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神薙 ~日本神話×ロボット。怪獣を救う神機の物語~(50話達成!)  作者: さく


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16話 武尊 16-1

武尊はライフルで怪獣の根の鞭を受け止める。

豪は落としたカートリッジを見る。

「くっ…!」


隙を見る。

「ここだ…!」

武尊は身を翻し鞭を躱す。

そして、カートリッジに飛ぶ。


「掴め!」

カートリッジを掴んだ武尊は後方に飛ぶ。

そして、カートリッジをつける。


地上でオペレーターをしている茜がモニターを見る。

アクティブ。

「ライフルいけます!」

茜が豪に叫ぶ。


「分かってる!」

武尊はライフルを構える。

照準をあわせる。

トリガーを引く。


轟音。

ライフルの反動が武尊の腕を震わせる。

実弾は根の鞭を貫き、爆ぜるように吹き飛ばした。


「よし!」

そして、次々と鞭を撃ち落としていく。


怪獣がよろめく。

怪獣の咆哮。


「どうだ!」

豪は怪獣を見据えて叫んだ。




「よし!」

「いいぞ!」

司令室がざわめく。

凪は豪の勇士をモニターで見る。


「凄い…。」

澪と顔を見合わせる。


「そうでしょう。

私共の武尊はあなたの神機にも劣らないでしょう。」

軍服の男が凪に向かう。


「確かに強いです。」

凪は頷く。

だが、それだけではない。

豪さんだからこそ、あそこまで動かせる。


「ほう?

認めるのですか。」

驚いた顔で凪を見る。


凪は軍服の男の真意が分からない。

「はい!戦う仲間が出来て嬉しいです。」

モニターを見ながら、豪の戦いに興奮する。


「ふん…。」

(損得ではなく、本気でそう思っているのか…?)

軍服の男もモニターに目を移した。




怪獣の咆哮。

鞭を撃ち落とされ続けた怪獣は怒る。

そして、根が蠢き始める。


「何だ!?」

怪獣の背から根の鞭が複数現れる。

そして、無差別に攻撃し始める。


地上のバギーでモニターしているレイと茜にも鞭攻撃が来る。

「くっ…!」

レイが急いで、バギーを運転し攻撃を避ける。


「大丈夫か!?」

豪も攻撃を避ける。

そして、二人の心配で叫ぶ。


「大丈夫です。」

茜が戦況を確認しつつ、言う。

「マシンガンモードを推奨します!」

茜はバギーの揺れに耐えつつ言う。


「了解!」

豪はライフルモードから武器選択。

マシンガンモードにする。

武尊はライフルモードからマシンガンモードに変形させる。


武尊の銃口が火を噴く。

連続する銃声が会場に響き渡る。

降り注ぐ弾丸が、根の鞭を次々と撃ち砕いていく。




豪が状況判断をして戦っている。

しかも、チームで。

それに目を輝かせる凪。


軍服の男はそれを横目で見て指示を出す。

「サーモグラフィーモードに切り替えなさい!」


司令室のモニターの一つが怪獣を捉えている。

それがサーモグラフィーモードに切り替わる。


凪もモニターを見る。

「なに?」


怪獣がサーモグラフィーでスキャンされていく。

「あ!」

怪獣の中に人がいるのが分かる。


怪獣の体温。

根の温度と人間の体温では違いがある。

それを使った人間の特定方法。


凪は感心する。

(人間の技術すげぇ!)


軍服の男が命令する。

「武尊にデータを譲渡!

人間を…。」


「引き出しなさい!」

凪はその言葉に耳を疑った。




バギーのモニターにサーモグラフィーのデータがくる。

「隊長!怪獣の中心に人がいます!」


武尊は根を撃ち落とし続ける。

その間に、武尊のモニターに映し出されたサーモグラフィーを見る。

「了解!」


(しかし、この猛攻撃じゃ近づけないな…。)

豪は戦況分析をする。


撃ち落としても、撃ち落としても再生する根。

それを対処しつつ、懐に入る。

「さあ…。どうする?」


「俺たちが注意を引きます!」

レイの言葉が聞こえる。


「茜!」

レイが茜に目配せする。

そして、バギーを運転する。


「了解!」

茜がバギーに装備されたマシンガンに手をかける。

スイッチを押す。

マシンガンが連続で火を吹いた。


「お前ら…!」

豪の胸が熱くなる。


武尊はライフルを背部ラックへ戻す。

腰部から神機を模したソードを引き抜く。

刀身が陽光を受けて輝いた。




「ダメだ!」

凪の声が司令室に響く。

「人間を引き出すだけじゃ…!」


「あなたのスタイルは知っている。」

軍服の男が凪の言葉を遮って話す。


「怪獣の中の人間を説得する。」

モニターをまっすぐ見つめる。

「どうやってそうしているのかは分からないが…。」


軍服の男は一息つく。

「我々には説得している時間もなければ、その術もない。」


凪に向かう軍服の男。

「しかし、人間を取り出せば怪獣が消滅していることは分かっている。」


鋭い眼光で凪を見る。

「なら、私たちは私たちのやり方でやる。」


「違う!それでは解決にならない!」

凪の言葉を手で制する軍服の男。


凪は怪獣から人間を無理矢理、引き剥がすことの心配をしていた。

澪が凪の裾を掴む。

澪も同じ考えのようだった。




豪の耳にも司令室のやりとりが聞こえていた。

(神機のパイロットすまん…!)

息を吐く。

(お前の言ってることは分かる。

だが、やるしかないんだ…!)


バギーのマシンガンで一瞬、怪獣の気がそれた。

「今だ!」

豪はペダルを一気に踏み込む。

バーニアが火を噴いて怪獣に突撃する。


幾つかの鞭が武尊を襲う。

それを腕に内蔵されたバルカンで撃ち落とす。

回避をしながら、バルカンを撃ち込んでいく。


怪獣の懐に入る。


「斬る!」

一閃。


怪獣の腹を袈裟斬りにする。

腹に穴が開いた。


怪獣が咆哮を上げる。


武尊は根が腹を修復する前に手を突っ込む。

サーモグラフィーモニターで人間との距離を図る。

「ここだ!」


武尊が人間を掴む。

人間を潰さない様にプログラムされている。

そして、人間を引き出していく。


根が千切れる。

「ぎゃああああああああ!」

女の悲鳴が響く。


武尊には聞こえない。

武尊は人間を引き抜いた。


茜はマシンガンを怪獣の腹に叩き込む。

それに呼応するように、武尊も離れながら、バルカンを叩き込む。


爆散。


根が灰のように崩れ落ちる。

会場に静寂が訪れる。

そして、大歓声が湧き起こる。


「やったぁー!」

「武尊だ!」

「勝ったぞ!」


その歓声に応えるように手を上げる武尊。




凪は武尊の手を映すモニターを見つめる。

女の身体へ、黒い根が静かに吸い込まれていく。


「…。」

澪も気付いていた。

二人だけが、その光景を見つめていた。


司令室は歓声に包まれる。

誰一人、その異変には気付いていなかった。

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