第93話 俺はリハビリ期間に突入だ~
ゆっくりと目を開ければ、隣りにはニジがいる。そしてフィーリアとブルー、小さくなったアレックス、小さいハク。そして、パトリオットとバウ。ラスとリカもいた。ドアの前ではセバスが心配そうにみている。
「おはよう。ごめん、寝てた」
「あるじぃ~」
ニジに泣かれてしまった。大粒の涙を見て泣くんだな、スライムって。なんて思ってる俺はどうなんだよ!
「主。全能神様より連絡があった。半月は大人しくするんだよ。全て、私たちに任せてね」
「うん。お願いね。じいちゃんが言ってた、半月だけだって。でも、頑張りすぎだって釘を刺された。だからメシ食って寝る生活になるかもしれないけど、ごめんな」
心配するな、と皆がそう言ってくれる。
「タケル様。御食事は運びますか?」
「どうだろう。ちょっと立ってみるよ」
バウの手を借りて身体を起こしてみる。うん、なんとか起きられそうだ。ベッドから脚を下ろして立ち上がろうとしてみるが、なんとも心許ない。バウの身体に抱えられるようにダイニングに向かった。
椅子に腰を下ろしてふうと息を吐く。
すると、ラスが食事をならべてくれる。聞けば皆、もう食べたらしい。
俺の欲しかったものがわかるのか、クリームパスタがあった。それも長いパスタ。かなり嬉しいよ~
そして、鱒のソテー、野菜サラダ、ポテトサラダ、そして白米、肉野菜炒め、角煮肉じゃが。あとは豆腐の味噌汁だ。
本当にありがたいよ、これ。
「いただきます。うーん、旨いね~嬉しい、ありがとうね。でさ、ブルーの事は聞いた?」
「聞きましたよ。魔物の数や種類も。おっそろしい数でしたね。それを魔法なしで倒したと聞いて驚きました。攻撃スキルも使えなかったのでしょう? さすが、タケル様です」
はずかしいぞ、バウ。
「で、そっちはどうなんだよ。パトリオットとバウ、リカはどう? 依頼受けてたんだろ?」
「はい。予定の許す限り、アレックスかハクに頼んで一緒に行きました。概ね、二人一緒に来てくれました。その間のラスの護衛はフィーリアとニジが請け負ってくれましたので」
ふむ。これ、最強じゃないか? とパトリオットに言えば、恐ろしいくらいだと笑った。
「リカはどう? これからも、うちでやれそうか?」
「はい! というか、やらせてもらいたいです。ですが、良いのでしょうか?」
「問題ない。だけど、うちは冒険者だけの仕事じゃないぞ。ハクやアレックスだって、木を切って持ち帰って乾燥したりカットしたり。なんでもやってくれる。リカにはラスの作る料理を手伝ってもらいたい。スキルあるからね。それでいいか?」
「もちろんです。それくらいのことは当然です!」
「あはは、わかった。皆もそれでいいかな?」
大きく頷いてくれたので、ひと安心だ。
さて、ブルーのことだけど……
「あるじぃ~、ニジはぶるぅにのっちぇいい? こうげち、しゅるのにちゃすかるよ~」
「それは俺も思った。ブルー、いいか?」
「モチロンデゴザイマス、アルジ。ニジドノハ、ワタシガノセテイキマショウ」
「よし、決まりだね。じゃあ、簡単なお使いくらいならできるかな。最初にラスが顔合わせしてくれればいいでしょ。フィーリアはラスの護衛でいい? 戦いの時は別だけど」
「はい。それならば、ギルドにいったり商店に行ったりと動けます。時間が許せば、ニジとブルーも一緒に行けばよいでしょう」
「それ、いいな。俺はしばらく動けない。食って寝る、それが仕事だからね。元気になったら少し組み合わせを変更するかも。出かける必要があるからね」
詳しいことは元気になったら話すよ、と伝えて食事を続けた。
皆は風呂に入るといってしまった。
その場に残ったのは、パトリオットとバウ、リカ、ラスだ。当然、セバスは控えてるし、ブルーは俺の隣りにいる。
「タケル様。ブルーはミスリルですか?」
「そう。戦うからね。魔法も馴染みにくいから、後で便利だろ」
「なるほど。ですが、かなりの大きさですね」
「うん。俺が計算間違いしてね。寝る場所を作ったんだけど、少し小さかった」
寝る場所? と期待にワクワクしてるな、これは。
「ふん、ダンジョン、らからできる、ことらけろ……」
「バウ、タケル様の食事が終わるまで待つことはできませんか?」
「す、すみません!」
あはは、ラスに叱られてんの。ありがたいよ、ラス。気遣いが嬉しいな。
