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『光と陰ースピンオフ冒険譚』: ストレンジアトラクター『光と陰 いざ魔法世界へ!』  作者: 三海怜


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60/61

第60話

魔法世界に冒険者として生きる孤児であり主人公スタンリー・ケンプ。

そこに生きる人々の様々な些細な行動がまるでバタフライ・イフェクトのように世界を変えていく。


この物語のテーマとなる『ストレンジアトラクター』とは、難しくいうと・・・

カオス理論の研究の中で発見された奇妙な挙動を示す微分方程式の状態の総称のこと。

つまり動的システムが時間とともに発展する際に、予測不可能 で複雑なパターンを形成する現象を指すのです。


そんな泡沫の世界で生きるスタンリー・ケンプ

彼の目を通してその冒険譚を進めていきたいと思います。


また本編である『光と陰ー織りなす夢の形』のスピン・オフとして、本編シーズン4の最後と繋がる物語となりますのでお楽しみに!

王国の生死を担う巨大な葉巻型の宇宙船は、王都の背後に聳えるエデン山脈の山間地に隠され建造されていた。宇宙空間でも生存できる居住空間はクリーンエネルギー魔法を動力源として100人収容できる大きさのものである。そして建立中はカモフラージュシールドで隠されているため外部からは探知不可能なのだ。


翌日、装備や備品の搬入を終え乗組員全員が搭乗した。

艦長である第二王子のバルドリックとレオン王国のテレサ姫も乗船したところだ。

今回のテストフライトは魔導兵器を介したフリーダの空間転移魔法が実際ワークするのか?をテスト飛行するためのものである。


谷間の建設基地の櫓上に巨大な宇宙船が鎮座している。

100mはある長さの楕円形つまり葉巻型のシルバーの物体であった。

フリーダはそのコンコース前に立っており自らその大きさに圧倒されていた。

『果たしてこれを私1人で動かして宇宙へまで転移できるんだろうか?』と暫し不安顔になっているように見える。


そして、暫くすると気持ちを落ち着かて、彼女は空間転移魔法を増幅させるデバイスの上に座りヘッドギアを着用した。

そして、彼女の後ろには10人の魔導師も立ち彼女に支援魔法を付与する陣形を取っていた。

そろそろテストフライトが始まりそうだ。


その頃王都では、

「今日はフリーダはエデン山脈に行っているわよ!」とアデリナが彼女の不在理由をスタンとダミアンに告げた。

「テストフライトと聞いているけど、どこまで飛ばすんですか?」とスタンが尋ねると、

「そうね、最初から宇宙圏内までは移動させないと思うけど、単に魔導デバイスがきちんと稼働するか?のテストだと思うわ。」

「奴のことだから無事成功すると思うんだが、少し不安だよな!」とダミアンでさえも心配しているようだ。

すると、ティータイム中の特殊部隊本部に警報が鳴り響いたのだった。

「敵機接近中!敵機接近中!宇宙海賊と思われる機体が約30機高速で接近してきています!」とのアナウンスが入った。


「マジ!このタイミングで来たのか?!!」

「よし、フリーダはいないけど、スタン、ダミアン、3機で行くわよ!」

3人は早速、本命の敵機の出現に対応すべくBSに乗り込んだ。

アデリナ別邸のガーデンのように見せた緊急発射口の地表ゲートが開くと豪快に3機が飛び立っていった。


「マップに敵機が映っているわね!33機いるわ!」

「前回より動きが早いな!」

「このままの軌道だとやはり城を目指しているようね。」

「フリーダがいないから支援魔法の援助がないが、俺たち最前線で戦った方がいいと思うけど、

姫、どうしますか?」

「そうね、アイツらを通過させてしまうと王都が破壊されてしまうわね。アルベルトのBS騎士団も守っているから、私たちだけでなるたけ敵勢力を到着前に削りましょう!」

「わかったぜ! じゃ、俺とスタンが前衛で突っ込むから、姫はフリーダの代わりに支援魔法をかけてくれ!」

「わかったわ! 2人とも無理はしないでね!約束よ!!」


敵軍団が前方上空に見えてきた。

「すっげえ数だな!」

「だな、でも今まで鍛えてきた空中戦の技の見せ所だぜ、ダミアン!」とスタンは不思議と冷静であった。

彼らはすでに新開発の魔導砲を備えた攻守一体の新開発シールドを手にしていているのだ。

飛行中の空気抵抗を和らげるためにシールドは浅いお椀のような形状になっており、その隅に6門の威力的には低いが連発できる魔道砲が備え付けられていた。


「よっしゃ!突っ込むぞ!! 姫よろしく!」とダミアンが言うと、

スタンと共に敵30機のど真ん中に突っ込んで行ったのだった。

防御魔法と支援魔法によりバーストアップされた2機はシールドを手前に掲げ、まずは魔道砲のマシンガン攻撃で敵の陣形を乱した。


すると、突っ込んだ連隊の真ん中が空洞化し、飛行しながらダミアンが左側、スタンが右側の塊に向けて剣を抜き空中戦が始まった。

敵もレーザーキャノン砲で応戦しているのだが、今まで鍛えてきたアクロバット飛行の2人のコンビネーションはそれを避けながらの戦闘である意味芸術的あった。空転しながらもシールドで上手く交わし敵BSを刻んで行っているのである。

敵機の腕を落とし、足を切断し、攻撃力を削いでいる状況である。

2人が軍団を相手している中、敵3機が分かれてアデリナに向かっていったのだった。

「お前ら、あれが姫が乗ってる機体だよ!行くぞ!」


「姫、3機がそっちに向かいました!気をつけて!!」

例のハーラル隊であった。やはり以前より飛行技術が向上しているようだ。

あっと言うまにアデリナは3機に囲まれてしまった。

『しまった!』

味方の魔道砲が届く距離ではない。

「交戦状態になったから防御魔法を解くわよ!」と姫が言うと臨戦体制になった。

まず魔道砲が組み込まれたシールドでぐるりと回りながら360度を連射しながら間をとっている。


ダミアンとスタンはすぐにでも姫の支援に入りたいところだが、敵機が多すぎてそこまで手が回らない状況なのだ。

凄まじい攻防戦となっている。

「姫、持ち堪えてください!こっちをやっつけたらすぐに行きますので!!」とスタンが叫んでいる。 

アデリナはアーマーロードであり戦闘力も守備力も高いのだが、精鋭海賊3機を相手にすると1人では危険だと感じていた。


すると、ハーラルが連射していたレーザー砲が姫機体の飛行ユニットに当たってしまったのだった。

姫機は推進力を失い、ぐるぐると螺旋状に降下していった。

それを横目で見ていたスタンが、「姫〜!!」と叫んだ。

「ダミアン、もう半分に減ったから悪いがここを頼む!」と言って急遽姫の支援に飛んでいった。

「わかった! スタン!姫を頼む!!」


アデリナ機は、とりあえず砂丘に損傷なく上手く着陸できたようだが、上空には敵3機が旋回しながらひっきりなしに攻撃を継続していた。

「コイツはラグナルから生け取りにしろって言われてるから機体を無効化するだけで殺すなよ!」とハーラルが他2名に言った。


スタンはその3機の斜め上からシールドの魔導砲を連射しながら突っ込んで行った。

その攻撃で今度は敵エリック機がのフライングユニットがやられ地上に落ちていき着地した。


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