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26話 メリーのお話
みんなが寝静まった真夜中。私はスリーピィを抱きしめながら、遠い記憶となったのメリーの事を思い出します。
羊のメリーは霧夜からとても離れた北欧の島国、フィエーランドに住んでいました――いいえ、飼われていたと言った方が正しいのでしょう。フィエーランドは自然が豊かで春には紫色の花が咲き乱れ、
冬にはオーロラが夜空を彩る、まるでおとぎ話に出てくる様な綺麗な国でした。
その中でメリーは誰もが恋をし、渇望する美しい顔立ちを持ち、主からは花の様に愛でられていました。メリーはいじわるな王様と出会うまで、そんな生活を疑う事は全くしませんでした。
だけども私、いちごは今なら、彼女の事を可愛そうと思えるのです。
私の足は沢山の道を踏んできて、口はいろんな甘いお菓子を食べてきました。目は歓楽街のまばゆい光を覚え、耳はいじわるで優しい言葉をいっぱい聞きました。全部、柵の中にいた羊の彼女はなんにも知らない事ばかりです。
叶うなら、貴方に教えてあげたいなと、いちごは考えます。
おやすみメリー。私は貴方の知らない夜の中で、親愛なる貴方を想います。




