第98話 ダルセニア王国への侵入方法は……
その間にリカが肩当てもつけた状態で、手のガード、脚のガードなどもつけた後、試着室から出てきた。
「どうだ、リカ」
「革鎧はぴったりです。あと、肩当ては腕も普通に動きますが、違和感があるので慣れるしかないと。この手のガードですが、こんなものがあったとは知りませんでした。これなら、手の甲をカバーするだけなので、罠の解除などには問題なさそうです。脚のカバーは問題ありません」
「ふむ。じゃあ、そのまま少し待て。オヤジさんに見てもらうから」
はい、とバウの調整を見ていた。
一応、バウは終わったな。すごくいいと嬉しそうだ。
次はパトリオットだな。
身体が大きいので、オヤジさんが見比べている。そして奥へ入って行った。
そして、両腕で持って来たのは、大きなプレートメイルだった。これはバウのものよりも少し厚みがある。だが、余分なところはそぎ落としているので、重さ的には問 題ないらしい。
「これは。すばらしいですね。この形が身体に余裕を与えるのでしょうか」
「さすがだな。その通りだ。これがあるから熱もこもりにくい。だから体力も温存できる。お前さん、高ランクだろ?」
「とりあえず、引退という形は取っていますがSSランクです」
「やはりな。うちでも余り出ないサイズだが、役に立ちそうだな。違和感はないか?」
「問題ないと思うが、どうかな」
オヤジさんは、あちらこちらを確認してる。腕を上げろ、背中を倒せ、胸を張れ、などといろいろチェックしてもらい、全く問題ないと判断された。
やはりパトリオットの判断は間違いない。SSランクはお飾りではないということか。
じゃあ、と最後にリカの所に行き、チェックしている。うん、問題ないと呟いた。
「あと、必要なものはあるか? リカ、ここの服とか下着類はいいものだぞ。靴も確認しろ」
はい、と靴を見てるが、先日買ったので大丈夫そうだな。洋服を見ているが、下着類は買ってなかったので、放っておこう。バウとパトリオットにも、戦う時の洋服や下着類、靴などを確認するように伝えた。
「タケル様。私たちは先に空間に戻ってもよいですか?」
「ああ、悪い。待たせてるな。いいぞ、ここで開いてやるから戻れ。ハク、風呂に入れよ。すっごく汚いぞ」
あはは、と笑いながら開いた空間から、身体を小さくして戻っていった。
俺の側に残ったのは、ニジだけだな。店が狭いから、辛かっただろうに。
全てを揃えてそれぞれ、防具類を入れる布袋に買ったものを入れてもらった。
すぐに三人には、戻って風呂に入れといえば、ギルドに行ってから戻るそうだ。そうだよ、終わりの手続きしなくちゃな。
じゃあ、と頭を下げる皆を送り出した。
「悪い、大人数で押しかけて」
「いや、問題ない。だが、いいやつら連れてるな、お前」
「まあ、仲間にしてほしいと言ってくれたからな。ありがたいよ、ホント」
「以前いた女だが、別の主の奴隷になったんだろ? あそこももう終わりだろうな」
え?……どうやらパーティが上手くいってないらしい。俺が見放した時点でナナは終わりだとオヤジさんは言った。
ひとり、ふたりとパーティーを辞めているらしい。まあ、それは予想通りだけど。
ナナにはオヤジさんは何も売らないそうだ。金を払わないらしいから。最後の金は、ギルドで依頼料から引いてもらったそうだ。
それほど落ちぶれたか。まあ、そんなことだと思ってた。でもタイミングを間違えれば、俺がその被害を受けていたってことだな。考えただけでも恐ろしい。
「まあ、俺もあいつに対しては信頼はなかった。ただ、同郷だからと受け取った『礼』だったんだよ。だが、成長はなかったな。だから追い出した。今のリカはよく働くぞ。料理スキルもあるから、手伝いもしてくれるしな。斥候としてもそこそこ動けるから問題ない。罠の解除はなかなかレベルが高いと思う」
「ふむ。それならよかった。まあ、よく皆で依頼に出かけてるらしいから、強くなるだろう。で、どこか行くのか?」
「ああ、ちょっとな。少し時間がかかるだろうけど、知り合いと俺の遺恨を晴らしにいく。その国内のダンジョンを全部潰してやろうと思ってる。まあ、楽しんでくるよ。で、いくらだ?」
「あはは、お前はほんとに。だが、遺恨をもつのは身体によくない。ちゃんとはらしてこいよ。かなり沢山になったがいいか?」
「問題ない。世話になってるんだし、信頼している。遠慮なく請求してくれ。今日、盗賊のお宝を整理したから多少は金持ちだぞ」
「ガハハハ~お前は本当に太っ腹だな。じゃあ、遠慮なく。ダンジョンのお宝があったら言ってくれよ」
「今もかなり持ってるけど、魔剣はかなり高額なんだ。鑑定すれば、一般には売れないくらいだな」
「そうか、白金貨もんか」
「まあ、それ以上だな。だから温存してる。そのうち、何処かでほしいやつがいるかと思ってな」
「なるほどな。それほどのものは俺も買えない。じゃあ、とりあえず、今日の分を頼むよ。ええと、明細はこれだ。合計で、大金貨六枚と金貨八枚銀貨七枚だな」
「じゃあ、これ。大金貨七枚で。釣りはいらないから」
「いいのか?」
手間賃だよといい、戻ったらまた見てもらいにくるからとその場から空間に戻った。
