第43話
魔法世界に冒険者として生きる孤児であり主人公スタンリー・ケンプ。
そこに生きる人々の様々な些細な行動がまるでバタフライ・イフェクトのように世界を変えていく。
この物語のテーマとなる『ストレンジアトラクター』とは、難しくいうと・・・
カオス理論の研究の中で発見された奇妙な挙動を示す微分方程式の状態の総称のこと。
つまり動的システムが時間とともに発展する際に、予測不可能 で複雑なパターンを形成する現象を指すのです。
そんな泡沫の世界で生きるスタンリー・ケンプ
彼の目を通してその冒険譚を進めていきたいと思います。
また本編である『光と陰ー織りなす夢の形』のスピン・オフとして、本編シーズン4の最後と繋がる物語となりますのでお楽しみに!
南に向かうと最近アデリナ姫が親交を深めたレオン王国が盟主のアルメリア諸国連盟
西に向かうとバハマート帝国がある。
バハマートは妖魔や魔獣などを従えた魔力が強い人種いわゆる魔族が君臨する国家と言う表現が当たっている。そのため決して人族のブリンデンブルク王国とは交わることがない永久敵国というイメージが歴史的に確立していたのである。
しかしながらこれまでは人族のブリンデンブルク・アルメリア連合国家に向けて侵攻してくる気配はなかった。何故なら王国魔導師らにより国境に強力な結界が貼られており強固な防御体制が敷かれているからなのだ。
エルフの森はブリンデンブルクを中心に見ると、北東のやや寒冷地にかぶる深い森林地帯にあるとの噂があるが実態は前人未踏の謎の森となっていた。
エルフ自体、ブリンデンブルク国内には魔法科学院大学教授のケレブリンとその妹のアリエルしか存在が確認されていないほど希少な人種いや亜人といったらいいのだろうか。謎が多い亜人という定説の中で、昔から知られていることは、透き通るような白い肌に金髪碧眼、人族を上に引き延ばしたように身長は高く比較的スリム、顔は鼻と耳が尖り気味なところが特徴なのだが、手足や首が長めのため全体的な骨格が人族と違って美しく可憐に見えるシルエットに特徴があるのだ。種族的には風魔法や土魔法が得意であり雷魔法も使用する。そして弓や槍を使用した戦い方が戦闘時には好むようだ。
彼らは集団社会性が弱く個々に行動することが基本理念になっているため、種族の長は存在するものの生涯テーマや興味の追求によって各々人生を送っている。何故なら人族と比較すると10倍を超える長寿があるとのことで、わずか60年前後の人族とは時間の流れ方が違うため価値観も違っているのである。また生殖本能も低くロマンスよりもフォロソフィーを好む民族性があるため人数も徐々に減りつつあるのだ。
そしてアデリナのパーティーはそのエルフの国を目指して北東に向かっていた。
ブリンデンブルクとの境界線を過ぎて暫く行くと、あたりは深い森に包まれてきた。
「魔動機で行けるのはここが限界になるね・・・」と操縦していたヘンドリックが言った。
「残念だけど、ここからは徒歩になるわね。みんな荷物を持って進みましょう!」とアデリナが勇気づけて先導した。
この森はいずれエルフの森に通じるわけではあるが、そこまでの道が人類にはわからず、案内人なしに進んだ場合は堂々巡りをして森の中を彷徨ってしまうことになるのだ。それは、どこを見ても同じ森に見えるからであり、些細な違いを見つけることができるエルフ族のみが到達できる場所なのであった。
今回は、エルフのアリエルが先頭に立ち、慎重に一歩一歩進んでいる。
「そろそろ暗くなってくるから、安全そうな場所を見つけて野宿しようぜ!」とダミアンは引き続き冒険者ライフを楽しんでいるようだ。
すると、ヘンドリックが「ここなんかいいんじゃないか!?」
ブナの木が茂る一画に小さな泉を発見したのだった。
「そうだな!水があると何かと困らねえからここにしようぜ!」と
どうやら場所はすぐ決まったようである。
森から枝を集め焚き火を囲みながら、王都から持ってきた保存食を火で炙って夕食の準備中であった。
「しかし、久々にパーティーメンバーで冒険ができるなんて気が楽で楽しいわ!」とアデリナが突然言い出したのだ。
他のメンバーはその言葉に『この状況なのに…やっぱり一国の姫ともなると色々と気苦労があるんだな!』と感じたのだった。
「ところで、姫!私達がバハマート帝国に偵察に行っているころ、レオン王国に表敬訪問に行かれましたよね?」
「ええ、行ったわよ。」
「フェルナンド若王はイケメンじゃなかったですか!?」と同性としてフリーダが姫に探りを入れてみたのだ。
そして他の男メンバーは『もちろんYESだろう!』という答えがくると確信して聞き耳を立てていた。
「ええ、そうね。でも、私はいわゆる世間がイケメンという男性には以前からあまり興味をもてないの・・・」
「えっ、そうなんですか!?」と期待と反していたため一同驚いている。
「では、ちなみにお聞きしていいですか? 一体姫はどんなタイプがお好みなんですか?」とフリーダが突っ込んで言った。
「そうね・・・今のところ残念ながらあまり心を奪われるような経験はないのよね・・・」
「いやー 俺たちはてっきりあんなフェルナンド王みたいなカッコいい王だったら、アデリナ姫には似合うんじゃねえかな!って言ってたんですよ〜」
「まだ出会いがないのかしらね〜・・・」
「それはそうとスタンはフリーダと使い魔契約をしていると聞いたけど、あなたはスタンみたいなタイプが好きなの?」と今度は逆にフリーダがカウンターを喰らってしまった。
「それをどこで?」となぜ秘密が漏れたのか不思議そうである。
「私は一国の王女よ!当たり前でしょ!!」とスタンから聞いた事は隠している。
若い男女が焚き火を囲んで和むと異世界でもこんな話題になるのであろう。
「はい、でも、大学を卒業したら、一旦フリーにしてあげとうと思っています。」
「俺は貴族の子弟ではないし、孤児だから・・・フリーダが気を使って使い魔契約をしてくれたんです。直前で、ケレブリン教授に偶然会って特待生候補にしてくれたんですが。」
そこで、姉の名前が出てきたのでアリエルも会話に入ってきた。
「えっ、なぜお姉様がスタンさんを気に入ったのですか?」と姉は異性には興味がないとおもっていたので興味津々である。
「あ、理由はね、俺の双剣を見たからなんだ。それを託されたものにはなんかの使命があるとかで・・・詳しくは教えてくれなかったんだけど。」
「確かになー お前の双剣は特殊だからな!」
「へえー そうなんですか!スタンさん、あなたはエルフの国に導かれているような気がします。」とアリエルが少し驚いた表情に変わっていた。
「えっ そうなのか!?」




