第26話
魔法世界に冒険者として生きる孤児であり主人公スタンリー・ケンプ。
そこに生きる人々の様々な些細な行動がまるでバタフライ・イフェクトのように世界を変えていく。
この物語のテーマとなる『ストレンジアトラクター』とは、難しくいうと・・・
カオス理論の研究の中で発見された奇妙な挙動を示す微分方程式の状態の総称のこと。
つまり動的システムが時間とともに発展する際に、予測不可能 で複雑なパターンを形成する現象を指すのです。
そんな泡沫の世界で生きるスタンリー・ケンプ
彼の目を通してその冒険譚を進めていきたいと思います。
また本編である『光と陰ー織りなす夢の形』のスピン・オフとして、本編シーズン4の最後と繋がる物語となりますのでお楽しみに!
「ご機嫌だなー!!」ダミアンは槍を振り回し始めた。
そしてスタンも双剣を抜いてダミアンと模擬戦を始めていた。
「すごいな!! まるで自分自身が戦っているようだな!!」とスタンも感激のようである。
スタン機の動きは俊敏でダミアン機はパワーがみなぎるといった戦術スタイルに合わせた動作が可能になっているようだ。
そこに今度はアデリナ姫も加わり3人での模擬戦となった。
「ガン、ゴン、ビシュー、ジッジッツジ、ガン」と武器類がぶつかる音が鳴り響いている。
姫の大きめで頑丈なシールドがダミアンとスタンの攻撃を封じている。
そして封じながらのアックスでの攻撃のアーマーロードたる姿がとても美しいのだ。
姫愛用のダブルビットアックス(両刃長斧)も巨大になってはいるが忠実にWAS用に置き換えられていることもわかる。そもそもダミアンのアックス攻撃はパワーが強くそれを受けるだけでも防御パワーが必要であるが、それをシールドで受けつつもスタンの双剣での機敏な攻撃にダブルビットアックスで応戦している姿はまさに王国の守護神たる存在感がある。まさに攻防一体の構えなのだ。
フリーダとヘンドリックはポカンと口を開けて凄まじくぶつかる3体を眺めていたところ、
「はーい!! では、終わりー!!! 2人ともおりてー!!」と姫の掛け声がかかった。
3人は機体から降りて、フリーダのところに戻ってきた。
「すごいわねー!!」と感激しているフリーダに、「いやー、これなら、あんな海賊のロボットなんか一捻りだぜ!!」とダミアンが溢れんばかりの笑顔で感動していた。
「何か不具合はありましたか?」と姫が2人に聞くと、
「いや、今のところは全く不満はありませんね。あとは実際敵と戦ってみてどうかですね!」
「ただ、この機体はかなりの勢いで体力も魔力も消耗するんですよ。だから長時間の戦いには向きません。すでに懸けてある強化魔法が影響しているようです。だから他の魔導師と連携して30分以内で終わらせる必要があるのです。」
すると、ヘンドリックが、「僕とフリーダがフライングソーサーでビーム攻撃を浴びせるから、それでできるだけ敵の隙を作るようにするよ。だからその隙を突いて瞬殺して欲しいな。君たちならできるよ!」とコメントした。
「いいねー!!今から想像できるよ!俺たちいいパーティーだよな!! そうそう、姫!是非とも俺たちのパティーに入ってもらえませんか?」
「えっ、あなた達のパーティーですか・・・」姫はいきなりの提案で一瞬考え込んでいるようだ。
何故なら今までは必ず側近に囲まれており、今回の例外中の例外のプロジェクトの様に一般の学生達と何かを一緒に実行すること自体が初めての試みだったのだ。そのため過去に事例がない提案に対して彼女の思考が一瞬停止してしまったのだった。
『えっ、いいのかしら?? 兄からは私がリーダーでやってくれと言われているし・・・ということは今までに事例がなかったとしても、この件に関しては私マターになるわけだから・・・あくまでも私の管理下で私が主導していればいいんじゃないのかしら!?』という結論に到達したようだ。
「いいかもしれませんね!ただ、条件があります。」
「なんでしょうか?」フリーダが答えた。
「国王からの勅令を避けるために、私があなた方のパーティーのリーダーになることになりますが。」
すると、フリーダが、「もちろんです!姫を差し置いて誰がリーダーに成れましょうか!?」
「そりゃそうだぜ!」
と4人とも大歓迎であった。
「わかったわ!国を守るパーティーとしてみんなで頑張りましょう!!」
そうしてダミアンの一言でこともあろうに姫がパーティーに加わることになったのだった。
この時スタンは、『俺、やっぱり姫に憧れているんだな・・・またフリーダに対する好きとは違った感情が込み上げてくる。なんか、子供の頃に感じた、好きな女の子の前にでカッコつけたいみたいな気持ちが蘇ってきてしまったよな。』と実感した。『ダミアンは、トレド王国のテレサ姫が一推しみたいだし、俺は推しってことだっから姫の推しになってもいいんだろう!!』と自分で自分なりに納得したのだった。
そして闘技場を後に出ていく姫の後ろ姿をじっと眺めていた。
「よかったなー!! 俺の居合い抜きのような提案すごかっただろ!! なんとアデリナ姫が俺たちのパーティーリーダーだぜ!!1年先輩だし、強いし美しいし!なんといっても国が俺たちの背後にあるってことになるぜ!!」とダミアンが勢いを増し悦に行っていた。
「これはすごいことだよ!通常だったら、パーティーって冒険者なんだから、国からの依頼でクエストを受けていくわけだけど、これで『宇宙海賊討伐』っていうビックな国家プロジェクトが僕たちのクエストになったわけだね!!」と、普段はあまり動じない冷静沈着なヘンドリックも感激のあまり動揺しているように見えた。
スタンも「俺も強い奴は好きだから姫と一緒に戦うのが楽しみだよ。」と姫に対する熱い気持ちは抑えて彼らに同意してみせたのであった。
「ただ、何かあるとまずいから私たちは粗相がないようにしないとね!私らのせいで姫が傷を負ったとかしたら厳罰が降るかもよ!」とフリーダは喜びと共に今後の彼らの行動を戒めている。
そして、翌日から、姫も交えたロボット戦を想定した訓練が始まったのだった。
3機のWASとフライングソーサーとの連携攻撃がメインテーマである。
お読み頂き有難うございます!
お陰様でリタイアしてめでたく1年が経ちました!!
準備も整ってきましたので、今週から投稿日を増やして火・木・土曜日の3日間にしていきます。
引き続き宜しくお願い致します!!!




