20話 神話の再来 20-1
「神話の再来…。」
凪は大穴から現れる大量の怪獣から目が離せなかった。
神話時代。
多くの怪獣が現れては人間を蹂躙していった。
地下からの根がない。
根からの供給を必要としない。
完全に独立した怪獣。
つまり。
"純粋種"
それが日本に進軍していく。
「マズイ!」
真・神機が地面を削り取りながら、馬乗りの神機・炎から離脱する。
そして、地面を手で突き、大勢を立て直す。
その反動で飛び上がった。
視界に豪の武尊が飛んできているのが目に入る。
「豪さん!」
豪の武尊は損傷していた。
先程までの怪獣の群れと戦い抜いたのであろう。
「状況は?」
豪が地上を見る。
「これは…!」
地上には夥しい程の怪獣。
「世界の終わりか…?」
豪は独りごちる。
「あれは純粋種だそうです。
ミズホノメ様が産んだ。
人間を必要としない。」
凪は説明する。
「純粋種…?ミズホノメ様…?」
豪には何が何だかわからない。
神機・炎が飛び上がってくる。
「そうだ、人間。
御母様の人間への恨みの権化だ。」
「ミズホノメ様はそんなこと望んではいない!」
凪が強く言い返す。
ミズホノメ様の記憶。
ミズホノメ様の願い。
凪は実際に体験した。
凪はそれを受け取った。
だから。
「凪!お前に何が分かる?
御母様の苦しみが!」
火雷神が吠える。
「そんなこと…!」
凪の言葉を遮って、豪が叫ぶ。
「バカやろう!
言い合ってる場合じゃねぇ!」
武尊のバーニアが火を吹く。
「あれをなんとかしないと!」
武尊が怪獣に向かう。
真・神機がそれに続く。
「もう遅い…。
弟たちは止められない。」
火雷神は悲しい表情で真・神機と武尊を見つめた。
武尊が落下しつつ、空中からライフルを撃ち込む。
ターゲットを狙い、次々と撃ち込んでいく。
命中した怪獣は、咆哮を上げる。
夥しく蠢く怪獣の目が武尊に向く。
純粋種の腕から無数の根が伸びる。
一斉に武尊へ襲いかかった。
夥しい程の根。
それが武尊に迫る。
真・神機が柄を握る。
急降下で武尊の目に出る。
居合。
飛んできた根を斬り刻む。
斬り刻まれた根は崩れ落ちていった。
そのまま、地上に降り立つ真・神機。
「はああ!」
真・神機は怪獣を袈裟斬りに斬りつける。
次々と剣を振る。
武尊は真・神機を援護する。
ライフルをマシンガンモードに切り替える。
そして、連射し根を撃ち落としていった。
しかし、数は減らない。
一体倒せば、また一体。 二体倒せば、その奥からさらに現れる。
それどころか、純粋種は近隣へと散開し、街を蹂躙していった。
大都市。
そこに夥しい数の怪獣が迫る。
怪獣が現れるようになってから、日本政府は各地に色々な兵器を配備した。
戦闘機。
戦車。
戦艦。
迎撃用ミサイル。
使わないほうが良い。
そう思いつつも、配備した。
遂にその時が来てしまった。
軍服の男が指令を出す。
「怪獣を一歩も入れるんじゃありませんよ。」
無理だとは思っていた。
あの怪獣の数。
今の部隊では抑え込めないだろう。
(武尊の量産化が間に合っていれば…。)
そう思う。
しかし、量産化が間に合ったところでとも思う。
皆に厳しい指令をださないといけない。
軍服の男は心を鬼にする。
「迎撃してください!」
モニターが映る。
戦闘機が怪獣に向かう。
戦車が撃つ。
戦艦や迎撃システムがミサイルを放つ。
怪獣の群れに幾重の爆発を確認した。
煙が晴れる。
爆炎の中から、黒い影がゆっくりと姿を現す。
怪獣の侵攻は止まらなかった。
各地で爆炎が確認できる。
モニターに小ウインドウでそれを知らせてくる。
「軍が動いた…。」
豪はその状況に絶望する。
どちらを向いても戦場。
本当に地獄絵図だった。
豪は舌打ちする。
「このままじゃ日本は…!」
「豪さん!」
凪の声で顔を上げる豪。
「行って下さい!
ここは俺に任せて。」
真・神機は怪獣を斬り伏せる。
「しかし…。」
武尊はマシンガンを撃ち続ける。
そのまま豪は迷う。
「大丈夫。
豪さん…人間に希望を見せるんだ。」
真・神機はサムズアップをする。
「すまん…!」
武尊は大都市に向かい、飛んでいった。
凪は我ながら、臭いことを言ったと自嘲する。
そして、気持ちを入れ替える。
「澪ちゃん…。
何で黙ってるの?」
凪は後ろにいる澪に語りかける。
凪は実は分かっている。
澪は何も言わない。
澪も凪が言いたいことを理解していた。
「考えてることは一緒みたいだね…。」
真・神機は怪獣を斬り伏せていく。
凪の顔には笑み。
「御兄様の気持ちが分かった気がするよ。」
凪がゆっくりと言葉を紡ぐ。
「ダメよ。
それは私の役割。」
澪が凪を見据える。
「二人の方が力を出せる。」
澪に笑いかける。
一瞬の静寂が二人の間に流れる。
「分かったわ。」
澪も笑顔を見せる。
「行きましょう。」
澪が決意に満ちた顔になる。
「うん!」
凪は元気よく返事する。
しかし、内心は穏やかでなかった。
真・神機は飛び上がる。
空中で天衣が光をおびる。
「何をする気だ?」
火雷神は真・神機の突然の行動に理解ができなかった。
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