表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
神薙 ~日本神話×ロボット。怪獣を救う神機の物語~(50話達成!)  作者: さく


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
26/65

9話 愛の獣 9-3

伏雷神は怪獣の中を見通していた。

「ふふ…」

不気味な笑顔で、男と女のやりとりを見ていた。


雷鳴。


伏雷神の隣に黒雷神が現れる。

「あれで悪意が生まれるのか?」

黒雷神は甚だ疑問といった表情で問いかける。


「これからですよ…」

伏雷神は不気味に嗤う。

「見ていて下さい。もうすぐですよ…」


「期待が絶望に変わる瞬間がたまらない…。」

男の悲痛な顔を見つめる。


黒雷神は疑問に思いつつも、成り行きを見ることにする。

「楽しみだなぁ…」

伏雷神は男の膨大な悪意が爆発するのを想像する。

心底嬉しそうに口角を上げた。




凪は焦っていた。

「澪ちゃんヤバい!攻撃されちゃう!」

自衛隊の兵器が神機にを向き、臨戦態勢に入っているように見える。


「どうしよう…?」

凪は混乱していた。

何故、こんなことになっているのか分からなかった。


「神機を捕まえたいのかも…あの時も調査してたでしょ?」

凪は数日前の女怪獣の時を思い出す。


町に横たわる神機。

その周りで調査チームが忙しなく動いていた。


「うん…でも、今?」

自衛隊も怪獣の捜索をしていた。

なのに、神機を捕まえようとする。


「うーん…」

澪も分からなかった。

自分で言って、今じゃないことは理解できる。


「話してみよう。」

凪の言葉に澪は狐につままれたような顔になる。


「危険だよ!」

この状況で外に出る。

それがどういうことになるか、想像できる。


「うん…でも、この状況…どうにもならないよ」

澪もそれは分かっている。


「危なくなったらすぐに神機の中に戻って?

私もすぐに助けられるようにする。」

澪は不安でいっぱいだった。


「うん。ありがとう。」

凪は澪の顔を見て言う。

「何か顔に巻くものない?素顔で行くのもね…」


澪は一瞬考えて、天衣を取り出す。

「これでいい?」

「うん!いいよ」

凪は天衣をマフラーのように巻きつけ、口元を隠す。


「バッチリだね!」

そう言っても、凪もこれで変装できたとは思わない。

澪もそれは同じだった。


「ぷふっ…!」

2人は笑い合う。

一頻り笑ったあと。


不安が少し拭えた凪は一息つく。

「行ってくるね」

凪は神機の外に出た。




「あいつは…。」

豪は湖の奇怪な青年を思い出す。


一人で湖で水をかけて遊んでいた。


「あれで変装してるつもりか…?」

豪は疑問に思いつつも、戦闘機を寄せていく。


ハッチを開ける。

凄い風圧と轟音の中。

男が叫ぶ。


「私に敵意はない。

下でゆっくり話そう。」

豪にはそう聞こえた。

なので、サムズアップで答える。


すると、神機がゆっくり跪いた。

そして、男が乗った手をゆっくり地上に降ろしていく。


豪も戦闘機を地上に降ろす。

周囲の隊員たちも固唾を呑んで見守っていた。

戦闘機から降り、ヘルメットを外す。

そして、男に近づいていく。


男と豪は対面した。




凪はヘルメットを外しながら、近づいて来る男を見つめる。

そして、天衣を鼻まで覆うように調整する。


「あの人…。」

凪も気づく。

あの湖であった男だと言うことを。


「戦闘機のパイロットだったのか…。」

凪は独りごちる。


男と対面する。

凪は何を話せばいいのか分からない。

男が手を差し出す。


「俺は航空自衛隊所属、3等空尉の轟豪だ。よろしく。」

豪と名乗る男の手を取り、握手する。


「お前の名前は?」

豪の質問に面食らう。

名乗れないし、何も考えていなかった。


凪は声を低く喋る。

「名乗ることはできない。

すまない。」

努めて、尊大な感じを意識して喋る。

すまないなんて言ったことない。


「そうか。」

豪はあっさり引く。

凪はそれにも面食らう。


「この…ロボット…名前はあるのか?」

「俺たちは神機と呼んでいる。

それ以上は…すまない。」


(俺たち…?)

豪は違和感を感じる。

あの時も感じた。


湖で遊ぶ青年。

目線が横にいく青年。


あの時も何故か一人なのに一人ではない感じがした。

(どういうことだ?)

その疑問を持ちつつも質問を続ける。


「神機な…ここ最近、現れる怪獣…あれはなんだ?」

豪は直球にぶつける。

しかし、凪はその答えを殆ど持ってないのと一緒だ。


答えに苦慮する。

「実は私たちも、怪獣に関しては知っていることは少ない。」

とりあえず、凪は知っている情報を話していく。


「我らが知っている情報は中に人間がいること。

それと、人間が持つ悪意のようなもの…。

怒りや嫉妬などが怪獣のエネルギーになるということだけだ。」


豪は腕を組み思案する。


「どうやって、あなたたちは怪獣の中から人を救出する?」

これも言葉に詰まる。

澪のことは言えないし、凪も必死だった。


「それは…」

その時、無線が鳴る。


「怪獣出現!至急向かわれたし。」

凪と豪は顔を見合わせる。

そして、各機に乗った。




男は女の怯えた顔に不安になる。

「そっか…。喋れないよね。」

女の口元に巻いた根を外す。


「これで喋れるね。」

男はゆっくり近づいていく。


「ひっ!」

女は軽く悲鳴をあげる。

(ひっ?)

「何でそんな反応するの?」


「いや…。」

女は怯えながら首を横に振る。

明確な拒否。


男の顔が引きつる。

「あの時みたいに笑ってよ…」

女の天使のような笑顔が頭に過る。


「あの時、君は僕に優しかった。

笑顔を向けてくれた。

だから…。」

男は俯く。


「あなた…誰ですか?」

心底分からない様子で、怯えながら言う。

男は顔を上げる。

「え?」


「ぼ、僕だよ。

あの時、優しくしてくれて…

一緒に帰ったりして…」

男は数々の思い出を語っていく。


「知りません…。」


男の中で何かが弾けた。

「こんなに愛してるのに!

何で誰も分かってくれない!」

頭を掻きむしる。


男は妄想を語っていく。

「ほら!僕はこんなに愛して!尽くしてる!」

もう目の焦点が合っていない。


「僕を受け入れてよ…。」

ゆっくり根が伸びて、女に近づいていく。


「いや!」

女は男を押し返すように手を突き出す。


「…。」

沈黙。


「何で!なんで!ナンデ!ああああああ!」

怪獣は森の中を暴れまわった。




伏雷神は爆発した男を見つめていた。

「ひゃひゃひゃ…きた!」

嬉しそうに嗤う。


黒雷神は横で驚いていた。

「おお…凄まじい…。」


「来るぞ!」

伏雷神は横で叫ぶ。


怪獣に更に根が絡まっていく。

そして、姿が変容していく。

さながら、進化のようだ。


4足歩行から立ち上がる。

人型になった怪獣は禍々しさが増していた。


「ここまでとは…!」

黒雷神はビリビリくる悪意に恐れ慄いてしまいそうになるほどだ。


「僕の目に狂いはなかった…。凄い…。」

伏雷神はその人型怪獣を見つめる。


「さあ…人間どもを蹂躙しろぉ!ひゃひゃひゃ!」

伏雷神のその声に呼応するかのように、人型怪獣は町に歩き出した。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