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神薙 ~日本神話×ロボット。怪獣を救う神機の物語~(50話達成!)  作者: さく


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1話 愛の行方 1-2

母はキッチンに立っていた。

落ち窪んだ瞳には、 もうほとんど生気がない。

鍋をかき回す手だけが、 機械のように動いている。


背中で揺られる赤子は、 安心したように母へ身体を預けていた。

母は一定のリズムで身体を揺らしながら、 小さく赤子の背を叩く。

その手つきだけは、 どこまでも優しかった。


不意に、 チャイムが鳴る。

母の肩が跳ねる。

今日は訪問の予定などない。

もう一度、チャイムが乱暴に鳴らされる。


「早く出ろよ!」

怒鳴り声がする。

母はびくりと身体を震わせ、 声のした方を見る。

ソファーでは、 夫が苛立った顔のまま、 スマホを弄っていた。


恐る恐る、 母はモニターへ目を向ける。

映っていたのは義母だった。

その瞬間、 母の顔から血の気が引く。

背中を、 嫌な汗がゆっくりと伝っていった。




凪は神社の掃き掃除をしていた。

これが凪の日課だ。

神社を掃除しながら、 澪と話をする。

それが、 凪にとって何より楽しい時間だった。


「いつも、ありがとね」

澪が少しだけ表情を緩める。

白い着物に、 琥珀の勾玉。

古風な出で立ちの少女。

けれど、 話し方は以前よりずっと柔らかくなっていた。


凪が幼い頃に出会った時、 澪はもっと古い言葉で話していた。

その変化を、 凪は少し嬉しく思っている。


「いいんだよ。 これが毎日の楽しみなんだし」

凪はそう答えながら、 澪へ視線を向ける。

ここ最近、 澪は時折遠くを見ていた。

不安と寂しさが混じったような顔。


「どうしたの?」

澪は静かに首を横へ振る。

何かを隠している。

それは分かる。

けれど、 凪はそれ以上聞けずにいた。


代わりに、 話題を変える。

「そういえばさ、 この像デカすぎない?」

凪は箒を肩に担ぎながら、 二体の石像を見上げた。

社や鳥居は立派だ。

だが、 神社自体はそこまで大きくない。

それなのに、 境内に鎮座する二体の像だけが異様だった。

「10メートルくらいあるだろ、これ……」


澪は小さく笑う。

「守り神なの」

「へぇ〜…… 何から……」


轟音。

雷が落ちた。

空気が震える。


静寂。


「──来る!」


澪の声。

その直後、 どこかで何かが崩れる音が響いた。

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