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神薙 ~日本神話×ロボット。怪獣を救う神機の物語~(50話達成!)  作者: さく


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18話 弟君 18-1

居合。

真・神機の草薙剣が若雷神を捉えようとした。

その瞬間――


雷鳴。


二号機怪獣の肩に雷が落ちる。

「まだ死なせるわけにはいかんでな。」

老人のような土雷神が杖で若雷神を引き寄せていた。


「行くぞ。」

土雷神が杖に引っ掛けた若雷神と帰ろうとする。


「まだやれる!」

若雷神が駄々をこねる。


「斬られそうになって、何を言っている。」

土雷神は呆れた目で若雷神を見る。


「それはちょっとよそ見しちゃったからで…!」

雷鳴。

土雷神と若雷神は消えていた。


「雷神…。」

凪は澪を見る。

澪は八雷神の復活を確信した。


二号機から根が崩れ落ちていく。

そこには腕のない二号機が残されていた。




豪は武尊から降りる。

そこに待つのは、茜とレイ。

流石に疲れが見える。


「長い一日だったな。」

豪は二人を労う。

今朝のパレードが遠い日のように感じる。


もうすぐ日が落ちる。


豪は夕陽に照らされた二号機を見る。

少し憂鬱になる。

「明日は、また忙しくなるな…。」


今日あったことの報告書。

今回で分かったこともある。

それをまとめないといけない。


茜が豪の背中を叩く。

「私たちもいますから!」

レイの腕をとり、自慢気に言う。


レイは不満気だ。

しかし、やらないといけないことは理解している。


基地は半壊。

二号機も半壊。


武尊が無事なことが唯一の救いか。

そう思っていると。


突然、背後でバーニアの噴射音が響いた。

「あ!待て!」


真・神機は飛び立った。

「あいつ!

逃げたな…!」


豪は肩を落としつつ、苦笑いをした。

茜が豪とレイと肩を組む。

そして、基地に向かって歩き出した。




基地の中にも、安堵の雰囲気が流れる。

喜ぶことはできない。

なので、歓喜の声はない。

その代わりに各所から安堵の息が漏れる。


軍服の男は真っ直ぐ武尊を見据える。

問題は山積みだと考える。


怪獣は強い。

もっと、隊員の練度を上げなければならない。

そして、人員も。


その横で凛も安堵の息を漏らす。

とりあえず、勝った。

茜の勇姿を誇らしく思う。


しかし、凛には考えなければいけないことがある。

「私はどうなるんでしょうか?」


種に支配されていたとは言え、

パレードの妨害。

二号機の奪取。

基地の破壊。


罪のオンパレードだ。


軍服の男は前を見据えたまま答える。

「まずはあなたの調査ですね。」

横目で凛を見る。


種の侵食者で完全な生存者。

今までとは違い、記憶を保持している。


凛は俯く。

「そうですよね…。」

自分は研究対象として過ごすのだと察する。


軍服の男は前を向く。

「その後は…。」


凛は耳を塞ぎたくなる。

聞きたくない。


「軍に戻って来なさい。

軍には沢山のパイロットが必要ですから。」

軍服の男は凛に笑いかける。


凛は目を見開いた。

信じられなかった。

やがて、張り詰めていた表情がゆっくりとほどける。


凛も笑顔が戻る。

これから、調査に尋問などで大変だろう。

しかし、茜の背中を追う。


そして、あの時の約束。

二人で日本を守る。

凛はゆっくり目を閉じる。

その言葉を胸に刻んだ。




土雷神は雷神たちのところへ帰った。

そして、杖に引っ掛けた若雷神を解放する。


「土が来なくても、僕だけでやれたし!」

若雷神は頬を膨らませて拗ねる。

鋭い眼光の土雷神。


身体を縮める若雷神。

「分かったよぉ…。」

蛇に睨まれた蛙のようになる。


大雷神が言う。

「種の存在を知られた。

このままでは、御母様に満足して頂けぬ。」


若雷神は慌てて大雷神に縋る。

「そんな!

僕…御母様に嫌われちゃう…。」

泣きそうな顔の若雷神。


大雷神は若雷神のことを気にせず立ち上がる。

「神機も脅威。

だが、新たに現れたやつも脅威。」


大雷神は息を吐く。

「新たに現れたやつはこれから増える。

儂らも考えなければならぬな…。」


「火はどこにいる?」

大雷神は誰ともしれず聞く。

誰も行き場所を知らない。


「探し出せ!

総力戦で行くぞ!」

六雷神は散っていった。




次の日の朝


凪は家に帰り、泥のように寝たが疲れが取れてない様子だ。

ストレッチをしながら、神社への階段を登る。


昨日は大変だった。

楽しいイベントだと思っていたのに、あの事件。


そして。


種。

あれが人間を怪獣にするもの。

あの種がミズホノメとどう関係あるのか?


それを澪と話そうと思っていた。

けれど、昨日はもう遅かった。

だから、とりあえず、帰ることになった。


澪も整理したいことがあったのだろう。

だけど、凪はそれであまり寝られなかった。


「ふぁ…。」

あくびをする凪。

景色が開けてきた。


いつもの神社。

そこに澪がいた。

「おはよう!」


元気よく挨拶する。

澪は凪に気づかない。


明後日の方を見て、驚きの顔を浮かべている。

「なに?」

凪もそちらに顔を向ける。


そこには一人の青年がいた。

「あ…!」


澪が走り出す。

そして、抱きついた。

「焔…!」




森。

木々が鬱蒼と茂っている。


そこに人の10倍はあろうかと思われる大岩。

地面に食い込むように置かれている。


その前に立つ一人の男。

ゆっくりと大岩に手を当てる。

「御母様…。」


燃える神社。

燃える御母様。

燃える澪。


男の頬に涙が伝う。

その涙が炎に変わった。

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