最終試験
「おいおい。まさかジェネットが……」
「ほえ~。信じられないんだなぁ……」
悠斗の戦いを観戦していたナンバーズの面々は戦慄していた。
まさかナンバー【04】の称号を与えられたジャレットが、こうもアッサリと戦いに敗れるとは思ってもいなかった。
もちろん格下だと思って、悠斗のことを侮っていたジャレットは、全力を出し切れていなかった部分もあるのだろう。
だがしかし。
そのことを差し引いても悠斗が秘めたポテンシャルが規格外であることは、疑いようのないことであった。
(この男……以前に戦った時と比べて明らかに成長している……!)
実のところ、悠斗の勝利を予想していたのは、受付嬢のエミリアだけではなかった。
観客席の最上階から試合の様子を眺める、中性的な雰囲気の男もまた悠斗の勝利を予想していた1人であった。
男の名前は、アーク・シュヴァルツ。
500年前に超人的な活躍を以て魔王軍を打ち破った伝説の英雄である。
人類史上最強とも評されることのあるアークは、以前に《岩山の洞窟》で悠斗と1対1の戦闘を行ったことがあったのだ。
「コノエ・ユート」
声をかけられたので振り返る。
そこにいたのは、最上階の観客席から忽然と姿を消して、何時の間にか近くに佇んでいたアークの姿であった。
「ついてこい。お前が本当に組織に相応しいのか、最終試験をしてやろう」
「最終試験だと……?」
「そうだ。これからお前をオレたちのボスに会わせる。全ての判断はそれからだ」
「…………」
アークの言葉を聞いた悠斗は、げんなりとした顔を浮かべていた。
なんだか面倒なことになってしまった。
そもそも悠斗は、別にナンバーズに入りたくて、この地下施設を訪れたわけではないのだ。
元を正せば、悠斗がこのアジトを訪れた理由が、可愛い女の子と仲良くなれたらというスケベ心を発揮しただけに過ぎないのだった。
だがしかし。
正直に打ち明けたところで、すんなりと目の前の男がそれを許してくれるとは思えない。
(仕方ない……。乗りかかった船だからな)
アークが『ボス』と慕う人物に会えば、今まで知らなかった、この世界に関する重要な情報を手に入れることができるかもしれない。
前向きに意識を切り替えることにした悠斗は、アークに導かれるまま地下闘技場を後にするのだった。




