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神薙 ~日本神話×ロボット。怪獣を救う神機の物語~(50話達成!)  作者: さく


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7話 愛の中の怪獣 7-3

凪と澪が呼ぶと、神機は神社まで飛んできた。

外見を見ると、神機の脇腹にまだ貫かれた痕が残っている。


「あ…。」

あの時の光景が頭を過る。

凪は身震いする。


「大丈夫?」

澪が寄り添う。


「いけるよ。」

凪は澪に心配させまいと気丈に振る舞う。

しかし、少し体が震えていた。


凪と澪は神機に乗り込む。

そして、操縦桿を握る。

握る手が震えているのが、分かる。


「怖いのか…?」

凪は独りごちる。

恐怖を振り切ろうとする。

しかし、一筋縄ではいかない。


「凪…。」

澪にも理解できる。


凪は初めて、負けを経験した。

しかも、大怪我をした。

その上、命がけの戦いであることを自覚した。

今まで戦えていた方が不思議なのだ。


凪は深呼吸する。

澪はその姿にチクリと心が痛む。

「……大丈夫。」

凪は自分に言い聞かせるように呟く。


先ほどの決意を思い出す。

(やることをやる!)

凪はペダルを踏み込んだ。

神機は怪獣に向かっていく。




怪獣の中の女はモニター越しに怪獣の視線を見ていた。

「来た…!」

モニター越しに神機が飛んできているのが、見える。


「私から何もかもを奪ったもの!」

女の頭に記憶が蘇る。



(私には勉強しか取り柄がなかった。)

学校の廊下を歩く女。


(お世辞にも、見た目が良い方ではない。

運動もできない。

できることと言ったら、勉強だけ。)

掲示された成績表。

女の順位は2番目。


(私はいつも同級生の女に勝てなかった。)

褒められる同級生の女。

いつもクラスの中心にいる。

美人で勉強もできて、チヤホヤされていた。


(テストでは私の方が点数が良かった日もあった。)

先生が同級生の女を褒めている。

女には何もない。

評価もつけない。


(一言でよかった。

頑張ったなって言ってほしかった。)

先生は見向きもしない。

好きな男の子が通り過ぎていく。


(私を見てほしかっただけなのに。)

同級生の女のところに行く男の子。

楽しく談笑している。


(世の中は不公平だ。)

落書きされている女の机。

ボロボロになった文房具。


(何であいつはチヤホヤされて…、私はこんな仕打ち)



女はモニターを見る。

あの女と神機が重なる。

「何で…。何で…!」

女は手当たり次第にものを投げる。


「あんたも消えちゃえよ!」

女の涙が根へ落ちる。

その感情を吸い上げるように、根が脈動した。

その悪意を糧に小型怪獣が生み出されていく。




神機は町にたどり着く。

町の中は、既に大量の小型怪獣で覆われていた。


「どうにかして、大型の元にいかないと!」

凪が大型怪獣を見据えて、叫ぶ。

しかし。


「小さいのが多すぎる。」

澪が冷静に呟く。


「くっ…!」

凪は頭を回転させる。

(どうする…?)


大型怪獣は動かない。

ただそこにいるだけ。

それなのに。

周囲では次々と小型怪獣が生まれていく。


凪は思案する。

しかし、怪獣は待ってくれない。

小型怪獣が根で神機を攻撃する。


「うぉ!」

咄嗟の声が出る。

凪は回避行動をとり、剣で根を斬り伏せていく。


ビームを使えば、怪獣を一掃できるかもしれない。

しかし、町の避難状況が分からない。


小型怪獣を一体、また一体と斬り伏せていく。

しかし、一向に減らない。

凪は小型怪獣の対処をするしかなかった。





「アハハ!

踊ってる!」

女は無邪気に嗤う。

神機が手も足も出ない様子に悦に浸る。


私はずっと蔑ろにされてきた。

これくらい、許されるはずだ。

再度、女の記憶が蘇っていく。



(私は無難なところに就職していた。)

就職先で働く女。


(無難に生きられれば良かった。)

そこで好みでなないけど、優しい男と出逢う。


(あの人は私に優しかった。

初めて、私を分かってくれた。)

同級生の女が入社してくる。

さらに美人になって、大人の魅力を放っている。

そして、学生時代のことを言いふらす女。


(あの人はそれでも、私を信じてくれた。でも…)

同級生の女に魅了される男。

あることないこと言いふらす女。


(私は…解雇された。何故…?)

引きこもる女。

同級生の女のSNSアカウントを見つける。

そこには、華やかな同級生の女と仲睦まじく写真に写っている男。


(何で!何で!

その幸せは私のもの!)

キーボードを打つ女。

同級生の女の本性を暴露していく。


(同級生の女の人生が壊れていく。)

最初は仕返しのつもりだった。

同級生の女が追い詰められていくのを見ると、 胸が少しだけ軽くなる。

悦に浸る女。

私を蔑ろにした報いだ!



女はモニターに目を移す。

神機が手も足も出ない様子を見ると、口角を上げる。

「アハハ!

アノ女のヨウ!

アナタも壊れチャエ!」




凪は小型怪獣を斬り伏せ対処していた。

「くそっ!

どんだけいるんだ!」

悪態をつきながらも、斬り伏せていく。


「やっぱり、大元を…」

凪は言いかけて止める。

澪の悲しい記憶を呼び覚ましてしまったと思う。


「…大丈夫。」

澪は一息ついて言う。

(今なら分かる)

「私もそう思ってる。」


「でも、どうすれば…」

凪は小型怪獣の群れの対処で考えられなくなってきた。


澪は今までの怪獣のことを思い出す。

一番目の怪獣。

凪のトラウマ。

(あの時、母親は感情に呑まれていた…)


二番目の怪獣。

初めて、助けられた。

(あの人も感情に呑まれていた。

何故、助けられた?

違いは何?)


澪は大型怪獣を観察する。

大型怪獣はなおも小型怪獣を根から生み出している。

自衛隊の攻撃にビクともしていない。


(根…?)

澪は思い返す。


「あの根が怪獣のエネルギー源…?」

「え?」

凪は澪に聞き返す。

澪は再度目を凝らす。

大穴から這い出てきた大型怪獣。

大穴から大型怪獣に繋がっている根。


(あの時…)

二番目の怪獣。

凪が引き離した。

「あの後からあの人の怒りが収まっていってた…。」


澪は閃く。

しかし、確信が持てない。

「でも…もしかしたら…」

一呼吸置く。

「凪…。私を信じてくれる?」


凪は何が何だか分からない。

けれど、澪は信じれる。

「うん!」


凪は神機を飛び上がらせた。

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