第38話
魔法世界に冒険者として生きる孤児であり主人公スタンリー・ケンプ。
そこに生きる人々の様々な些細な行動がまるでバタフライ・イフェクトのように世界を変えていく。
この物語のテーマとなる『ストレンジアトラクター』とは、難しくいうと・・・
カオス理論の研究の中で発見された奇妙な挙動を示す微分方程式の状態の総称のこと。
つまり動的システムが時間とともに発展する際に、予測不可能 で複雑なパターンを形成する現象を指すのです。
そんな泡沫の世界で生きるスタンリー・ケンプ
彼の目を通してその冒険譚を進めていきたいと思います。
また本編である『光と陰ー織りなす夢の形』のスピン・オフとして、本編シーズン4の最後と繋がる物語となりますのでお楽しみに!
「ねえ、ジュリアさん!俺、あんたみたいな強い女性に初めて出会ったよ。どうすれば、そんなに強くなれるんだろうか?」と開口一番にスタンが聞いてきた。
「そうね・・・」エンハウンストであるとは言えないため、彼女は説明に困っていた。
「まずは身体強化よ!そして実戦での訓練てとこかな?」とそれを察したソフィアが代わりに答えてくれたのだった。
「実戦か・・・ それはどんな実戦なんだろうか?」
「拳闘、剣技、槍も弓も使うわよ。そして、その経験をあのEBSでも実演するってことかな。」
すると「EBSってあのロボットのこと? それでもそんな風に戦えるのか?」
「そうだ。」
「驚いたな・・・あなたを師匠として仰いでもいいだろうか?」とスタンは真剣な表情でお願いしているのだ。
「師匠!?」と言ってジュリアは笑っている。
「私は厳しいから、まずはその口調じゃダメね!」と言うと、
「あっ はい、わかりました、師匠! これからはあなたを師匠として話します。」
「まあ、考えておくわ!」
「それはそうと、この中で1番魔法が使えるのはどなた?」とソフィアが聞いたきた。
「私になるでしょうか?」と他のメンバーの顔を伺いながらフリーダが答えた。
「なぜなら赤魔導師なので支援魔法と強化魔法、そして普通に黒魔法も使えます。」
「もし治癒魔法であれば、エルフのアリエルでしょうか。」
「その、赤魔法とか黒魔法とかってどんなものなのかしら?」
そして、フリーダは丁寧に魔法体型を説明し始めた。
「なるほどね〜 人によって得意な魔法体系があるわけね!?」
「ところで、姫の場合は??」
「私ですか!? ジュリアさんと同じように剣技の方ですね。一般的な黒魔法も使えますが。
私も是非、ジュリアさんの剣技を拝見したいです!」とスタンがそれほどまでに言う同じ剣姫に興味津々のようだ。
「ジュリア、明日にでもスタンを訓練してあげて、その時に姫にもお見せすれば!?」
「…」
「師匠! 是非、宜しくお願いいたします!」とスタンも先ほどと違い言葉使いが丁寧になっていた。
「わかった!!この案はいかが?」といきなりソフィアが言い出した。
「フリーダさんとアリエルさんは、私チームね! ぜひ魔法を教えてもらいたいのと、その代わりに私の国の科学を教えてあげるわ。そして、姫、スタン、そしてそこの体格がいい方 ジュリアチームっていうのはいかが?」
「はあ、俺はダミアンです。ジュリアさんがあまりにも強かったので少し緊張していました・・・」と頭を掻いた。
「じゃ、明日以降の話はまとまったということで、これから私の国の街を案内いたしましょうか?」と姫が言い出したのだ。
「それは、いいですね!! この国は安全なのかしら?」とソフィアが聞くと、その意味を察した姫は、
「私も隣におりますので、アーマーなしで差し支えありませんよ!」と返答した。
「わかったわ!」
「では、まずはお二人にお使い頂く部屋にご案内いたしますね。」
「ここは良さそうね!どお、ジュリア?」
「そうね!それに凄く驚いたんだけど魔法の国って本当にあったのね? この惑星に外部から魔素を含んだ隕石か何かが大昔に落下したのかしら・・・」
「とにかくこの機会に私、魔法をマスターしたいの! それと科学的にも解明したいわ!」といつになく興奮している。
「わかったわ! とりあえず私は何があるかわからないからアーマーのままロングソードは持っていくわ。ソフィアは?」
「私はもそうするわ。クライングエンジェル(ソフィア用のハンドガン)のレーザー仕様も持っていくわね。」
しばらくすると、フリーダが現れた。
「仲間を代表して女性の私がご案内しますね!」と言いながら嬉しそうな表情をしている。
「あら、フリーダさんね、宜しくお願いしますね!」とソフィアが言うと、3人で御者がいる馬車に乗り込んだ。
「この世界って馬車なのね!?」とジュリアが驚いているようだ。
「そうなのです。この世界では馬車が一般的なのです。驚きましたか?」
「そうね・・・私たちの世界ではかなり過去のものね。でも風情があっていいんじゃない!」
と3人は王都の繁華街に向かっていった。
アデリナ姫の別邸は離宮であるため城壁内の外れに位置していた。馬車から見える風景は緑の野原から住宅地に変わって行き人通りも賑やかになっていった。
「へえー、街並みもファッションも私達の世界の中世ヨーロッパにそっくりね!」とジュリアが言うと、
「どちらかと言うとドイツ・オーストリアって感じなのかしらね。」とソフィアも同感のようだ。
「ここから王都の中心部になります。あれが王宮で、こっちがマーケットプレイスで色々な店が並んでいますよ。」
「ねえ、フリーダ、この国の美味しい食べ物って?」ジュリアもお腹が空いてきたようだ。
「ええと、ここでは私は串焼きが大好きですね!種類はいろいろありますよ!」
「串焼きね!私らの世界でもあるわ。じゅあ、それ食べましょうよ!」
「そうですね。もう昼なのでお腹が空いてきましたよね!?」
3人は馬車を降りて、露天が並ぶ屋台に向かって歩き出した。
「これですよ!これ!! 美味しそうでしょ!!?」
「やっぱりこの世界でもお金ってあるわけ?」
「えっ、ありますよ!そうですね、お二人は来られたばかりだから持っていませんよね!?失礼しました。 どれがいいですか??」
3人は大きな串焼きを2本づつ両手に取り美味しそうにかぶりついている。
「へえー、これ美味しいわね!! そう、私達の世界ではリアルミートはなかなか食べられないのよ。」
「えっ、そうなんですか?? 肉がないんですか?」
「そうね!大きな世界戦争が起こって人類もほとんど滅びたんだけど、家畜もなかなか手に入りにくくなってしまったの。それでベジミートができたのよ。」
「そうなんですか・・・ベジミート??」
しばらく食べ歩きをしていると、
「あっ、この先にとんがり屋根の建物が見えますよね? 時計塔がある。」
「ええ、あれね!」
「あれは私達の魔法科学院大学なんです。」と嬉しそうであった。
「行ってみますか?」
「いいわね。久しぶりに学生気分になれて楽しいかもね」
そして、3人は、フリーダの大学に向かって歩いていった。




