第56話
魔法世界に冒険者として生きる孤児であり主人公スタンリー・ケンプ。
そこに生きる人々の様々な些細な行動がまるでバタフライ・イフェクトのように世界を変えていく。
この物語のテーマとなる『ストレンジアトラクター』とは、難しくいうと・・・
カオス理論の研究の中で発見された奇妙な挙動を示す微分方程式の状態の総称のこと。
つまり動的システムが時間とともに発展する際に、予測不可能 で複雑なパターンを形成する現象を指すのです。
そんな泡沫の世界で生きるスタンリー・ケンプ
彼の目を通してその冒険譚を進めていきたいと思います。
また本編である『光と陰ー織りなす夢の形』のスピン・オフとして、本編シーズン4の最後と繋がる物語となりますのでお楽しみに!
「私そろそろカモフラージュシールドを張りますね!」とフリーダが。
敵側から見ると辺り一面の周辺環境が取り込まれ存在が目視できなくなるシールド効果があり魔防壁なのだ。
「そうね!そのほうが魔導砲部隊が到着してもバレないわね!」
4人はその間待ちながら学生時代の四方山話に花を咲かせていた。
「俺、姫を初めて見た時は、取り巻きに囲まれていて・・・アルベルトも中々俺たち風情を相手にはしてくれないとかの前振りがあったから雲の上の存在なんだなとずっと思ってたんだ。なのにこうして姫と一緒に戦っているなんて人生不思議だよなー」とスタンがボソッと言った。
「まあ、俺たちの特権って言ったとこなのかな!?」とダミアンのガッツポーズもでた。
「あれはあれで大変なのよ! 私だって心地よくはないのよ。でも好意は無下にはできないしね。こういった目的をともにする仲間と一緒にいた方が全然お気楽よね!」
「そういえば、姫! スタンの看病にずっと2人きりでいましたよね!」とフリーダがここぞとばかりに踏み込んできた。
「ええ、そうよ!だって私の命の恩人よ!そのぐらいしないと悪評が立っちゃうでしょ!?護衛の命なんか気にしてない鬼姫とか いかにも神聖教会がいいそうよ。」
ダミアンも「まあ、それもそうだな。でも、俺も姫に看病してもらいてえな!そうなったら優しく頼むよ、姫!」
「それはそうよ!私達同じパーティーなんだから。」と実際に2人の間にあったことは黙秘していた。
「それはそうと、そろそろ到着時刻じゃないですか?」
「見つかるとまずいから、彼らもカモフラシールドを張りながら移動していると思うの。」
「探知魔法で位置を探してみますね。」と言ってフリーダはパネルを広げた。
パネルはマップに連動しており、すでに魔導砲部隊のルートがインプットされているので場所がわかるのである。
「ここにいますね。そろそろ到着ですよ。」
「あれ!!消えました・・・」
「消えた?? パネルの不具合なの?」
「いえ・・・パネルは正常のようです・・・」
「状況を確認したいけど通信すると敵にバレるわね・・・」
するとフリーダが、「私が確認に行ってみます。」
「1人で大丈夫?」
「皆さんはここで構えていてください。何か緊急事態があれば連絡入れますので。」
と言って想定目的地に向けて飛んでいった。
そこでフリーダが上空から目の当たりにしたのはなんと魔導砲部隊全滅の悲惨な光景であった。
魔導砲を搭載したキャタピラタンクは10機がすでに炎上し大破していたのであった。
「今上空なのですが、魔導砲部隊は全滅です! 部隊が何かしらの襲撃を受けて破壊されています!」
「全滅?? 付近に敵らしきものはいないのか?」
「見当たりません・・・」
「一体 どうしたんだ??」
「生存者は?」
「今、降りて確認していますが、全員何者かに惨殺されています。殺傷されたみたいですね。」
「もしや・・・魔族か??」
「この後に及んで魔族か!」
「ということは、宇宙海賊と魔族が手を結んでいるのか??」
「わかった、フリーダすぐ戻ってきて!」
「どうする、姫?? 俺たちだけで戦えるのか??」
「・・・・・」
「奇襲するってのはどうかな? 俺たちも10機やられたんだしこれで黙って帰るわけにはいかないだろ!?」
「王都で魔導砲部隊が防御体制に入っているから、俺達がここでできるだけ敵を削ってすぐに逃げるってのはどうだろうか?」とスタンが提案した。
「そうね!王都に攻め込まれる前に、ある程度やっつけて機体数を減らしておいた方が得策といえば得策よね。ただ、全員無事に帰れるのかしら?」とアデリナはメンバーの無事を優先しているようだ。
「姫!やれるぜ!!俺たちだったら!使い魔が守ってくれるぜ!!」
「俺も賛成だ!俺とダミアンで奇襲するから、姫はフリーダを守りながらフリーダとともに遠隔攻撃をしてもらいたい。フリーダは俺達に防御魔法と支援魔法をかけてくれ!」
「いいわよ。でも、私の使い魔はあなたよ!あなたは使い魔いないんだから気をつけてね!!」
「よっしゃ!! スタン、久々に燃えるな!! やってやろうぜ!!」
「わかったわ! でも、あなた達、くれぐれも無茶しちゃダメよ! あまり深く踏み込まないでね。あなた達がいなくなると王都も防御できなくなるから!」
「わかりました!姫! じゃ、早速行きますよ!」と2人のBSはカモフラージュシールドを張りながら敵陣へ飛んでいったのだった。
「敵陣確認、これからカモフラシールドを解いて攻撃する。まずは中心に突っ立ってるロボット軍団を攻撃する。」という通信が入った。
そして、フリーダは彼らが突撃する直前に遠隔攻撃としてBSから大振りなファイアーボールを連発した。
まずはそのファイアーボールが敵陣を火炎の渦と化した。そこにスタンとダミアンがアクロバット飛行訓練で習得した撹乱飛行をしながら双剣とアックスで切り裂くという技法で先陣を切り、各々1機づつ反復攻撃で20機は連続で破壊できたようである。その襲撃に気付いた宇宙海賊達は次の瞬間に防壁上のレーザー砲がスタン達を捉えていた。
「やばい!ロックされた!」
「スタン!俺の影に入れ!シールドで避けるぜ!」とダミアンが言うやいなや敵のレーザー攻撃が飛んできたのだった。
ダミアンは飛びながら、シールドでレーザー攻撃を受けたのだが、あまりにも強力なため防御魔法の層を破り直撃しすっ飛ばされてしまった。




