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『光と陰ースピンオフ冒険譚』: ストレンジアトラクター『光と陰 いざ魔法世界へ!』  作者: 三海怜


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51/63

第51話

魔法世界に冒険者として生きる孤児であり主人公スタンリー・ケンプ。

そこに生きる人々の様々な些細な行動がまるでバタフライ・イフェクトのように世界を変えていく。


この物語のテーマとなる『ストレンジアトラクター』とは、難しくいうと・・・

カオス理論の研究の中で発見された奇妙な挙動を示す微分方程式の状態の総称のこと。

つまり動的システムが時間とともに発展する際に、予測不可能 で複雑なパターンを形成する現象を指すのです。


そんな泡沫の世界で生きるスタンリー・ケンプ

彼の目を通してその冒険譚を進めていきたいと思います。


また本編である『光と陰ー織りなす夢の形』のスピン・オフとして、本編シーズン4の最後と繋がる物語となりますのでお楽しみに!

「なるほど・・・それはありえるな!?」と腕を組みながらアルベルトも納得したようだ。

「あんな可愛い顔してやることがえげつないな!敵と組むなんて!!」とダミアンも憤慨している。

するとアデリナは「まだ想定の域なので私も裏を取るようにします。」そして続けた。

「ヘンドリックの死は受け止めなければなりませんが、一緒に戦った盟友です。彼の死を無駄にしないように皆で力を合わせていきましょう!それに、今後、私も含めてあなた方も魔族に襲われるリスクがありますので十分注意して行動してください!」と言って去っていった。


残されたパーティーメンバーはヘンドリックと過ごした時間の思い出を話したりと、初めての仲間の死を迎えて重く悲嘆に暮れた雰囲気となっていた。

「ヘンドリックがな〜 あれだけ冷静だったのに。まさか自宅で襲われるとは思わないよな・・・この大学にいれば少なくとも結界が張ってあるからヤられることはなかったんだろうが・・・」

その静寂な時間の流れの中で構内に緊急放送が流れた。


「学生諸君、これは緊急連絡である。王都に魔族の襲撃があった。戦える者は至急武装し正門に集合してもらいたい。現在王都の至る所で魔族によるテロ行為が行われているとのことだ。この大学にも王立軍から先ほど対処依頼が入った。学生諸君にもパーティー単位で対応をお願いするため速やかに集合願いたい。」


「え、と言うことはヘンドリックを襲った魔族だけではないのか? 一体何体入っているんだ??」と緊急放送に驚いたアルベルトが言った。

「では、すぐに武装して正門に行きましょう! 」とフリーダが言うと、

「わかった!ヘンドリックの弔い合戦になるな! やってやるぜ!!」とダミアンも気を取り直していつになく気合が入っている。


正規軍のサポートに学生パーティーも3カ所に分けて派遣されることになった。ヘンドリックをヤッた魔族の他に2体も入国しているのだ。市街地は住民が次々と殺戮され死体が路面に転がっている見るに絶えない光景となっていた。そして、泣き叫びながら逃げ惑う女子供がいた。

大学付近はゲルハルトとケレブリン教授が支援する部隊が対応しているため、魔族に耐性がある教授陣は早々に敵を撃退できた。


残る魔族は2箇所となり、ヘンドリックを殺した奴がいる商業地区と王宮に迫る貴族街であった。

スタンを含むアルベルトのパーティーは商業地区に向かったのだった。

「俺はそいつを絶対に許さないぜ!!」とダミアンが憤っている。


6人が到着してみると、市街地にも無惨にいくつもの死体が転がっていた。

そして左側の路地で人の悲鳴が聞こえた。

一行は急いで路地に向かってみると、背中から触手が出ている不気味な魔族がいたのだった。

長髪で顔色が青い長身の男で魔族風の黒尽くめの服を着ている。

そう、ヘンドリックを殺した魔族である。


「なんだ、こいつ!?背中からなんか生えてるぜ!! 気をつけろ!!」

まずフリーダが路地裏から誘き寄せるためにファイアーボールを1つ放った。

咄嗟に背後からの攻撃により少しダメージを受けた魔族は振り返った。

「お前ら、あのアーチャーの仲間だな! ノコノコ来るとは手間が省けたぜ!ついでに1人残らず殺してやるわ!!」と言いながらこちらに向かってきた。


こちらのフォーメーションとしては、アメリアがプリーストのため最後尾、そして彼女をフリーダが守る。その前にはメイジのユリアーナが魔法攻撃をできるように構えている。前衛はアルベルトを中心に右側にダミアン、左にスタンの陣営だ。まずはフリーダがハブとなり、強化魔法に支援魔法、そして防御魔法を各メンバーにかけた。


