第35話
魔法世界に冒険者として生きる孤児であり主人公スタンリー・ケンプ。
そこに生きる人々の様々な些細な行動がまるでバタフライ・イフェクトのように世界を変えていく。
この物語のテーマとなる『ストレンジアトラクター』とは、難しくいうと・・・
カオス理論の研究の中で発見された奇妙な挙動を示す微分方程式の状態の総称のこと。
つまり動的システムが時間とともに発展する際に、予測不可能 で複雑なパターンを形成する現象を指すのです。
そんな泡沫の世界で生きるスタンリー・ケンプ
彼の目を通してその冒険譚を進めていきたいと思います。
また本編である『光と陰ー織りなす夢の形』のスピン・オフとして、本編シーズン4の最後と繋がる物語となりますのでお楽しみに!
早速、スタン達はアデリナ姫にその件を相談したのだった。
「そうね!それも重要ね。でも、私はこの件が落ち着いたら、当初の予定のアルメリア諸国連盟盟主のレオン王国に表敬訪問しなければならないからね〜 本当に宇宙海賊の再来があるなら、国家間の連携を取り協力できる体制作りが急務なのよね・・・
わかった! 私は護衛をつけてフライングソーサーで手短に行ってくるわ! その間、あなた達はアリエルも誘って魔動機で先に行って情報を仕入れておいて欲しいわ! 終わったらすぐに合流しましょう!」
ということになったのであった。
アデリナ姫が出発した後、スタン、ダミアン、ヘンドリック、フリーダそしてアリエルも加わり、魔動機にてバハマート帝国への諜報活動に出かけた。
「しかし、この魔動機って、毎回言ってるけど馬車とは違ってほんと乗り心地いいよな〜 どうだい、アリエル姫??」
「そうですね!でも、姫はやめてください!」
「しかし、エルフの神樹の森ってどこにあるですか?」とヘンドリックには馴染みがないようだ。
「そうですね・・・エルフの決まりで場所は明かせないのです。ごめんなさい。行く時には私がご案内いたしますね。」
「いつも、私が操縦しているんだけど、またにはヘンドリックもして欲しいわ!」フリーダが言うと、
「あっ、ごめんごめん!操縦好きなのかと思っていたよ。」と操縦を代わった。
「それはそうと、バハマート帝国って魔獣を飼って魔人やらを擁護しているんだろ??」とスタンが話を変えた。
「俺はこの前のネクロマンサーが初めてだったんだけど、他にも魔獣を召喚できる召喚師なんかもいるんだって聞いたぞ??」
「でも、とにかく魔獣を多く使役している魔導師が多いと聞いてたけど、それって 実はもしかしたら魔人のことかもね。」と魔法の専門家のフリーダが答えた。
というような会話で盛り上がっているうちに、すでに一行は国境を越えバハマート領に入っていた。
「どうやら魔獣とやらが出てきてもおかしくない土地になってきましたね。バハマートの土地は魔素を多く含んでいるんですよ。と言っても通常魔獣はダンジョンの中にいるのが普通ですけどね。」とヘンドリックが彼なりの注意喚起をしたのだった。
「それはそうと通行証は持ってきたよね?」とスタンが今更ながらフリーダに確認した。
「もちろんよ!ないと捕まっちゃうからね。」
「そうそう、俺たちには偵察ともう一つ姫からのオーダーがあるんだった。」とスタンが明かした。
「何、それ?? 聞いてないけど!?」
「 宇宙海賊に対応するために王国が誇る宇宙船を建造することになっているんだけど、その素材に必要なオリハルコンが不足しているらしいんだ。過去に採取した備蓄だけだと造れないから、今回のダンジョン探検で取ってきてくれって言ってたよ。」
「ダンジョンでオリハルコンをどうやって取るんだよ?」とダミアンも知らないらしい。
「そうだな、俺は子供の頃よくダンジョンに入っていたからわかるんだけど、たいていはダンジョンの最下層で1番強いラスボスと言われる魔獣がいる付近の魔素が濃い壁に含まれているんだよね。」
「まじ!? じゃラスボスを倒さなきゃならないのか??」
「そう言うことだね!」
「ちょっとまった! アリエルってスキルはなんなんだ??」とダミアンが不安になったようだ。
「そうですねー 治癒魔法と補助魔法ですかね・・・それとエルフなので風魔法も。」
「なるほど。じゃフリーダの後ろで後衛だな。 今の俺たちのパーティーは姫がいないから、俺とスタンが前衛、
そしてヘンドリックとフリーダがミッドフィルダーでアリエルが後方支援だな。」
「そして、この国で一番近いダンジョンがアルババの遺跡だからもうすぐ着くよ!」とスタンはなぜかお気軽であった。
「着いたな!ここか!! なんか久々にゲームぽくてワクワクしてきたぜ! オリハルコンゲット作戦だな!」とダミアンも単純に気合が入ってきたようだ。
「私はダンジョンっていうものが初めてなんだけど、一体 どんな魔獣がいるの??」とフリーダは逆に緊張気味である。
「ここは10階層まであるから、もちろん最後の階層にはラスボスがいるんだけど、ダンジョンによって魔獣の種類が違うんだ。だから入ってみないとわからないだけどくれぐれも無理しないように! まずは手始めに5階層ぐらいまでいってみようか??」
そして一行はアルババ遺跡ダンジョンに入っていった。
「へえー 遺跡っていうだけあって、みたことねえ なんか不気味な雰囲気だな!」
そこは蟲たちのダンジョンであった。まず出迎えてくれたのが、ジャンアントアントだ。その群れをクリアするとお次は悍ましい様相のジャンアントリーチが洞窟から多数落ちてきた。
「これ、やばいな!気持ちわり〜ぞ!!」とダミアンが鳥肌を立てながら斬りまくっている。
更にその先を進んでいくと今度はジャイアントスパイダーが行く手を阻んだのだった。
「このスパイダーは今までより強者だぞ!!みんな気をつけろよ!!」ダンジョン上級者のスタンも構えに気合が入っている。まずはスパイダーウェブの粘着攻撃をうまく避ける必要があった。
フリーダが防御魔法をシールドのように張りながら、一瞬防御を切った瞬間にヘンドリックが魔法矢で射って動きを緩和させた。そして、まずは瞬発性が高いスタンが双剣で斬り込みジャイアントスパイダーの足を斬り取った。
そこへ、1番パワーがあるダミアンがアックスを振り下ろしスパイダーの頭を切り落としたのだった。
「やったな!ダミアン!!いい連携攻撃だったよ!!」と皆が褒めている。
「まあな、お前ばかりにいいとこ取りされると癪に触るからな!!」と言ってやっと笑顔になった。
「いつの間にか、もう9層に到達しちゃったね。」とヘンドリックがはたと気が付いたのだった。
「ということは…この下は最下層の10層になるわね!!」
「じゃ、行っちゃおうぜ!!あと1階じゃねえか!」
「わかったわ。いきましょう!」と言い暗くなった洞窟内をさらに下っていった。
最後のラスボスはジャンアントマンティスであった。自然界でも大カマキリはスズメバチをも喰らうアルティメイトキラーである。両手の大鎌と鋭い下顎の攻撃は死を意味した。そして、このラスボスはなんと鎌が4本もあるのだ。
スタンにとっても、この大きなジャイアントマンティスは初のモンスターなのだ。
「こいつ、大きさの割には動きが早いんだ。まずは弓と魔法で弱らせたいな。」
「わかったわ!ヘンドリックやりましょう!!」