戻ってみれば、皆が大騒ぎで風呂に入ってるらしい。ニジも行くかと言えば、俺と入るって。まあ、身体が小さいから、もみくちゃになるだろうしな。
リカは、既に風呂から上がったんだろう、ラスの手伝いをしているね。セバスも今日の分を洗濯してるな。魔物の血が付いてたからか。ありがたいことだよ、毎日大変だよ。なにか褒美をやらないと、と思うんだけど、何がいいかなぁ。ちょっと考えてみるか……
「オカエリナサマセ、ゴシュジンサマ」
「ただいま。ご苦労だね」
セバスをねぎらい、奥に向かう。
俺が手伝うことあるか? と問えば、もうすぐできるらしい。じゃあ、いらないか……
風呂に入る時間はあるかと問えば、どうぞ~と聞こえたので、ニジと一緒に風呂に入ることにした。
寝室で服を脱ぐ俺と風呂に湯を張りに行ったニジ。
脱衣所でパンツを脱げば、そろそろ湯が入るかな。じゃあ、今日は先に洗おうか。先に、沢山の泡でニジを洗ってやる。つるんと滑って落ちるんだけど、それが楽しいらしい。何度も何度も、つるんつるんだ。
綺麗になったニジは先に風呂に飛び込んだ。そしてぷかぷか浮いてるな。じゃあ、俺も洗おうか。
そこそこ伸びた髪の毛を、きれいに洗いタオルで巻いて風呂に入る。ふぅ~と息を吐けば、ニジが側に寄ってきた。
「あるじぃ~、あしちゃ、しゅぱつぅ~?」
「その予定だけど、お昼過ぎくらいでいいかと思ってる。どうせなら国境門の手前に転移して、そこでハクに馬車を引いてもらおうと思ってるんだ。それなら夕方くらいには王都に入れるだろうからね」
ダルセニア王国の王都は、手前に王都門があるんだが、王都の回りもかなりの街だ。ただ、街道が綺麗に延びているので、中央商人ギルドまではそれほどかからないらしい。街道も、ちゃんと馬車と人は別の通りを進むらしい。まあ、前世のような感じだと思う。
だから、商人ギルドで高級な宿を紹介してもらおうと思ってる。
皆も一緒に泊まるんだぞ、と言えばニジは興味深そうだ。
セバスとブルーは空間にいることになると伝える。朝になったら、ブルーには活躍してもらいたいし。
楽しみだ~とニジはお湯を含んで口から飛ばし、進んでいる。これはすごいな、と楽しくなってきたが、それほどゆっくりはしていられないな。
ひとつ懸念事項としては、ハクとアレックスは空間で寝泊まりすると言いそうだ。まあ、宿の部屋の中は狭いから、それはそれでいいと思う。それなら宿泊を取らなくていいか? いや、食事に行くときが困るか。まあ、いいだろう。多分、俺の部屋に従魔も一緒ということになるだろうし。寝るときだけ、空間に戻ればいいんだから。
風呂から上がって、ドライを始める。
ニジはテーブルの上に置いたタオルの上をころころ転がってる。俺の回りは優しい風が吹いてるけど。その時、連絡するのを忘れてた、と思い出す。ここで連絡しておかないと絶対にまずいと思う。間違いなく拗ねるから。
「クロノス、俺だ」
『主タケルよ。どうしたのだ?』
「多分、明日の昼頃から出かける。ダルセニア王国へ向かうんだ」
そう言い、事の顛末を話してやる。
『なんと、タケルを狙ったのだな。うぬぬ、気に入らぬ。いくら世界一の大国というても、やっていいことと悪いことがあるぞ。今は、まだ、そこにおるのか?』
「ああ、多分、明日の昼から出かけるかと思ってるんだけど」
『ふむ。では、我も戻ろう。タケルの命を狙った国など滅ぼせばよいのだ』
「あはは、滅ぼさなくてもいいけど、魔術師会の魔法使いたちや、企んだ貴族、国王とは話しをしないとならないとは思ってる。だが、俺は彼の国の全ダンジョンを滅するつもりだ。リッチに教えてもらったんだよ、核をとったあと、祭壇を破壊すれば、一週間ほどで迷宮は崩壊するらしい。だからそれをやる。核を取ると宣言しようかと思ってるくらいだけどな」
『それは面白い。ならば、我がいた方が良いではないか。冒険者たちと我らで分けるつもりであろう? ならば、簡単なダンジョンならば、冒険者たちに任せてもよいであろう。我が共に行ってもよいぞ。だが、ランクSにタケルが入るならば、中は我と二人でよかろう』
「まあ、そうだな。じゃあ、分け方を変えるか。冒険者たちとニジ、フィーリア、ブルーならそこそこ行けると思う。祭壇を壊すにしても、ニジがいた方がいい。あとは、ハクとアレックスで中級だな。俺とクロノスはランクSを潰していこうか。数もそこそこありそうだし」
『それがよかろう。途中で無理なものたちは空間に戻すがよい。そうでないと、死人が出るぞ』
「そうだな。それなら、ハクとアレックスも含めて中級クラスから行ってもいいか。EランクやDランクは後でどうにでもなる。残しても問題ないだろうしな。うん、その方がいいか。ランクCから俺たち以外が入ればいい。できればランクBくらいまでやってもらえるとありがたいけどな」
『うむ。それがよいであろう。我らはランクSとAであるな。それなら多少楽しめそうだ』
そうだな、と念話を終えた。
そうだ、聞くの忘れたな。明日の午前中戻るのかな。
まあ、到着したら連絡もあるだろうし、いいかな。
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【あとがき】
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