「こいつ!ヘンドリックをヤッたやつだぜ!!絶対許せん!!背中に突起が4本あるな!俺が右側をやるから、アルベルトは左側を頼む!スタンは首を狙ってくれ!弔い合戦だ!!行くぜー!!」と言うと、シールドを構えながらビームアックスを振り上げもの凄い剣幕で攻めて行った。そしてアルベルトも長槍を振り回しながらシールドを構えて左側を突いて行ったのだった。


彼らの攻撃の合間合間にユリアーナのアイススピアの攻撃が入った。それに気を取られた魔族はアルベルトとダミアンに1本づつ突起を切り取られてしまった。

「やったぜ!! あとは2本だけだ!」

たまりかねて魔族は防御魔法をかけた。


すると、彼らは攻撃するも弾かれてしまった

「フリーダ!奴の防御を無効化できるか?」

「やってみるわ!」

彼女は無効化魔法をかけ敵の防御魔法を無効化した。

すると奴の背後に光の槍のような輝くものがいくつか現れてフリーダ目掛けて発射したのだった。


フリーダは咄嗟に防御シールドを3枚作り防御したのだが、その間前にいたユリアーナが攻撃を避けながら再度アイススピアを6本放った。

それが、防御がキャンセルされた魔族に突き刺さったのだった。

ダミアンとアルベルトは突起を対処していたのだが、アルベルトが、「今だ、スタン!!」と叫んだ。

隙を見ていたスタンは双剣を振り上げ、斬撃を飛ばしながら敵の正面に走り込むと、大きくジャンプし十時に構えていた双剣を対象の頭に向けて突っ込むと首が飛んでいった。


まだ、触手は動いている。

ダミアンとアルベルトがそれを切断し、アルベルトが胸に槍を差し込みダミアンが足を払った。

そして、フリーダがファイアーボールを連発するとその魔族の体は溶け出し消えて行ってしまったのだった。


「やったぜー!!」ダミアンの歓声が上がった。

「こいつはヘンドリックの仇討ちだな!」

「しかし、魔族って恐ろしいな! 俺ひとりだったら対応しきれなかったかもしれないよ。俺たちのチームワークがあったから殺せたんだと思う。ヘンドリックが不意を突かれてやられてしまったのも頷けるな…」

「そうね! 今度は私達魔族対策もしないとならないわね!」とフリーダが言った。


そして、王宮近くにもう一体残っていた魔族もアデリナ姫率いる魔道部隊にやられたとのことで3体全てクリアできたわけだが、殺戮された民は軽く100人を超えていた。

その後、彼らが予想した通りに神聖教会側は王の統治の甘さを批判し信者を増やして行ったのだった。

それに対して、王族側は今回の魔族侵入に関する神聖教会側の関与の裏付けを取っているのであるが、なかなか物的証拠が見つからない状況であった。


「魔族からの攻撃からは我々神聖教会のご加護があれば守られます。いつでも神の家に歓迎しますよ。」と言うのが今の神聖教会側のキャッチフレーズとなっている。そして、案の定 国民へのアピールとして時期女王というイメージ戦略にて若い世代に人気なシャルロッテ姫を擁立してきたのだった。そして、シャルロッテをイメージ塔にして主に貧困層を獲得して行っている状況である。


アデリナ姫が、「これは由々しき事態・・・国が分裂しかねませんね。シャルロッテは自分の野望のために神聖教会に利用されているだけだと思いますが残念ながら一種の国賊ですね。王はどういう対応をするのでしょうか?」と頭を抱えている。

「そうですね。私達は王族には手を挙げられませんからね。」とアルベルトもアデリナな心中を察していた。


このブリンデンブルクの王都を図解すると、堅牢な城壁に守られたほぼ楕円形の土地は城が聳える北側の楕円の外側にはユグナー川が流れている。城下町には貴族階級の館が並び、その下の中心には商業地区があり商家がマーケットを取り巻いている。そして、南側の城門の入り口に近いエリアは下町となり工場や城壁外に農地を持つ農家などの一般的な国民が生活するエリアとなっているのである。



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