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『光と陰ースピンオフ冒険譚』: ストレンジアトラクター『光と陰 いざ魔法世界へ!』  作者: 三海怜


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44/63

第44話

魔法世界に冒険者として生きる孤児であり主人公スタンリー・ケンプ。

そこに生きる人々の様々な些細な行動がまるでバタフライ・イフェクトのように世界を変えていく。


この物語のテーマとなる『ストレンジアトラクター』とは、難しくいうと・・・

カオス理論の研究の中で発見された奇妙な挙動を示す微分方程式の状態の総称のこと。

つまり動的システムが時間とともに発展する際に、予測不可能 で複雑なパターンを形成する現象を指すのです。


そんな泡沫の世界で生きるスタンリー・ケンプ

彼の目を通してその冒険譚を進めていきたいと思います。


また本編である『光と陰ー織りなす夢の形』のスピン・オフとして、本編シーズン4の最後と繋がる物語となりますのでお楽しみに!

「エルフの国には伝説が残っていまして、『双剣を持った勇者が国を救う』と言うことなんです。だから、姉もスタンさんをその伝説に重ね合わせたんだと思います。」とアリエルが言った。

「そうなんだ!? でも俺、どう見ても勇者じゃないよな・・・」

「そのうちそうなるかもしれませんよ!」と笑っている。

すると、アデリナも、「私はそう言った伝説や言い伝えは何か意味を持っていると思っているの。王家にも様々な言い伝えがあるからそう思うのかもしれないけどね。ただ、この今、我々はエルフの国に行くことが必要なんだと何故か感じるのよね。」と言った。


一行はアリエルを先頭にどんどん深い森に入っていった。

すると霧が濃くなりあたり一面が幻想的な世界になってきた。ブナの大樹が繁り足元にもその太い根が張っている。そして1m先は深い霧に遮られた視界となってきた。

「先が見えないな!」と根に阻まれダミアンは足元がおぼつかないようだ。

「ここは白い森と言われていて、いつも濃い霧に覆われているんです。」

スタンは内心『この霧の森はどこかで・・・』と思った。


一歩づつゆっくりと進んで行くと、さらに幹が10mもあろうかという巨大な4本のブナの木が彼らの行く手を阻んだのだった。

「この木が邪魔で先に進めませんね!」とフリーダが言うと、その瞬間に大木達が動いたように見えた。

ヘンドリックが「あっ あの枝動いているよ!!見て!!」と叫んだ。すると上にあった長い枝が降りてきて最前列にいたダミアンをまるでロープで捉えるかの如く巻きつけ宙に上げたのだった。


アリエルが咄嗟に前に出て、「Mae govannen!(マエ ゴヴァンネン!)」と大きな声で叫んだ。

すると木々の動きは止まり、ゆっくりとダミアンを下ろし元の形状に戻ったのだった。

そして4本の木の真ん中の隙間が広がり洞窟のような道が開けたかと思うと先に進めるようになった。

「驚いたわー!!」

「あの木達はエルフの国の門番なのです。 これで私たちはやっとエルフの国に入ったことになります。あとは所々に罠があるので気をつけてくださいね!」


しばらく進んでいくと、アリエルが「止まってくささい!」といきなり叫んだのだった。

すると彼女は手で隠れていた仕掛けを指して、「ここを踏むと矢が飛んで来るのです。」と仕掛けを解説した。

「あっぶねえな!! こんなのたくさんあるのか??」と最前列にいたダミアンが驚いている。

「あとは落とし穴とかですかね? 注意して歩いていけばなんとなくそこだけ違いますので分かりますよ!」

「俺には全く違いがわからねえな・・・・」


さらにアリエルが先頭に立ち罠を避けながら進んでいくと、少しづつ霧が薄くなり、木々の間から青空が見えるようになってきた。

「そろそろ神樹の森ですよ! ここまで来ればもう大丈夫ですよ!」


爽やかな空気に包まれた森をさらに進んでいくと、可愛いログキャビンがいくつか見えてきた。

「あれがエルフの里です!」

「へえーエルフの里ってこんな感じなのか!?」とスタンが言った。

「なんか、おとぎ話みたいなところで可愛いですね!!」とフリーダは夢見心地になっている。

すると、まるで彼女達が来るのを予期していたかのように一番大きなログハウスの中からエルフの長老と思しき男が出てきたのだった。


「アリエル、無事じゃったか!?」と声をかけた。

「お父様、お役目を果たせました!ブリンデンブルク王国のアデリナ王女の御一行と双剣の勇者たる方もお連れいたしました。」

「これはこれは、我が里にご訪問頂き感謝しております。何もないところですが、まずはお寛ぎください!」

と側近に宿泊する場所となるログキャビンに案内させた。


「へえー このログキャビンってなんか居心地いいなー」

「森の温もりを感じますねー」

スタンはこのログキャビンの中を見回しながら何故か懐かしさを感じていた。


するとヘンドリックは「この森って不思議ですね! 寒くもなく暑くもなくいい温度で管理されているような・・・」

「確かにそうね!森の力で調節されているかしら!?」とアデリナも気がついたようだ。

「これが神樹の力なんだろうか?」とスタンがもっともらしいことを言った。

「なんか、来るときの道すがらアリエルに聞いたんだけど、その神樹が私たちの国で言う結界を張っていて魔族が入ってくるのを防いでいるらしいの。それが・・・西側の森がどんどん枯れてきているらしく、年々エルフの森が縮小しているってことみたいなの。」とフリーダが聞いたこと説明した。

「なるほどね!でも、それはなんで?」


「それが、バハムート帝国が魔獣を使って少しづつ侵食してきているとか・・・このまま木々が枯れていくと結界の一部が破られるとか言っていたわね。」

「じゃ、バハムード帝国がエルフの国に侵攻しようとしているってことなんだね!でもなんで??」とスタンは興味があるようである。




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