堪える。

男だから。


男は、 休憩室を出る前に笑顔を作る。

無理やり、 気合いを入れる。

そして、 扉を開けた。


そこには、嫌いな上司がいた。


「あれ……?」

いつもなら、 笑顔でやり過ごせる。

なのに。


怒りが、 抑えられない。

「俺…… どうしちゃったんだ?」


雷鳴。




凪は、 自室で雷鳴を聞いた。


その瞬間、心臓が大きく跳ねる。

血が、 一気に全身を駆け巡る感覚。

動悸が激しい。


理解してしまった。

何が起きるのか。


「来る…… のか……?」

遠くで爆発のような音が響く。

瓦礫が崩れる音。


「行かなきゃ……!」

凪は、 反射的に立ち上がろうとする。

けれど、身体が動かなかった。


「っ……」

手が震えている。

「ビビってる…… のか……?」




澪は、 遠くに現れた怪獣を見つめていた。


無数の根。

それらが絡み合い、 巨大な怪獣の姿を形作っている。


けれど、前回とは違った。

根の内側を、 水が流れている。

まるで、 血管のように。


「……っ」

怪獣の身体を巡る水が、 一箇所へ集まっていく。

次の瞬間。

圧縮された水流が、 一直線に放たれた。


轟音。


水は、 ビルの壁面を容易く貫通する。

遅れて、 建物が崩れ落ちた。


「くっ……!」

澪の身体が、 反射的に動く。

胸元へ手を伸ばす。


「ない……」

勾玉がない。

澪は、 ハッと目を見開いた。


「凪……!」

勾玉は、 凪へ渡したままだった。




凪は、 首に掛かった琥珀の勾玉を握る。

「俺に…… できるのか……?」


葛藤。

脳裏に、 あの母親の顔が浮かぶ。

自分が、 手をかけた人。


「っ……」

涙が、 止め処なく溢れてくる。

動け。

動けよ……!


その時だった。

「……凪!」

澪の声。


凪は、 反射的に涙を拭った。

澪の声が、 直接心へ響いてくる。


(ごめんなさい…… こんなこと、 背負わせて……)

凪には分かった。

澪も、 泣いている。


(でも…… お願い……)

(力を貸して?)

不思議と震えが止まっていく。

胸の奥に、 力が灯る。


(私も…… 一緒に背負うから……!)

凪は、 家を飛び出していた。


外へ出る。

遠くで、 怪獣の咆哮が響く。


凪は、 首に掛かった勾玉を握り締めた。

そして、空へ掲げる。

「来い……!」


その瞬間。

神社に立つ神機の目へ、 光が灯った。

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