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神薙 ~日本神話×ロボット。怪獣を救う神機の物語~(50話達成!)  作者: さく


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11話 選択の後に 11-1

怪獣の腹が開く。

中に光が溢れて入ってくる。

そこに巨大な手が差し伸べられる。


「来い!」

そう聞こえた。

しかし。


男は膝を抱えて、閉じ籠もる。

「僕はもう…。」


開いた腹が根で蠢く。

神機を押しつぶすように、修復しようとする。

それをこじ開ける神機。


「逃げるな!」

神機が更に奥に手を伸ばす。


(逃げる…?そうか…僕は…)


オウンゴールをした幼き日の男。

非難される。

後ろを振り向き、泣きながら帰る男。


機械を壊す男。

冷たい視線。

荷物をまとめて逃げる帰る男。


「逃げて何が悪い!」

男が叫ぶ。

「分からないんだ!どうすればいい!」

泣きながら叫ぶ。


凪はその叫びを、受け止める。

「俺も分からない…。」

一息つく。

「分からないなら、分からないでいい。

でも、俺は頼った。」


澪の顔が浮かぶ。

次に豪。

そして、御兄様。


「なんとかなる。だから、頼れ。」

更に神機の手を差し出す。


男が手を差し伸べる。

男の手が神機に触れる。

その瞬間。


爆発。


怪獣の中が大きく揺れた。




豪は唖然としていた。

爆炎が怪獣と神機を包み込む。

「各機!攻撃をやめろ!」


根の蠢きが止まる。

怪獣が崩れ落ちていく。

豪は唾を飲み込む。


爆炎が晴れる。


そこには神機がいた。

手に何かをつつみ込んでいる。

神機が手を開く。


そこには、気絶した男がいた。

豪は大きく息を吐く。

「良かった…。」


豪は帰還命令を入れる。


「おい!神機!大丈夫か?」

神機に無線を入れる。

雑音が入る。


「大丈夫です。」

豪はホッと胸をなで下ろす。

しかし。


「でも、痛かったッス。」

豪は苦笑した。


「帰還してくれ。」

一拍置く。

「今度はゆっくり話をしよう。」

神機と戦闘機は基地に帰る。




「やべ…!」

凪が声を上げる。


「え?」

澪が驚いて、声を上げる。

「どうしたの?」


澪が恐る恐る聞く。

「このままついていったら、捕まるんじゃない?」

澪は目を丸くする。

(いつもの凪だ…。)

澪は吹き出す。


「何だよ…。真剣なのに…。」

凪は不満そうに呟く。

澪はそんな凪を愛おしく見つめる。


「その時は、助けてあげるって。」

凪はホッと息を吐く。


「うん。頼んだよ。」

そう言う凪の顔に御兄様が重なる。

澪が見たイメージ。

神機が力を得る前。


御兄様の湖から登る龍のイメージ見えた。

(御兄様…。助けてくれてありがとう。)

澪はそっと胸の勾玉を握った。




神機は基地に降り立った。

そして、ゆっくり手を地上に降ろしていく。

自衛隊の隊員たちが、神機の手に集まっていく。


神機が手を開く。

そこには、気絶した男。

自衛隊員は急いで、男を搬送する。


豪がヘルメットを取り、近づいてくる。

凪は急いで、天衣を口元に巻く。

そして、神機の手に乗り、降りていく。


豪と凪が対峙する。


沈黙。


「ミサイルを撃ってくるとは思わなかったぞ。」

凪が声を低く喋る。


「そのキャラやめろよ。

お前…、湖にいたやつだろ?」

豪は単刀直入に聞く。


凪は狼狽える。

「な、何のことか分からないな。」

声が上擦る。

低い声が出せなくなる。


豪は高笑いする。

「そうかよ。」

一息つく。

「あの男…。大丈夫なのか?」


凪は担架に乗せられて、運ばれる男を見る。

「多分」

凪は怪獣の最後を思い出す。


いつもと違い、男を根から引き剥がす形になってしまった。

いつものように、目を覚ますか分からない。


一瞬の沈黙。


「いつもああやって、説得してるのか?」


凪は空を見上げる。

「怪獣の中の人…。」

一呼吸置く。


「いつも何かに囚われてる。」

凪は視線を落とす。


最初の母親は赤ん坊を渡したくなかった。

2人目の男は怒りに支配されていた。

3人目の女は認められたかった。


そして、今回は。


「だから、いつも話を聞いた。」

凪は視線を上げる。

そこには、何か確信があるような目をしていた。


「俺は説得はしてない。」

その晴れやかな顔に豪は安心する。


しかし。


豪は考える。

これは自衛隊ではできない。


神機がいないときはどうする?

3回目の時みたいに複数出たら?


その時は選択しないといけない。


「なあ。その救いたいという姿勢…。」

一息ついて、凪を見る。

「変えるなよ?」


神機は静かに基地を飛びたった。

強い風圧の中、豪は神機を見上げていた。

基地から上層部の方々が走ってくる。


「おい!やつを捕まえなかったのか?」

豪は上層部を一瞥したあと、神機に姿勢を戻す。


そして、豪は飄々と答える。

「逃げられちゃいました。」

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