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『光と陰ースピンオフ冒険譚』: ストレンジアトラクター『いざ魔法世界へ!』  作者: 三海怜


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29/40

第29話

魔法世界に冒険者として生きる孤児であり主人公スタンリー・ケンプ。

そこに生きる人々の様々な些細な行動がまるでバタフライ・イフェクトのように世界を変えていく。


この物語のテーマとなる『ストレンジアトラクター』とは、難しくいうと・・・

カオス理論の研究の中で発見された奇妙な挙動を示す微分方程式の状態の総称のこと。


つまり動的システムが時間とともに発展する際に、予測不可能 で複雑なパターンを形成する現象を指すのです。


そんな泡沫の世界で生きるスタンリー・ケンプ

彼の目を通してその冒険譚を進めていきたいと思います。


また本編である『光と陰ー織りなす夢の形』のスピン・オフとして、本編シーズン4の最後と繋がる物語となりますのでお楽しみに!

「わかったわ!私もこれから宇宙海賊達からの国防でアルメリア諸国連盟の盟主とは関係を築かないといけないとは思っていたから、まあいい機会ね!」ということでなんとダミアンの案が採択されたのだった。


そして、新たに発足した占星術師らの研究グループからは暫く宇宙に固定されていた宇宙海賊のものと思われる大きな母艦の影が消えたとの報告も入った。


と言う成り行きで、姫の十字軍プリンセス・クルーセイドと言うパーティー名を冠して姫と4人はレオン王国へ向けて出発したのであった。

本当はフライングソーサーで行けばすぐに到着するわけなのだが。姫のたっての要望として『この機会に是非ブリンデンブルクの王都の外も見てみたい』との視察も兼ねた、それも新開発の『魔動車』ならぬ『魔動機』での陸上移動となったのだ。

魔動機とは、魔法で動く車輪がない自動車といえばわかりやすいであろう。


「この魔動機って乗り心地がいいねー 今までの馬車に比べるとほんと天と地の差があるよな!まさに極楽極楽!!」とダミアンは気に入っているようだ。


その仕組みを説明すると、

魔動機のハンドリングパネルに行き先を刻印するとその動線に従って自動運転されるデバイスとなっており、制動の仕組みはまるで我々の世界でいうリニアモーターカーのようである。魔法により地球の重力をキャンセルし機体が浮いた状態となる。それがそもそものデフォルト状態なのだ。そこにフライングソーサーのように行きたい方向に移動魔法を掛けることにより慣性の法則によって前進するのだが、魔導師が媒介するのは操縦桿コントロールスティックでありマニュアル運転も可能となる。自動運転にする場合はパネルに刻印した動線と連動すればいいわけだ。


魔力量は微々たるもので済むため、一行は冒険を楽しむためにフリーダとヘンドリックを操縦士としてマニュアル運転にて出発したのだった。


形状はタイヤが無いため空気抵抗も考えてウェッジフォルムであり、跳ね上げ式の左右のドアから車内に乗り込む。シートは航空機のビジネスクラスのようにリクライニングできる席が前後に3つづつあるため6人乗りなのだ。ガラス張りのパッセンジャーシート後方には1席分ぐらいのカーゴルームもある。

ボディカラーはこれも試作品のためミスリルカラーで色が太陽光で若干変化するシルバーカラーであった。


まあ、メカに関する細かい説明はここまでにしておいて、スタンとしては学園生活始まって以来の自由な冒険であり、姫と一緒の冒険のため内心は盛り上がっていたのだ。

前席3席にはコントロールスティックを握るフリーダを中心に右にヘンドリック、左にスタン、そして後席には真ん中空けて右にアデリナ姫、左にダミアンが座っている。


「私、あなた方とパーティー組めてよかったわ!でないと今頃親衛隊や護衛に守られた生活が続いていたでしょうね!」と姫が開放感のためかぼろっと本音を言ってしまったのだった。

「やっぱり、姫という待遇は窮屈なのですね!?」とフリーダが相槌を打つと、

「それはそうよ!!あれはあれで大変なのよ〜!たまには息抜きしないとね。」といつもと違った初めて見る気さくな姫に変わっていた。


「俺は一国の王女だからってこともあるし、美しい剣姫だし絶大な人気を誇る先輩だから、絶対縁はねえと思ってたんだけど、こうして同じ車の隣に座っているって不思議な気分になるぜ!」とダミアンも嬉しそうに言っている。

「姫!俺たち4人と一緒の時だけでいいんだけど、もっと仲間ぽく話しても差し支えないかな?」

「ええ、この仲間内だったらいいわよ!特別に許してあげるわ。」と口調もカジュアルになりやっぱりくだけている。


「ねえ、みんな!今回の経路なんだけど、丁度バハマート帝国とアルメリア諸侯連盟と我が国の領土が交わる村があってね、そこを視察してから宇宙海賊が植民しようとした跡地を見てレオン王国に入ろうと思ってるのよ。 フリーダにはその経路ですでにインプットしてもらってるけどね。」と姫が言った。

ヘンドリックが珍しく、「なぜ、そんなとこに行ってみたいんですか?」と純粋に聞いてきたのだった。


「その村には3カ国からの交易品が溢れているらしいの。それを確認してみたくてね。」

そして、窓からの眺めを見ながら、 

「今は緑の丘が連なっている風景だけど、これからどんどんサバンナになっていくわよ。で、提案なんだけど今夜はそこでキャンプをしましょう!それって楽しそうでしょ?」


「えっ、姫と同行なのにわざわざキャンプなのか?俺はもちろん高級ホテルを期待してたんだけど・・・」

「まあ、俺は子供の頃はキャンプが普通だっから慣れてるんだけどキャンプも楽しいぜ!」とスタンはダミアンと違って楽しみのようである。


「そうよね?スタン! 私も若い頃よく狩りに出てやったわよ! 焚き火で獲物を焼いて食べるの。そして夜空を眺めながら眠るのよ!」とアデリナが楽しそうにそのときの思い出を語り始めたのだった。

それを聞いていたスタンは『へえ、アデリナ姫って意外と普通で見た目と違って男の子みたいなところもあるんだな・・・』と驚いている。


暫くすると、姫が言ったように風景はサバンナに変わっていった。

猛獣が出てきても不思議ではない雰囲気だ。ゾウやキリン、インパラの群れなどの風景が流れていく。そして行商人がその中をキャラバンを組んでゆっくり旅しているのだ。


「そろそろ狩りの時間よ!フリーダここで停めて!」といきなり姫が言った。そこは湿地帯となっており、ワイルドボア(野生の猪)の群れが見えた。


「狩りだったら僕が勝つでしょう!」とヘンドリックが言うと、姫が「あら、そうかしら?私も弓を結構使えるのよ!」とやる気満々のようだ。「じゃゲームしましょう!2チームに分けるわよ! では、挑戦者のヘンドリックチームはフリーダとダミアンがサポートしてね。で、スタンは私をサポート!いいかしら?」


「姫の決定なんで誰も逆らえないでしょ!?」とダミアンが珍しく従順になっている。

5人はカーゴルームから武器を取ると、早速ゲームスタートとなったのだった。






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