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『光と陰ースピンオフ冒険譚』: ストレンジアトラクター『光と陰 いざ魔法世界へ!』  作者: 三海怜


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54/62

第54話

魔法世界に冒険者として生きる孤児であり主人公スタンリー・ケンプ。

そこに生きる人々の様々な些細な行動がまるでバタフライ・イフェクトのように世界を変えていく。


この物語のテーマとなる『ストレンジアトラクター』とは、難しくいうと・・・

カオス理論の研究の中で発見された奇妙な挙動を示す微分方程式の状態の総称のこと。

つまり動的システムが時間とともに発展する際に、予測不可能 で複雑なパターンを形成する現象を指すのです。


そんな泡沫の世界で生きるスタンリー・ケンプ

彼の目を通してその冒険譚を進めていきたいと思います。


また本編である『光と陰ー織りなす夢の形』のスピン・オフとして、本編シーズン4の最後と繋がる物語となりますのでお楽しみに!

いつものようにアデリナ部隊の訓練が終わり、スタンを伴って訓練場から続く回廊を歩いているときであった。

回廊の天井に隠れていたアサシンが気付くや否やナイフをアデリナ目掛けて放ったのだった。

気配に気づいたスタンであったが、あまりにもとっさの出来事であったのと城内のため油断もあり背中の剣を抜くことができなかったのだった。

『まずい!このままだと姫にあたる!!』と思い、無意識のうちに自分の体で彼女を防御したのであった。


ナイフはスタンの左腕に刺さりアデリナを防ぐことができた。「あっ 毒だ!」と言いつつ激痛を抑えて彼は右手で背中の剣を抜くと天井のアサシン目掛けて投げつけた。スタンの反撃も俊敏であったためアサシンもそれを避けることができずに腹部にぐっさりと刺さり回廊の床にうつ伏せに落ちてきた。

彼の剣はさらに体を突き抜けそのアサシンは動かなくなってしまった。


スタンは立ち上がり死亡を確認したのであるが、次の瞬間に倒れてしまったのだった。

「スタン、スタン? 大丈夫?」アデリナの声である。

「あ、姫、無事でしたね・・・毒がわまったみたいです・・・」というと意識を失ってしまった。


スタンをすぐに医療室に運び王宮の白魔導師らによって解毒回復魔法をかけさせた。

「これで大丈夫だと思います。全回復するかは本人次第ではありますが。あと少しでも遅れていたら毒が身体中を回って危ない状態となっていました。」

「よかったわ!ありがとう!スタンは私の身代わりになったのよ。」

彼らが去った後アデリナはスタンの手を握ってベッドの横にずっと座っていた。

『スタン、目を覚まして。これは私のせいね・・・元通りに治ってね。お願い!』

スタンは夢にうなされていた。

「姫! 姫!」

「私はここよ!スタン、大丈夫?」と言ってさらに強く手を握りしめた。

すると、彼は目を覚ましたのだった。


「あっ、姫、無事だったんですね!良かった〜」と力なく言った。

「スタン、ありがとう!おかげで私はなんともなかったわ。あなたは毒でやられて・・・魔導師が治療をしてくれたからもう大丈夫よ。命を張ってバカね。」と彼の側で涙ぐんでいる。

「だって、俺は姫の護衛ですから。」

「腕は動きそう?」

彼はゆっくりと動かしてみた。

「一応 大丈夫そうですね。 でも痛みが凄いです。」

「治るまでゆっくりしていてね!」

「あなたが、動けるようになるまで私は隣にいるわ。」

「ええ? ここにいて大丈夫なんですか?」

「だって、命の恩人よ!あなたもまだ腕だったから良かったけど胸に刺さったら死んでいたわよ。

私だって同じことだったから。」

「ありがとうございます!姫が側に居てくれると気持ちが安まります・・・」と言ってまたガクッと寝てしまった。


姫を狙ったアサシンは死亡したため依頼主が不昧であるが、局の調査によるとアデリナ姫の人気急上昇を憂いた神聖協会側がなんらかの関与をしているのではないか?という見立てであった。


姫は約束通りスタンが起き上がって歩けるようになるまでずっと側にいた。

それによって2人の間はさらに深まり、病室での2人だけの空間の中ではまるで恋人同士のような雰囲気にもなっていた。

「姫、本当にありがとうございます!こんなに介抱してもらって・・・ 

やられたお陰で素晴らしい時間を過ごすことができました。」と言ってニッコリ笑った。


彼の意を汲んでか?

「スタン、2人だけの時はアデリナでいいわよ。」

「えっ・・・」と顔が赤くなった。

「言ってみて!」

「ア・デ・リ・ナ」恥ずかしいようだ。


「いいわね」と言ってなんとゆっくりとスタンに口付けしたのであった。

スタンは驚き、アデリナのなされるままになった。

そしてキスをしたまま2人は抱き合いベッドの上に横になった。

アデリナはスタンを抱擁しながらディープなキスをしていたが、彼女が強く抱きしめたため、

「あっ、いてて」

「ごめん、スタン!強すぎたわね!」と言って笑ったのだった。

「私、あなたが好きよ!これからもずっと私の隣に居てちょうだい!」

「俺もです!アデリナのためなら俺なんでもやります!」

この瞬間以降は、2人の関係は男と女の関係になって行ったのであった。


一方 フリーダの方は、スタンとアデリナが不在の期間はダミアンと学園に戻っていた。

「なあ、フリーダ! スタンがいないと寂しいだろ??」

「ええ、そうね。いつも一緒だったから。体の一部がないみたい。それに部屋に戻ると1人だからシーンとしているの。」

「今更つかぬことを聞くが、お前、スタンと男女の関係なのか?」

「えっ 彼とは仲はいいけど、体の関係はないわよ!でも大好きよ!」

「そうなんだ。俺だったら、絶対そんな関係じゃいやだけどな。」

「私だって色々と辛いのよ・・・」

「しかし、姫がずっとヤツの看病をしているじゃん。あの2人だけにしておいて大丈夫なのかい?」

「だって、面会謝絶なんだからしょうがないでしょ!? 私はスタンのこと信じているわ!」

「けどなー 姫は美人だしあの魅力に奴は耐えられるのかなー・・・」

「変なこと言わないでよ!! 私の身代わりになったから無責任に放っておけない と言っていたわ。」

「それより、あなたは彼女できたの??」

「えっ カウンターかよ?? いねえよ! だけど、俺、あのレオン王国のテレサ姫に憧れちゃうんだよな〜!!ていうか、それしかねえだろっておもってるぜ!」

「最初に会ったときからそう言ってたわね!? スタンが退院したらまた訪問してみましょうか?!」

「おっ いいねー 合同訓練とかでか!?」


というような、呑気な会話が出てくるような平和なひと時が学園内には流れていたのだが・・・

アルメリア諸国連盟から緊急の死者が訪れたのだった。






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