第97話 エリクサーはおっそろしく金になると再認識した
「それと、ですが。宰相殿からお知らせいただいたのですが、エリクサーがほしいそうです。他国からも問い合わせが来ているようですね。ヤマト様がボルック国におられるという情報が各国に聞こえているようでして。なんとかならないかと連絡があったようです」
なるほどね、どこでバレるんだろう。まあ、情報ギルドというのもあると聞いたから仕方ないのかな。
「ラス、前はいくらで売ったっけ?」
「一本、白金貨二百五十枚でしたね。各国に販売した金額はもっと高額でしたが」
「ええ? そうなんだ。いくらで売ったの?」
「……もういいでしょうね。一本白金貨三百枚でしたよ」
あきれちゃうね。
それほどの金になるのか、エリクサーは。
「それでですね、よろしければ、謁見をと申されておりましたが、いかがされますか?」
「うーん、でもなぁ。俺たちも少しの間出かけようと思ってるんだ。だから、時間がない。今日、今からなら何とかなるかな、ラス」
「そうですね、長い時間は無理でしょう。謁見と言うわけにもいきません。貴族たちや騎士たちも話しは聞かせられませんね」
だよね~
じゃあ、聞いてみようか。
「宰相、タケルだよ。元気かな」
『タケル様! 大変ご無沙汰しております。今、どちらに?』
「商人ギルドで話しを聞いたんだけど、余り時間はないんだよね。どうする? 貴族やら近衛やらがいるところでは話せないよ」
『左様ですね。お時間はいかがですか?』
すぐにならいいよ、と伝えれば、今から頼むと言われちゃったぞ。
仕方なく引き受けた。
謁見の間に転移するからと話して通信を終えた。
「じゃあ、精算していただけますか? あ、野菜、あたらしいの入ってないですか。昨日は残り物だったようで」
「申し訳ございません、朝、入っておりますので、見ていただけますか?」
「じゃあ、ラス、フィーリアと一緒に野菜を見てくれる? アレックスも同行して」
了解、と聞こえて、フィーリアの背に乗るサイズに小さくなって結界を張ったぞ、アレックス。
じゃあ、とラスがフィーリアたちと出ていった。
セバスはここで待ってますが。
「では、こちらは見積もり分でございます。あと、こちらがポーションの分でございます。お確かめください」
うん、と鑑定して見れば、しっかり全額入ってましたね。
受け取りにサインして、終わりですよ。カードに現金を入れられませんか? と聞かれたんだけど、この国以外で代理のものがいっても買い物できないだろうから「考えておくよ」と立ち上がった。
階段を降りれば、ラスがあれこれ選んでいるようだね。
どうしたのかな、と向かえば、数の問題らしい。何やってんだよ、ほんと。
「どうした、何があった?」
「タケル様。全て買うのはダメだそうです。今日はもう入荷しないので」
「まあ、それはそうかもしれないけど、残るよりはいいんじゃないの? 昨日は残りものばかりだったしね」
そう言いながら、全ての野菜を確認する。ふむ、どうやら昨日のものはないみたいだね。
でも、ダメだというなら、放っておけばいいと言った。どこかで農村によればいいしね。
そういえば、「わかりました」とすねちゃった。
じゃあ、乳製品ですね、と切り替え早いね、ラス。
乳製品売り場ヘ行って、確認すれば、あたらしい入荷があったらしい。
じゃあ、と担当者を見れば、すぐに入れ替わったよ、会頭の側にいる男性と。
じゃあ遠慮なく。
ミルクを鑑定して、今日の入荷なので問題ないと、小瓶を二百本欲しいといってみたが、百本しかなかった。大瓶も同じ数だけ買うことにして、果実水を木箱で五箱。あとは、チーズやバターなどを箱単位で各十箱ずつ買いましょう。
おはぎや饅頭なども今日できあがったものだったので、それも箱買いですよ。それぞれ百個ほど確保しました。あとは? と問うてみれば、ケーキらしいよ、ニジは。
じゃあ、どれにするかなぁ、と見ていれば、ニジが指さしてゆくので、それを各五ホールずつにした。というか、それしかなかったんだけどね。
じゃあ、それでいいと言うので、会計をしてもらう。
うん、大した金額じゃなかったね。荷物はストレージの中に入れて商人ギルドを出ました。
その後は、王宮へ行きますよ。
皆に俺に触れてと言い、全員がローブや手を握ったのを確認して、王宮の謁見の間へと転移した。
転移した俺たちに驚いたのか、近衛騎士たちが腰を抜かしたり剣をぬきかけたり様々な反応があったね。まあ、そりゃ驚くよなぁ。
「タケル様!」
「おう、待ってたの? まあ、いいけど。で、どこで話す?」
淡々とした宰相の態度に、近衛たちも落ち着いたみたいだから、まあいいか。
こちらへ、と促されて移動します。国王の執務室にある応接エリアでした。一応、探索したけど、変なマジックアイテムはなかったね。
「タケルよ、無理をいってすまぬな」
「問題ありません。それで本題ですが、本数と金額は?」
「それですが、おいくらくらいでしょうか」
一応、別の国には一本白金貨二百五十枚で売った。その国が他国に売ったのが白金貨三百枚だったらしいよと伝えた。
「なるほどな。では、その金額で売ってくれるか? タケル効果とでも言おうか、問い合わせが殺到しておるのだ」
「本数はどれくらい?」
