粒子
存在しない筈の水が飛沫をあげる。
女の子は馬の前まで迫っていく。
"わはっ!人だと思ったら悪霊!
楽しめそぉ〜じゃの。"
馬の魔物は楽しそうな声を出しながら、女の子目がけ突進しだす。
突進する馬の衝撃波で地面が抉れ、建物が倒壊する。
〝癌発 甘味儡 水殺針〟
馬の真下に一個の飴玉が落ちる。
飴玉の落下点で無いはずの水が再度飛沫を上げる。
飛沫の中から水の棘が生え馬の腹部を貫く。
"ほぉ〜!良い力だな!でも。ものたりぬぞ!"
馬は明るく言うと、後ろ足で地面を蹴り女の子へ距離を詰めようとする。
馬が女の子に触れる寸前。
水棘による傷跡を軸に身体が溶け出す。
溶け出し始め数秒後、馬は完全に溶けて消えていった。
[来るよ!次の魔物が。]
少女が女の子へ伝える。
それと同時に鳥の魔物が突進してくる。
鳥が翼を振るうと同時に女の子と少女目がけ瓦礫が飛ばされる。
[無駄。]
少女が瓦礫を指さす。
〝眼複時隷 斑狩〟
少女の術で地面に出現していた黄色い眼球が瞬きをする。
直後、眼球が破裂し血液が辺りに飛び散る。
血液の真上を鳥が通ると、血液は鋭く尖る針へと変わり、無数の針が鳥を襲う。
鳥は地面へ落ち、粒子の残骸へと変化した。
[帰るよ。]
少女が女の子へ問いかける。
[分かったよ。]
女の子は頷く。
そして二人はその場から去っていった。
クロと銀は魔物を探し瓦礫の上を歩き回る。
"人みっけ!突進!"
何処からか嬉々的な声が聞こえる。
二人は辺りを見渡すが声主を視認できない。
突然瓦礫が砕け、羊型の魔物が姿を見せる。
そして、羊は自身の羊毛に包まりクロめがけ突進してくる。
「下がっててね銀ちゃん。
あと…もしぼくの霊気が尽きたら介護よろしく!」
〝憑霊 無 闘気攻戦〟
クロの拳が突進してくる羊に激突する。
拳がぶつかると同時強大な衝撃波が辺りに放たれる。
羊は跡形もなく散っていき、積み上がっている瓦礫すらも消えていく。
衝撃波が止むとクロは膝から倒れ込む。
「大丈夫?」
銀がクロの傍へと駆け寄っていく。
「無事!ギリギリだけどね。」
クロは銀へ微笑みかけた。
二人はホテルへ戻ろうと歩み出す。
一歩踏み出すと、散ったはずの羊の粒子が何処かめがけとんで行く。
「行こう!」
クロは銀の手を引き粒子を追いかける。
粒子は都市の中心で集い始める。
"顕現 50% 情緒連綿"
粒子の内部から少女の声が聞こえる。
数分後、粒子は焦茶色の髪と緑眼を持つ少女へと変化した。
"連綿って呼んでいいよ。"
粒子から出た少女は小さく微笑んだ。
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