恋は突然にクルから困る
目が覚めれば、リカちゃんに縋り付き泣いたことが恥ずかしくて、従業員控室から出れない。私はリカちゃんより年上なのに、不甲斐ない。
「あら起きたのね」
『メラさん…すみません…』
「気にしないで。はい、紅茶。色々触って使い方は大抵は理解したから」
『ありがとうございます!』
私は温かい紅茶を受取る。
「あのね、唯璃。今から凄い人達が来るわ」
『凄い人達が?』
「唯璃の世界にはゲームとかにも出てくる…エルフよ」
『エルフ?!』
「気難しいイメージがあるけど、多分…エルフは創造神をかなり崇拝しているから、唯璃を無碍にはしないし攻撃もしないわ。
同盟関係の私達ドラゴン領主がいるから、下手には動かないけどね。彼等からしたら、貴女も…人間だから…」
『メラさん達は、話を聞いたんですか?』
「聞いたわ。他の世界の唯璃がどうして、異世界に来てしまったか、理由も全て聞いたわ。
ごめんなさい、私達の世界の事に巻き込んで」
私はメラさんと手を繋ぎ1階に戻ると、既に美形な人達が数人いて、リカちゃん、サイさん、シルバーさんと口論していた。
『あの、皆さんどうかしましたか?』
「目が覚めたか、唯璃」
「ふん、やはり人間か。我等が創造神様が夢に出てきたから来てみたが…帰るぞ」
「だな」
「そうね、帰りましょう」
私を馬鹿にしたような、侮蔑な眼差しで見下ろす3人に、シルバーさんは帰れと言った。
「リカ、メラ、サイ、儂は暫くコチラにいる。皆は料理を持ち帰るが良いぞ」
「あー、そうするぜ」
「うん!」
「そうさせてもらうわ!」
『では、注文を取らせていただきます』
「俺の所はかなりの人数だ。ハンバーガー全種類100個、セットを3000セット、単品も3000個、頼むぜ」
「私も同じで」
「私も私も!」
『か…かしこまりました…』
見たことがない金額に顔が引き攣るし、売上はどうなっているのか気になる。
これまた神様の力?により、出来立て熱々が出来上がり、ご丁寧にそれぞれに別けてくれたため、それらを皆さんは次々とマジックバックに詰め込み、一旦領地に帰った。
「主等は帰らんのか?」
「え…と」
「……」
「…」
「唯璃は人間じゃが、こちら側の人間ではない。それを理解し来たのではないのか?」
「それ…は」
「用が無いなら帰れ」
「「「っ…」」」
私はシルバーさんを止めようとしたけど、シルバーさんは私を静止し背後に隠す。
「儂は唯璃より甘くはないからのぅ…」
うわ…イケメン老紳士が睨むと凄みが凄まじい…。
「去れ、儂が貴様らを八つ裂きにする前にな…」
スゴスゴ帰る美形エルフ3人は、コチラを振り返ると砂漠を歩き始めた。
「唯璃、良いか。甘い顔をするな。唯璃の世界は平和だったかもしれぬが、此処は違う。
まぁ…十中八九長が出てくるだろうがの。長とてエルフ。どう出るか分からん」
そう言うとシルバーさんはカウンター席に座り、温かい緑茶を飲みだした。
シルバーさんと話して分かった事は、シルバーさんは根無草で好きな所で寝て起きて、好きなものを食べ、好きな仲間と話をし、また、好きな所を探す。
エンシェントドラゴンは、番を見つけたら番と生き、子をなし、育て旅立つ日、自身の心臓を食べさすらしい。
理由は…若返りの秘薬になると、人間達からは言い伝えられてるらしい。
そんな言い伝えは無いと、カラカラとシルバーさんは笑った。
番か…。
シルバーさんをチラリと見れば、スラリとした体躯、シルバー色の髪に、ピンクの瞳、人間ならば58歳〜68歳ぐらいの老紳士。
声は落ち着きがあり、先程の鋭い眼光にはドキリとした。
イヤイヤイヤイヤ、相手はエンシェントドラゴン…って、相手って何!違うでしょ!違う違う!
「どうかしたかの?」
『もう…閉店なためシャッター下ろしてきます!』
「う…うむ」
顔が熱いなんて、気の所為だ。
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