地下闘技場
それから。
ナンバー【04】の男、ジャレット・ジャクソンから予想外の決闘を申し込まれることになった悠斗は、アジトの奥深くにある地下闘技場を訪れていた。
(知らなかった。まさか王都の地下深くにこんな施設が隠されていたなんて……)
現在、目の前にある『地下闘技場』という場所は、見渡す限り、500メートル四方はありそうなほどの広大なエリアであった。
何を目的として作られた施設なのかは、今のところ全く見当が付かない。
ただ、少なくとも、この場所が数百年という年月をかけて作られた施設だということだけは確かなようであった。
「おおー。相手さんは気合十分って感じだな」
地下闘技場の西側から現れたのは、今回の決闘相手であるナンバー【04】の男、ジャレットである。
改めて相手を観察すると、ジャレットの持つ、ビジュアル系バンドのようなヘアースタイルと、清潔に整えられた白色の調理服は、非情にインパクトのある外見をしていた。
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一方、こちらは地下闘技場の外側に作られた観客席の中である。
3階建ての特殊な構造をした観客席の最前列の席には、ナンバーズのメンバーたちが集まっていた。
「ねえねえ。皆。この勝負、どちらが勝つと思う?」
膝の上にのせたノートパソコンをカタカタと打ちながら、何気なく呟いたのはルーシーである。
観客席に集まった他メンバーたちは、それぞれ思い思いに勝負の予想を口にすることになった。
「流石にジャレットさんが有利なんじゃないでしょうか」
「ほえ~! 当然の予想なんだな~」
ナンバー【09】のユミの意見にナンバー【10】のビヨンドが同意する。
メンバーに与えられる数字は、個々の『実績』『能力の重要度』『戦闘能力』等を元に決定される。
数字が低い方は絶対に勝つ、というわけではないが、暫定8位の悠斗が、4位のジャレットに勝利するのは、普通に考えれば不可能なことのように思えた。
「……私はユートさんが勝つと思います」
観客席の端にいたエミリアがポツリとエミリアはそう零す。
「……エミリア。珍しいね。キミが自分の意見を口にするなんてさ」
それぞれが特異な境遇を持ったナンバーズの中にあってエミリアは、誰もその素性を知らないミステリアスな存在であった。
ナンバー【02】の称号を与えられていることから、彼女の力が組織にとって必要不可欠なものだということだけは確かなのだが、未だに彼女の能力はその全容が謎のままであった。
「ねえねえ。エミリア。もしかしてキミ、彼のことを何か知っているのかい?」
受付嬢として誰よりも近くで悠斗の活躍を目の当たりにしていたエミリアだからこそ分かる。
悠斗の実力はナンバー【04】のジャレットと比べても、決して見劣りしないものだろう。
「うふふ。内緒です♡」
だがしかし。
今そのことを明かしても興が冷めるというものだろう。
そう考えたエミリアは、悪戯っぽく笑ってミステリアスに言葉を濁すのであった。




