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神薙 ~日本神話×ロボット。怪獣を救う神機の物語~(50話達成!)  作者: さく


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9話 愛の獣 9-2

豪はヘリから戦闘機に乗り換え、基地から出撃した。

そして、怪獣のもとに急行する。

(怪獣が現れた。

また、中に人がいるのか?)


あの時の光景を思い出す。


怪獣の中から現れる女。

それを受け止めるロボット。

救助される女。


豪の頭の中はグチャグチャだった。

自衛隊の上層部からの命令はこうだ。


怪獣の中に何故、人がいるのか?

まだ、分からないことだらけなので、救出せよ。

しかし、人に危険が及ぶ場合は処理しても構わない。


つまり。

「難しい問題だな…。」


人々を犠牲にして怪獣の中の一人を救出するか

怪獣の中の一人を犠牲にして、その他大勢を守るか


合理的な判断だ。

しかし、納得はいかない。

「くそっ…!」

豪も分かっている。

どうすべきか。


ロボットは救出していた。

そこに光明はないかと考える。

けれど、何も思い浮かばない。


ロボットがどうやって、救出しているのかわからない。

「俺たちは何も知らないんだな…」

豪は操縦桿を握る手に力が入る。


ロボットのことも、わからないことだらけだ。

(あの奇怪な青年…あの青年がロボットのパイロットなのか?)


怪獣が見えてきた。

豪は考えるのをやめる。

怪獣の対処することに集中する。


ミサイルスイッチカバーを上げる。

スイッチに手をかける。

「ん?」


怪獣の前に人がいる。

豪は咄嗟にスイッチから指を離す。

怪獣の挙動を観察する。


「やめろ!」

豪が叫ぶ。

しかし、その声は届かない。


怪獣が女を飲み込むのを目撃する。

豪は言葉を失った。




飲み込まれた女に根が絡まっていく。

「いや!何これ!」

女は暴れるも、根に拘束されていく。

そして、中心部に運ばれる。


根が口にも絡まり喋れなくなる。

涙が溢れる。

意味がわからない。


移動が止まる。

目の前には同じく根に絡まった男がいた。

知らない男だ。

根は男から出ているように見える。


「やあ!迎えに来たよ。」

男が手を広げる。

女は怯えた顔で、男を見つめる。


「何でそんな顔してるの?」

男は不思議そうに女に問いかける。


女は根が猿ぐつわのようになっていて、喋れない。

強く首を横に振る。


「会えて嬉しくないの?」

女は涙を流し、怯えている。


「何で?」

男の顔が狂気に満ちていく。

「何で!何で!何で!」

男が頭を掻きむしる。


「こんなに愛しているのにそんな顔しないでよ!」

女は怯えている。

何のことかわからない。


急に冷静になる男。

「大丈夫…。これからは、2人きりでいられるから…。」


怪獣は走り去る。

そして、霧のように消えていった。




「女の人が食べられた…。」

凪は咄嗟に神機を操作する。

怪獣に取り付こうとする。


しかし、怪獣が逃走する。

「待て!」

次の瞬間、もう姿はなかった。


「どこに行った!?澪ちゃん見える?」

2人で周りを見渡し確認する。


「いない…。」

澪が呟く。

凪は操縦桿を握りしめる。

澪は怪獣が消えた場所を見つめたまま動けなかった。


豪も同じ状況になっていた。

ミサイルを撃ち、足止めをしようとした。

しかし、怪獣が走り去る。


「待て!」

怪獣が消えた。

上空からも視認できない。

レーダーにも反応がない。


「どこに行った…?」

豪は戦闘機を飛ばし、上空から探し始めることにした。




数時間後


凪と澪は神機で怪獣の捜索をしていた。

しかし、一向に見つかる気配がない。

自衛隊も総動員して、捜索していたようだが、見つかっていないようだ。


「今日はもう帰ろう。」

澪が言う。

「でも…。」

凪は食べられた女の人が心配だった。


「大丈夫だと思う。」

澪は凪が女の人を心配しているのは分かっていた。

そして、もう一つ分かっていることがあった。


「多分、あの女の人はまだ…大丈夫だと思う。」

神機が怪獣に触れたときに澪が感じたもの。

怖いほどの愛。


「分かったの?」

凪が聞く。

澪は首を横に振る。


「でも…まだ、大丈夫な気がする。」

澪も確信はなかった。


「分かった。」

凪は納得する。

澪が感じたこと。

説明できない何かがあったのだろう。


凪は操縦桿を握る。

とりあえず、帰ろうとした。


しかし。


「え?」

凪は目を疑った。


神機は無数の戦闘機や戦車に包囲されていた。




「抵抗するなよ…。」

豪は包囲している戦闘機の中にいた。

突如の神機鹵獲命令。

上層部も背に腹は代えられないようだ。


豪は撃つ気はないが、スイッチに指を置く。

抵抗するようであれば、応戦せよが上層部からの命令だ。

今のところ、神機に抵抗の意思はないようだ。


上層部からの命令が入る。

「ロボットと意思疎通をはかれ」

豪は何故、俺なのかと思いつつも

「了解」


豪は早速、無線のオープンチャンネルで話しかける。

「未確認ロボットへ告ぐ。

こちらの音声が聞こえているならば、ただちに応答、または何らかのシグナルを送られたし」


一拍置く。


反応がない。

無線の類は積んでいないようだ。

「どうする?」

豪は自問する。


すると、ロボットの腕が胸まで動く。

自衛隊の全隊員が警戒体勢に入る。


しかし。


ロボットの胸の勾玉から光が溢れ出す。

そして、長物の布を口元に巻いた男がロボットの手の上に現れる。

そして、両手を上げた。


「あいつは…。」

豪はその男にどこか見覚えがあった。

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