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神薙 ~日本神話×ロボット。怪獣を救う神機の物語~(50話達成!)  作者: さく


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15話 代償 15-2

ーー2ヶ月後


凪は始めてのことで緊張していた。

会場に行ってみると、そこには大勢の人が来ていた。

詰めかけた群衆は、人機・武尊のお披露目を焦れるような思いで待っていた。


しかし、凪の緊張はそこではない。

凪は参加用紙を見る。

そして、溜め息をつく。


「大丈夫かなぁ…。」

凪の心配。

それは。


『神機の搭乗者』


名前も住所も教えていない。

だから、どこの誰かも分かっていない。

それは分かる。


しかし、こう書かれてしまうと。

「バレるよな…。」


顔を隠して天衣をまとえば目立つ。

顔を出せば、参加用紙を確認された瞬間に正体が分かる。

参加しないことも考えた。

だが、それで徹底的に調べられるのも避けたかった。


(居場所もわかってて、顔も見られたのに何でバレてないんだろう?

泳がされてるのか?)

という疑問もある。


どんどん不安になってくる。

澪が優しく背中に手を添える。

「私たちも調査ってことにしよう?」


「うん。」

少し気が晴れた。

でも、終わるまではこの緊張は解けないなと思った。

そして、天衣で口元を隠した。




豪も緊張していた。

今日が武尊の初披露目。

その操縦を任されたのだから当然だ。


パイロットスーツに身を包む。


ある程度、リハビリが済んだ。

その後、リハビリを兼ねて武尊の操縦訓練をしろと命令が下った。

鬼かと思った。


豪も溜め息をつく。

そこに二人のパイロットスーツを着た人物が入ってくる。

二人は豪に敬礼をする。


「武尊の出撃準備に入って下さい!」

この二人は、パイロット候補生だ。

今、武尊の量産計画も進行している。

その量産機の搭乗に二人は志願した。


武尊二号機、三号機の開発も始まっていた。

完成した時に備え、豪には二人を育成する任務も与えられていた。

つまり、豪の部下ということになる。


「出撃準備は完了しています!」

茜が腹から声を出す。

「了解。」

豪はその声に驚きつつ、返事する。

レイは静かに起立している。


豪はヘルメットを手に持つ。

「行くか…!」

豪は自分に気合を入れた。




凪は目立たないように、木陰からパレードのプログラムが進んでいくのを見ていた。

手には、屋台の焼きそば。


「軍のパレードなのに、屋台を出すんだ。」

疑問に思う凪。

「親しみやすさ…とか?」

凪の疑問に考えてみる澪。


「そうかも…!」

凪は頷き、焼きそばを食べる。


「お前も人間なんだな。」

突然、声をかけられて咳き込む凪。

澪が慌てて背中を叩く。


凪は急いで、天衣を口に巻く。

振り返ると豪がいた。

「大丈夫かよ。」


豪が大笑いする。

パイロットスーツを着て、ヘルメットを持つ豪を見る。

「豪さんこそ。もう大丈夫なのか?」

凪は心配していた。


あの怪我から短期間での復帰。

あり得ないとも思っていた。


「まあな。

でも、大丈夫だ。」

凪の心配を払拭させるように肩を叩く豪。


ホッと胸をなで下ろす。

ここまで本当に心配していたからだ。


次に気になるのは、豪の後ろにいる二人。

「コイツらは俺の部下だ。」

二人を紹介する。


茜が一歩前に出て敬礼する。

「武尊二号機のパイロット候補生です!

神機のパイロットとお聞きしています!

お会いできて、光栄です!」

大きい声で自己紹介する茜。


(やめて!)

凪は心の中で叫び、止めようとする。

(身を潜めてるのに…!)


そう思いつつ、周りを見渡す。

人々は武尊が出てくるのを待っていて、気付いていないようだ。

凪はホッと胸をなで下ろす。


もう一人の男も一歩前に出て敬礼をする。

「三号機のパイロットです。」

それだけ言うと、後ろに下がった。


「寡黙何だ。でも、どっちも熱いやつなんだ。」

豪が言う。


(あれ?どこかで…?)

凪は疑問に思った。

その疑問はすぐに解消される。


「紙持って行かせただろ?」

豪の紙というのは参加用紙だろう。


「あ…あの時の!」

湖で会った男。

しかし、あの時とキャラクターが違うと思う。


「じゃあ、俺は武尊のとこに行く。

パレード楽しめよ!」

豪は凪の肩を叩く。


遠ざかる豪は片手を上げる。

茜は元気よく敬礼し、レイは小さく会釈した。

三人は武尊の待つ格納庫へ向かっていった。




豪はコクピットに入り、息を吐く。

完成した武尊の雄姿を見せなければならない。

未完成だったとはいえ、世間的には負けたロボットだ。

それを払拭しないといけない。


茜がコクピットに顔を覗かせる。

緊張した様子の豪に言う。

「隊長なら大丈夫です!」


にこやかにしながら

「私見てました!

あの試作機で怪獣に食らいついて…。」

怪獣を殴るジェスチャーをする茜。


「ありがとう茜。」

その言葉に茜は照れた。

次にレイが顔を覗かせる。


「ハッチを閉めます。」

出撃の時間だ。

茜がレイに何かを言っている。


豪は自分の頬を叩く。

「出るぞ!」

二人は武尊から離れ、ハッチを閉める。


「上手くやれ…!豪。」

豪は操縦桿を強く握る。


「出るぞ!」

ペダルを踏み込んだ。


武尊のカメラアイが蒼く輝く。

重厚な駆動音が格納に響いた。

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