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神薙 ~日本神話×ロボット。怪獣を救う神機の物語~(50話達成!)  作者: さく


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6話 愛の歪曲 6-3

「憎い…!」

家を突き破って、怪獣が現れる。

現れた怪獣は腹を大きく膨らませていた。

そこから、不気味に根が蠢き、小型の怪獣を生み出していた。


「私だって…私だって…!」

歯ぎしり言いながら、世界を睨む。


「壊れろ。」

女の目に光がなくなる。

怪獣から根が伸び、町を破壊していく。

そして、その根の一つひとつから小型怪獣が溢れ出ていく。


「アハハハ!

成功者は消えろ!」

小型怪獣が町を蹂躙していく。




町に蠢く小型怪獣達を鳴雷神は見ていた。

「ふふふ…いいわ。」

鳴雷神は頬を赤く染めていく。


小型怪獣が町を蹂躙していく。

「人が怪獣を生んじゃうなんて。」

愉快そうに嗤う鳴雷神。


根が蠢き、悪意が流れていっている。

「あんなに悪意を生み出しちゃって。」

小型怪獣が生み出される。


「さあ!どんどん世界を憎みなさい!」

「それが…いい栄養になるのよ」

鳴雷神は人差し指で唇に触れる。


「お母様…今日はご馳走よ」




「なんだ…これ…」

凪と澪は神機で出撃した。

駆けつけた先で見たのは、多くの小型怪獣とその中心にいる大型怪獣。

大型怪獣は小型怪獣を生み出し続けている。


「あ…あれは…!」

澪は胸の前で腕を交差させて、両肩を掴む。

震える体を止められない。


澪の脳裏にあの時見た光景が浮かぶ。



大穴に突入する2機の神機。

大量の怪獣。

蠢く根。

その中心にある大きな根。



「御兄様…」

澪の思考が止まる。

澪にもどうしようもできない。


神機の動きが鈍くなる。

「パワーダウン?澪ちゃん…?」


凪が振り返ると、異常に震えている澪がいた。




轟音がする。

自衛隊も出撃していた。

町の惨状から何十機と出撃している。

各編隊を組んで、怪獣の処理にあたる。


戦闘機の尾翼からミサイルが発射される。

爆発して、燃え上がる小型怪獣。

しかし、小型怪獣は次々と生み出されていく。


小型怪獣も黙っていない。

一気に攻撃を仕掛けていく。

戦闘機は回避運動に入るが、避けきれず何機か爆発していく。




「ヤバい…!」

凪はその惨状を見ていた。

数が多すぎる。

戦闘機も善戦しているが、多勢に無勢だ。

次々と爆散していく。


「澪ちゃん!」

凪は澪の肩を掴む。

何を言えばいいのか分からない。

御兄様のことだとは察しがつく。


しかし、今の状況を何とかしないといけない。

「澪ちゃん!俺を見て!」


澪の目に光が戻っていく。

「凪…?」


澪は町の惨状を見る。

そして、怪獣も見る。

「行ったらダメ…。」


澪が震え始める。

「凪も…死んでしまう…。」


凪は腑に落ちた。

神話の続き。

御兄様の死を…。


「同じ状況なのか?」

澪は静かに頷く。


神話で起きたこと。

凪は辺りを見渡す。

多くの怪獣にそれを生み出すもの。


御兄様の言うことも腑に落ちた。


大元を叩く。


その意味が…。

そして、それをすれば死。

凪にもどうすべきか分からなかった。



女は怪獣の中でほくそ笑んでいた。

神機は動かない。

戦闘機は次々と落ちていく。


「何もできない!」

女は笑いがこみ上げてきて、止められない。

高笑いをして机を叩く。


初めて、優位に立った。

女はそれに高揚感を覚えていた。

「私が壊してる…。私が…!」


自分にもできることがあった。

その感覚が女を支配する。

「憎いものは壊す!」


「消えちゃえ!」

小型怪獣の標的が神機に変わった。




「ぐあっ…!」

小型怪獣の攻撃が神機を襲う。

凪は操縦席に戻り、神機に剣を持たせる。


神機の動きが鈍い。

小型怪獣の攻撃を交わしながら、小型怪獣を斬り伏せていく。

しかし、斬っても斬っても次々と現れる。


「くっ…!」

地上からは戦車。

空中からは戦闘機が数を減らしてくれてはいる。


しかし、生まれる数が尋常じゃない。

「どうする…?」


澪のことが頭を過る。

一瞬、考えがそれた。


次の瞬間、怪獣の攻撃が神機を貫く。


「ガハッ…!」

凪が口から血を吹き出す。


澪には後ろから見えていた。

衝撃で揺れ、凪が血を吐き出す様を。


「いやあああああ!」

澪は目の前の状況に叫ぶしかなかった。




(痛い…痛い…)

凪はゆっくりと起き上がる。


目が霞む。

自分がどうなったのかも分からない。

どこが痛いのかも分からない。


目の前に血溜まりが見える。

(ヤバいかも…)


澪の叫ぶ声が聞こえる。

(どうにかしないと…)


妙に冷静になっていく。

澪が自分の名前を何度も呼んでいる。

(倒れてる場合じゃない…!)


「くっ…!」

「凪!」


凪は一気にペダルを踏み込む。

神機が飛び上がる。


神機の腹部が開く。

そこにエネルギーが集中していく。


「うおおおお!」

凪の叫びと同時に腹から放たれるエネルギー。

その一本のエネルギーは小型怪獣を倒しつつ、進んでいき大型怪獣にも当たる。

エネルギーは大型怪獣の3分の1を削り取り、爆発した。


怪獣の咆哮。


大型怪獣は活動を停止する。

根の蠢きが消え、小型怪獣も生み出されなくなる。

大型怪獣は地中に吸い込まれるように消えていった。


「はあ…はあ…」

息が荒い。

周りを見渡す。

町が炎の海になっている。


意識が遠のく。

「くそ…」

凪は怪獣の消失を確認すると気絶した。




「憎い…憎い…!

あのロボット…!」

女は頭から血を流し、パソコンの画面を見つめる。


怪獣の中、パソコンの画面だけが妖しく光る。

「こいつ…!こいつが!」

激しく自分の膝を叩きつける。


「また…私の…!

ああああああああ!」

地中深く、怪獣の根は激しく蠢いていた。

女の悪意は止め処なく、溢れていた。

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