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神薙 ~日本神話×ロボット。怪獣を救う神機の物語~(50話達成!)  作者: さく


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10話 選択 10-3

霧の中から光が溢れ出す。

その光は霧を晴らしていく。


「なんだ…!これは…!」

黒雷神と伏雷神は光を遮るように腕を前に出す。


「くっ…!この光…!」

黒雷神の脳裏に、あの日の光景が蘇る。


八雷神は大穴から脱出する二機の神機を追いかけていた。

黒雷神は雷を発し、神機を攻撃する。


外の光が溢れる。

八雷神はその光に一瞬怯む。

それと同時に、穴が塞がっていく。


八雷神は穴に向かう。

その時、光が溢れる。

八雷神はその光に浄化され、種に戻っていく。


「くっ…!」

黒雷神は伏雷神を抱えて、その場を離れる。

「あれは…!奴の光…!」


「ああ…あの時の…!」

伏雷神は怯えている。


光が収束していった。




豪は霧の中で溢れんばかりの光を目撃する。

「なんだあの光は…!」

優しく温かい。

そんな気にさせてくれる。


光が弾ける。

白い霧が一気に押し流されていく。

豪の視界が開けた。


霧の向こうに、一体の巨躯が静かに立っている。

「あれは…。神機?」

豪は目を疑う。


今まで見ていた神機と違う。

龍を思わせる甲冑を装着している。

シンプルなイメージの神機から武骨な様相に変わっている。


「何が…起きたんだ…?」

豪はその神々しさに目を奪われた。




凪はゆっくりと目を開ける。

凪の視界は驚くほど澄んでいた。


そして、素早い動きで怪獣の6本の腕を斬り落とす。

地上に落ちる6本の腕。


怪獣の咆哮。


「凪…?」

澪は凪の後ろ姿に御兄様を重ねる。


「行くよ!澪ちゃん。」

再生する怪獣の腕を素早く斬り落としつつ、足元の根に突撃する。


戦闘機も遅れて、追従し、腕をミサイルで撃ち落とす。

「はああ!」

短く息を吐き、斬る。


一閃。


怪獣は足元の根から切り離された。




凪は素早く、神機を怪獣の胸に動かす。

そして、ゆっくりと右手を怪獣の胸に当てる。


「澪ちゃん。」


「うん。」

ゆっくりと目を瞑る。

胸の前に手を重ねて、祈る。

澪の力も心なしか強くなっているように感じる。


「見えた…。」




怪獣の中。

根が女の身体を包み込み始めていた。

「ワタサナイ…ワタサナイ…!」


女は涙を流しながら、首を横に振る。

(やだ…やだ…!)

ゆっくりと女の身体に根が絡まっていき、怪獣の中に入っていく。


「ボクのだ…!」

男の悪意に呼応するように、根が脈動した。




「中の女の人が危ない…!」

澪は青ざめる。


「どういうこと?」

凪は澪に振り向く。

青ざめてる顔を見て、何かを察する。


「女の人が取り込まれてしまう…。」

凪はその言葉を聞いて、確信する。

一刻の猶予もない。


(どうする…?)

凪は頭を回転させる。

しかし、こういうときにいい案が思い浮かんだことがない。


「くっ…!どうにでもなれだ!」

神機で腹を殴る。

怪獣の身体が大きく揺れる。


「おい!あんた!」

凪は叫ぶ。

そして、怪獣に呼びかける。




怪獣の中にも衝撃が伝わる。

「ぐっ…!なんだ…?」


目の前に神機が見える。

「奪いにキタナ…!」

男は腕を振り上げる。


その時。

「おい!あんた!」

声が聞こえる。


「ナンダ…?」

男の気が逸れた。

女を取り込もうとする根の蠢きが止まる。


「何をそんなに執着してる!教えてくれ!」

神機から声が聞こえているようだ。

若い男の声だ。


「ナニをしゅうちゃくシテルって…?」

男は女を見る。

怯えて泣いている。

女の瞳に映るのは恐怖だけだった。


「ナゼ…あのとき…みたいにワラワナイ…?」

男は思考を巡らせ始める。


僕は優しくされたことがなかった。

学校でも…職場でも…。

僕が原因だと言うことは、何となく分かっていた。

しかし、何を直したらいいのか分からなかった。


そして、孤立した。


関わりがあるときは、イジメかイジるときくらい。

辛かった。

誰も笑いかけてくれなかった。

本当の意味で…。


でも、この人は違った。

僕に笑いかけてくれた。

これが本当の笑顔なのかと初めて知った。


僕はもっと笑ってほしかった。

笑顔を向けてほしかった。


「僕は執着していた?」

男の目に光が戻っていく。




凪は男が女の人執着していることを澪から聞いて、叫んだ。

怪獣からの応答はない。


澪は祈り続けている。

神機の手が温かい光を発している。


「あの人は…初めての笑顔が嬉しかったのね…。」

凪はその言葉を聞くと、もう一度叫ぶ。


「あんた!よく見ろ!その人の顔を!」

男に気づかせたい一心だった。

その言葉が届くか分からない。


しかし、必死に言葉を紡いだ。




「よく見ろ!その人の顔を!」

男はその言葉に女をよく見る。


女は根に絡まれている。

中にいる女は酷く怯え、泣いている。

「怯え…涙…。」


男は気づく。

急いで根を引き千切り、女を自由にしていく。

女の体から根が音を立ててほどけていく。

男は必死に女を助けようとする。


男は手を伸ばす。

女に手を払われる。

拒絶。

(ああ…僕はまた…間違えてしまった…。)




怪獣の腹が開いていく。

根が伸びていき、女が神機に渡される。

神機は女を優しく受け取る。


「分かってくれたのか…?」

神機は女を安全なところに運ぶ。

ゆっくりと、自衛隊員に女を渡す。


「男は?」

神機は怪獣へと振り向く。


怪獣からの攻撃。

「ぐっ…!」

突然の衝撃がコクピットを揺らす。


「何で?」

凪は困惑する。

もう終わりのはず…。


「やめろ!もういいんだ!」

怪獣の攻撃は止まらない。

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