17話 ライバルとの因縁 17-2
「ごめんなさい!」
凛はその言葉に目を見開く。
(茜はそういう奴だったな…。)
あの時も…。
凛は発表の時のことを思い出す。
茜が笑顔で凛に抱きつく。
皆が茜を祝福する。
凛が突き放す。
「ごめん…。」
茜が寂しそうに言った。
(あの時、祝福したかった。
心から嬉しかった。)
凛は俯く。
(でも、嫉妬した。
私は…。)
また、思い出す。
二号機を茜とともに見つめる。
「量産機に乗れるように頑張ろうね!」
凛が茜に向かって言う。
茜は凛をまっすぐ見据える。
「うん!
二人で人を守るの楽しみ!」
「私たちで日本を守るんだ。」
固く握手する二人。
(私は二号機を取られたのが悔しかったんじゃない。)
凛はコクピットの上に立つ茜を見る。
(私は…。
私は茜の隣にいられなかったことが悔しかった…。)
凛は震える手をゆっくりと上げる。
コクピットの上では、茜も迷わずその手へ自分の手を伸ばしていた。
「つまんない。」
そんな声が聞こえた。
「何?」
茜が辺りを見渡す。
雷鳴。
コクピットの中に雷が落ちる。
若雷神が凛を跨ぐようにコクピットの中に現れる。
そして、顔を上げて茜を見る。
ニヤリと不気味に嗤った若雷神はしゃがむ。
凛に顔を近づけていく。
「つまんないよ。
君の怒りはそんなもん?」
凛の胸に若雷神が指を添える。
雷撃。
「いやああああああ!」
電気の痛みじゃない。
悪意が増幅されていく。
凛の胸にある種から繋がった根が悪意を流し込んでいく。
根が不気味に脈動する。
「やめて!」
茜が銃を取り出し、構える。
そのまま、茜を見上げて嗤う若雷神。
「撃ったら、当たっちゃうよ?」
若雷神が凛に向く。
今、撃てば凛に当たる。
「茜…。」
凛の声が聞こえた。
「私…あなたを恨んでた…。」
悪意に耐える。
脈動する根から悪意が流れ込んでいく。
「抑えられない…。
茜…ここ…。」
凛は胸を見る。
「撃って…。」
「何言ってるの!
撃てるわけないでしょ!」
茜は若雷神に銃を構えたまま叫ぶ。
若雷神が口角を上げる。
そして、出力を上げる。
根が強く脈動する。
「いやああああああ!」
(私が私じゃなくなる…。
これだけは言っておかないと…。)
凛は茜を見る。
「私…今日…会場に来た理由…。」
冷や汗を流しながら言う。
「あなたの勇士を…見に来たの…。」
涙を流す。
「あなたを…皆みたいに祝福したくて…。」
手を伸ばしていく。
「あの日のこと…謝りたくて…。」
凛の手から力が抜けた。
そして、瞳から光が消えかける。
「ごめんなさい…。」
若雷神が満足気に嗤った。
茜は何が起こっているのか分からなかった。
どんな状況か。
しかし、茜は分かっていることがある。
(凛は諦めかけてる。
でも、凛は強い子だ!)
私たちで日本を守る。
「諦めるな!」
茜が叫ぶ。
凛が目を開ける。
「二人で日本を守るって約束したじゃん。」
茜が銃を下ろす。
「その約束忘れちゃった?」
凛の目に光が戻ってくる。
「私との約束も諦めちゃうの?」
脈動する根が止まる。
「なにこれ?」
若雷神は困惑する。
そして、雷撃を放ち続ける。
「一緒に日本を守るんじゃないの?」
凛が無意識に手を差し伸べる。
「追いついてきなさいよ!
さあ!」
茜も手を差し伸べる。
凛が茜の手を掴む。
あの時の握手が思い出される。
茜が凛を引き上げる。
凛は若雷神をすり抜け二号機から出る。
「え?なんで?」
若雷神が空を見上げる。
「豪さん!」
凪はが叫ぶ。
それを瞬時に理解する豪。
「おう!」
武尊が茜と凛を掴んで引き上げる。
真・神機は繋がった根を断ち切った。
凛の背中から根と共に種が落ちていく。
「茜…。」
武尊の手の中で凛は茜の掴んだ手を見る。
「ありがとう…。」
武尊は基地に飛ぶ。
風の音で何も聞こえない。
しかし、茜には聞こえた気がした。
「約束忘れない。」
茜は強く凛を抱きしめた。
「つまんない…。つまんない…。つまんない…!」
若雷神は落ちてきた種を掴む。
「これだけの悪意があれば!」
その種を二号機のコクピットに埋め込む。
コクピットから根が吹き上がる。
その根は不気味に蠢き、地面に刺さる。
そして、二号機を立ち上がらせた。
コクピットに、もう凛の姿はない。
残っているのは、根と悪意だけだった。
若雷神が二号機の肩に乗る。
「行け!僕のおもちゃ」
二号機怪獣が咆哮を上げ、真・神機へ駆け出した。
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