自分たちが確保する分も含めて三百本らしい。
まあ、それでもまだかなりあるからなぁ。
「いいですよ。この後も、ダンジョンのある国に出かけるので、また集まるでしょうし。しばらく時間がかかるとは思いますが、また戻って来ますので」
「助かるぞ、タケル。くれぐれも気をつけるのだぞ。我が国は其方をいつでも受け入れる故な」
「あはは、ありがとうございます。では、どうすればいいですか?」
先に準備をしてきましょうと宰相が出て行った。
やっと入れるようになったのだろう、執事長がお茶をおいてくれる。それぞれには飲み物とケーキですね。チラチラとセバスを見ていますが、全く気にしていない彼は、淡々とフィーリアたちのお世話をしてますよ。
陛下も珍しそうに見てるんだけど。
「タケル。その侍従はゴーレムなのか?」
「まあ、そうですね。金属製のゴーレムです。とても優秀で助かってます」
「それは……作らせたのか?」
「いえ、買いました。というか、彼の価値を知らぬ貴族のバカ息子が市井の道具屋に売りに来たそうです。本来の価値も知らずに。まあ、俺はとてもいい侍従を手に入れましたが」
あ、国王が無言になっちゃったぞ。まあ、セバスはただ者じゃないよね、確かに。
「ふむ。なるほどな。どこの国のものだ?」
「ダルゼニア王国の錬金術の街ボンバージで作られたものです。あちらには魔道錬成師という者がいるそうで、その中に作者もいます」
すばらしい、と楽しそうだな。
「しょれなら、あるじぃ~もまど、れんちぇいち、れしょ? ぶるー、ちゅくったち。まじっく、あいちぇむ、つくるしょ~」
「あはは、だが、専門家じゃないからな。まあ、そんな感じのもの、くらいだよ」
ええ~、と全員が首を振る。
まあ、その辺にしておいてよ。何か仕事が増えそうだし。
「お待たせしました」
宰相は二人の男性が押すワゴンと一緒に現れたぞ。
「ふむ。では、タケル。確認してくれるか」
はい、と鑑定して見れば、白金貨七万五千枚ありましたね。あはは、これはどうするかな。金ばっかり集まっても仕方がないんだけどね。
まあ、とりあえず、次はダルセニア王国に向かうと話しておいた。全てのダンジョンを巡って攻略すると言えば、かなりの時間がかかるでしょう、と宰相がいった。
まあ、中層からは魔法で一気に進むから、大丈夫だと話しておいた。
じゃあね、と皆を連れて、ヒラリの店に転移した。
「申し訳ございません、店主はまだ戻っておりません。いかがいたしましょうか」
「ああ、そうでしたね。隣国の王都まで行かれているとか。じゃあ、俺たちも少しの間、他国へ向かうからとお伝えください。戻ったらまたお会いしたいですと」
かしこまりました、と声を聞き、再び歩き出す。
本当にのんびりムードだ。
『主、依頼は終わったのだが、リカの防具が壊れた。バウのもそろそろ壊れそうなんだけど』
「怪我がないならいいけど。じゃあ、ギルドの側にあるドワーフの店の前で待ち合わせだね。俺たちもすぐに行くから」
了解、と転移するらしい。
じゃあ、俺たちも転移するかな。
皆が俺に触れたのを確認して、一気にドワーフの店の前に降り立つ。すぐにハクたちもやってきた。
「うわぁ、きったないね」と、浄化して回復した。
「ありがとうございます、タケル様。リカの防具がボロボロで」
「あはは、これじゃだめだよ。ごめん、気づいてなかった。じゃあ、店に入ろうか」
「こんにちは~」
「おう、タケル。どうした大勢で」
「ちょっと見てほしいんだけどね、この子はリカ。うちの斥候なんだが、防具がもうだめなんだよ。あと、こっちのバウも。二人とも新しくしたいんだけど、いいのはない?」
「ありゃ~。リカだったか、それは捨てるしかない。あと、バウか。お前のもすぐにだめになるな。だが、そっちの兄さん、あんたのも、あまり保たないぞ」
え? とパトリオットが防具を見てる。
「じゃあ、いっそ新しいのにしようか。うちのメンバーだから盗賊討伐のお宝っていうのも気分がわるい。いいのある?」
「そうだな、じゃあ、リカ。革鎧がいいのか?」
コクコク頷いてるぞ、リカ。
「そうか。それなら、今のより丈夫で少し厚みのあるものがいいな。それと肩当てがあった方がいい。斥候だからこそ、だな。あとは、手首から手のひらをおおうもの。脚をガードするものがいい。これ、あっちで着てみろ」
それらを試着室へ置かれたリカは、俺を見るので頷けば嬉しそうに中に入った。
次はバウ。
同じ様なものがいいのかと問えば、どんなものでも動きやすくて丈夫なものがいいと言う。どんなだよ、と笑ってしまった。
じゃあ、とオヤジさんが出してきたのはプレートメイルだった。あれ、ミスリルだよな。いい感じだ。あまり重苦しくなく、だが、しっかりと急所は守ってくれそうだ。
その場で身につけたバウは、腕を動かしたり、脇の筋肉を動かしたりしている。
少し、このあたりが引っかかるんだが、と言えば、その場ですぐに調整してくれた。ミスリルを削って角度をつけたんだ。このドワーフ、すごい実力だと感心するしかない。
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【あとがき】
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