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神薙 ~日本神話×ロボット。怪獣を救う神機の物語~(50話達成!)  作者: さく


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15話 代償 15-1

結果的に命を落としたものはいなかった。

だけど、人を傷つけたことは大きい。

そのことを心に刻み、凪の手を取る。


男もこれからどうすれば、怪我させた人達にどう償えるのか分からない。

しかし、考える。

できる限り。


それで重い刑になっても受け入れるつもりだ。

それまで償う。

(それが神機の男との約束だ)


男は真・神機の手から降りると警察のところに行く。

腕には手錠。

男がゆっくりと振り返る。


真・神機を見上げる。

その表情は変わらない。

それでも男には、不思議と優しく微笑んでいるように見えた。


胸の琥珀の勾玉が淡く輝く。

天衣をマフラーのようにまとった凪が、神機の胸元から静かに降り立つ。

口元の天衣が靡く。


そして、男と目を合わせる。

男と凪はしばらく見つめ合う。

そして、男はパトカーに乗せられた。


「届いたかな……?」

澪が後ろから凪の背中に手を添える。

「うん…。きっと。」


パトカーは走り去っていった。




豪はテレビで真・神機の勝利を見ていた。

「よし!」

ガッツポーズをする。


しかし。

「いてて…。」

傷口が開くかと思った。

でも、それほど嬉しかった。


仲間がかたきを討ってくれた。

そんな気分だ。


「負けてられねぇ…!」

豪はリハビリを再開する。


研究員から聞いた話では、試作機の改修が最終段階に入ったらしい。

何故かは知らないが、強度も良くなったと聞く。


これで対等に戦える。

進化はお前だけじゃないぜ…!

テレビの真・神機を見る

そう思いつつ、豪は真っ直ぐ前を見据えた。




真・神機は湖に降り立つ。

もうここが基地みたいになっている。

「神機を休ませてあげよう。」


自動的に湖に入っていく真・神機。

傷を修復していく。


湖に足をつける二人。

「今回は色々あったね…。」

少し疲れた様子で澪が言う。


「うん…。そうだね。」

背伸びをする凪。

そのまま後ろに寝転ぶ。


「あんなことがあったんだね…。」

天を見つめ、思いを馳せる。


御兄様のこと。

神機のこと。

雷神のこと。

御母様のこと。


神話に起きた出来事。

御母様の苦悩。

そして、神機の中に眠る御母様の残滓。


受け入れて、それでどうしたらいいのかは分からない。

けど、御母様の気持ちを受け入れて考える。

そう言ったら。


凪の頭の中に考えがグルグル巡る。

澪を見る。

凪と同じ様子だ。


それが少し嬉しく思う。


草が揺れる。


凪と澪は同時に立ち上がる。

二人の視線が茂みに向く。


人影がゆっくり姿を現す。

そこにいたのは、見知らぬ男だった。




黒雷神は怪獣の根を取り出し、地中に埋める。

その根は途端に蠢き出し地に根を張っていく。


そして、析雷神の種も埋める。

真・神機の光にやられた。

復活には数カ月はかかるだろう。


(恨めしい…。)

どこかから声が聞こえる。

黒雷神は鼻で嗤い、土をかけていく。


幾つもの雷鳴。


黒雷神が後ろを振り向く。

「全員、揃ったか…。うん?」

辺りを見回す。


「火じゃろ?

奴は単独行動じゃ。」

蓄えた髭を撫でながら言う土雷神。


黒雷神は苛立ったように言う。

「最後に生まれた末子の分際で…!」


「いいじゃん!僕たちだけでやれば!」

若雷神が土雷神の後ろから現れる。

そして、ぞろぞろと現れる雷神たち。


鳴雷神、伏雷神。

そして、大雷神。

「お頭様…。」


五雷神が大雷神の前に跪く。

「神機が力をつけてきている。」

大雷神が威厳ある声で、五雷神たちを震え上がらせる。


「もう、脅威になっている…。」

析雷神が埋まった地面を見る大雷神。


大雷神が幾つかの種を出す。

「やるぞ…!」


「神機を倒す!そして、御母様の願いを叶えて差し上げねば!。」

大雷神が手を突き出す。


雷鳴。


種にさらに禍々しい力が宿る。

それを渡していく。


そして。

黒雷神一同は散っていった。




研究員が試作機を見る。

そこには、様がわりした試作機があった。


装甲が強化された。

操縦も、豪のフィードバックからレスポンスが上がった。

研究員達の中でも手応えがあった。


武装も強化している。

長距離、短距離が切り替えられる銃。

腕には8mmバルカン。

ミサイルも装備した。

そして、特別に拵えた神機の剣を模したソード。


完璧な仕上がりだ。

「あの装甲がなくては、成し遂げられなかった…。」


神機の装甲を解析した。

それは並大抵の努力ではなかった。

再現できたことは奇跡だった。


研究員は試作機に手を触れる。

「豪さん…。今度こそは…。」

モニターには、豪の試作機が破壊される映像が映っていた。

あの日の映像が脳裏から離れない。


「今度こそは…豪さんを守る。」

試作機を見上げる。


「なあ…人機・武尊」

武尊は悠然と立っていた。




「やっと、見つけた…!」

男は疲れたという様子で、両膝に手をつく。


「誰だ?」

凪は警戒を解かない。


「私は豪さんの使いです。」

そう言って、チラシを一枚渡す男。

凪は警戒しながら、チラシを見る。


そこには

『人機・武尊のお披露目パレードへの参加のお知らせ』

と書いてある。


随分と事務的な用紙に驚きが隠せない凪。

瞬きがはやくなる。


「ここに来るの大変なんでここにチェックお願いします。」

そう言うと、チェック欄を指差す男。


凪は言われるがまま、チェックしてしまう。

「ありがとうございます!」

男は深々と頭を下げる。


そして、去っていく。

「何だったんだ?」

凪と澪は顔を見合わせる。


そして、顔を青ざめる凪。

「顔を隠すの忘れた!」


二か月後、人機・武尊のお披露目パレードに参加することになった。

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