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神薙 ~日本神話×ロボット。怪獣を救う神機の物語~(50話達成!)  作者: さく


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2話 母の想い 2-2

澪は焦っていた。

御母様を救いたい。

その想いだけで、 神機へ乗った。

けれど…、身体が動かない。


あの時の記憶が邪魔をする。

燃え盛る炎。

崩れ落ちる社。

伸びてくる無数の根。

あの日の恐怖が、 澪の身体を縛りつけていた。


「私に…… できるの……?」

震える声。

その間にも、 怪獣は迫る。

黒い根を蠢かせながら、 巨大な影が、 神機の目前まで迫っていた。




凪は呆然としていた。

町では、 怪獣が暴れている。

澪は、 巨大な“何か”に乗り、 空へ飛び出していった。


(何が…… どうなってるんだ?)

こんなの、 アニメの中の話だ。

現実じゃない。


それに。

凪は、 あんな顔の澪を見たことがなかった。

子供の頃、一緒に遊んでいた時も、澪はいつだって、 優しく笑っていた。

よく、 三人で遊んだ。


「……っ」

凪は強く首を振る。

今は、 そんなことを考えている場合じゃない。


「澪ちゃん……」

顔を上げる。

そこには、 巨人と怪獣が対峙している姿があった。





澪は、 巨人と共に怪獣へ立ち向かっていた。

恐怖。

圧倒的な恐怖。

あれは、 御母様を呑み込んだ根。

あの日、 すべてを奪ったもの。


「私が…… 助ける……!」

澪は震える心を、 必死に押さえ込む。


「待ってて……!」

その言葉と同時に、 巨人が怪獣へ飛び込んだ。

巨人の両腕が、 怪獣の身体を押し止める。


「御母様!!」

叫ぶ。

けれど、その叫びは 届かない。

怪獣は歩みを止めない。


道路が砕ける。

巨人の足が、 コンクリートを削りながら押し込まれていく。


「っ……!」

力が足りない。


「私じゃ…… ダメなの……?」

澪は歯を食いしばる。

それでも必死に、 怪獣の侵攻を止め続けていた。




凪は、 その光景を見ていた。

押されている巨人。

圧倒的な、 力不足。

怪獣は歩みを止めず、 町を蹂躙していく。


「っ……!」

凪は、 神社の石段を駆け下りた。


「俺に…… 何ができる……?」

自問する。

答えなんて、 出るはずがない。

普通の人間だ。

戦えるわけがない。


それでも。

「でも……!」

凪の中には、 もう“行く”という選択肢しか残っていなかった。




「ぐっ……!」

巨人が、 怪獣から伸びた根に吹き飛ばされる。

ビルを薙ぎ倒しながら、 地面へ叩きつけられた。


凄まじい衝撃。

視界が揺れる。

クラクラする。

目が霞む。


それでも、 澪は立ち上がった。

「御母様……」


巨人が再び、 怪獣へ飛びかかる。

両腕で押さえ込み、 その腹部へ拳を叩き込む。

壊すためじゃない。

その中心にいる“御母様”を、 探し出すように。


その瞬間。

流れ込んでくる、知らない記憶。


暗い部屋。

疲れ切った女。

泣く赤子。


「人……?」

澪の瞳が揺れる。

「お母さん…… と、子供……?」


違う。

「御母様じゃ…… ない……?」




凪が戦場へ駆けつけた、 その瞬間だった。

「うわぁっ!?」

巨人が、 怪獣の根に吹き飛ばされる。


轟音と共に巨大な身体が、 凪のすぐ近くへ落下した。

「あぶねぇ……!」


土煙を上げ、崩れる瓦礫。

横たわった巨人は、 動かない。


「澪ちゃん……!」

凪は、 巨大な身体を必死に登っていく。

目指すのは、 澪が吸い込まれていった胸部にある琥珀色の勾玉。

凪は拳で、 それを叩いた。


「澪ちゃん!!」

呼びかけるけれど、 返事はない。


気絶してるのか……?

凪は焦って、辺りを見渡し、入れるところを探す。

だが、 ハッチらしきものは存在しない。


「確か、 澪ちゃんは……」

吸い込まれるように、 中へ入っていった。


「どうする……?」




澪は、 頭から血を流しながら倒れていた。


「……うっ」

ゆっくり目を開く。

巨人の視界の中に、 凪の姿が映った。


「……何で……?」

次の瞬間。

怪獣の根が、 凪へ迫る。


「っ!」

澪は咄嗟に、 巨人の腕を動かした。

轟音と共に巨人の腕に、 根が何度も叩きつけられる。


「ぐっ……!」

激しい衝撃。

限界が近い。

「このままじゃ……!」


澪は、 凪を巨人の内部へ引き込んだ。

突然、 地面が消える感覚。

「うわっ!?」

凪の身体が、 巨人の内部へ転がり込む。


「いってぇ……」

顔を上げる。

そこには、 血を流す澪がいた。

「澪ちゃん!」

凪は咄嗟に、 澪を抱き起こす。


「何で…… 来ちゃったの……?」

弱々しい声。

「当たり前だろ!!」

凪が叫ぶ。


その瞬間。

怪獣の攻撃が、 再び巨人を揺らした。

内部が激しく震える。


「くっ……!」

怪獣の猛攻は、 止まらない。


「どうすればいい……?」

凪は、 澪へ問いかける。

その瞳には、 迷いよりも強い決意が宿っていた。

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