じゃあ、先に風呂に入ってくるとバウ、パトリオットは外風呂に向かう。そう、緑の風呂だ。どうやら気に入ったらしい。リカは皆が使う風呂に向かった。
セバスは、飲み物が減ると、新しいものを出してくれる。今の俺は水一択だけどね。
それにしてもメシが旨い。
どんどん食えるんだけど、いいのかな。
でも、ここにあるもの全てを食えば、大丈夫そうだね。このポテサラは絶品だ。おそらく、ラスの味だろうね。
メモが差し出されたので確認すれば、どうやら豆腐などの食材らしい。この世界には売ってないからね、しかたがない。
後でだすからと伝えて、最後まで食事をした。
はぁ、と甘いケーキが出されて、再びテンションが上がる。うれしいなぁ、と思っていればセバスがいい香りの紅茶を入れてくれた。
そうだ、と俺の寝室にマットを出すからとブルーの寝床の話しをした。ニジも一緒にねるから、二人一緒の方がいいだろう。
ケーキを完食したあと、紅茶を飲み干し、メモを確認しながら、いろいろ取り出して行く。豆腐、ちくわ、かまぼこ、辛子明太子、調理用の魚介類などなど。それを片っ端からラスがアイテムボックスへ入れて行くのだ。
これがあれば、食生活が充実するんだ。
惣菜も出してみた。白和えとか煮物とか。そうすれば、ラスが研究して再現してくれるからね。
あとは、何が必要?
氷ができるものはありませんかと問われて、ホームセンターをみる。プロ用のエリアを除けば、あったよ、製氷機。
小さい店舗用で幅も小さめだったけど、問題ないでしょうよ。キッチンの一部に製氷機を取り出した。魔道具だから魔力で動きますが、水は必要です。なんで生活魔法が使えんの? 少し疑問に思っていますが、これをやり直すとなると、術式やらなんやらを組み込むのかな。うーん、最初から作る方が楽かな。じゃあ、とりあえず水道の魔道具から水を分けて繋ぎましょうか。
あれ? ここ、水の魔道具つけられるようになってるな。じゃあ、とりあえずつけてみるか? どっちが楽かなぁ。水の魔道具あったっけ? あはは、あったよ。盗賊さんに感謝~
どこに置くかと問えば、中央の調理台にならべてほしいというので、設置しました。もちろん、魔道具もつけたよ。
水の魔道具を発動させて、製氷機に魔力をためる。
よし、完了。
少し待ってもらうことにした。明日にはできてると思うよ、でもね、音がするんだ、と氷が落ちる時のガラガラという音を話しておく。特にセバスにね。驚くと大変でしょ。
じゃあ、とりあえず寝室で休むからと伝えて立ち上がる。すぐ側に、ブルーがやってきて頭に手を置けといってくれる。ありがたいね、とブルーの首の辺りを持って移動する。ニジがブルーの頭に乗って一緒に移動しています。
皆風呂から出てないので、ベッドで横になろう。
みんなと話したいと思っていたのに……目を覚ましたのは朝だった。
隣でベッドの上を転がっているのはニジだよ。ブルーはマットの上で、コロンと転がってた。あはは、翼が広がってるぞ、かなりリラックスしてるみたい。ここは安全だからね。
ゆっくりと起き上がるけど、何とかなった。トイレだけいって、再びベッドへ。
もう一度寝ちゃったみたいで、目を覚ましたのはセバスがワゴンを押して朝食を持って来てくれたからだ。
ベッドに座ったままワゴンの上にある朝食を食べる。
ラスの気遣いだろう、白米にだし巻き卵、マカロニサラダ、味噌汁、こんにゃくの煮物、味付け海苔。
本当に旨いよ、日本の旅館のような朝ご飯。魚があれば一級品だね。
炊飯ジャーごと、ご飯もあるので、味付け海苔を堪能する。旨すぎるよな、味付け海苔。最高だぜ!
だし巻きも上手に巻いてある。こんにゃくも美味しいね。料理本を数冊翻訳してあるので、それをみて研究してるみたいだ。
ご飯のお代わりは、セバスがちゃんとよそってくれるから問題ないんだよ。
セバスによると、冒険者三人とハク、アレックスはギルドに依頼を見に行ったらしい。いい依頼があれば受けると聞いた。ラスとフィーリア、ニジ、ブルーは街を散策して、どういう店があるか、何がどれくらいの値段なのか、などをチェックするらしい。
どうやら、ハクから聞いたじいちゃんの商売という言葉を聞いて、リアルで何が売れているのかをみるらしい。うん、皆、勉強家だね。
俺の寝室は、ドアを開いたままにしておくって。今朝も、俺が寝ている間に、皆がやってきて、挨拶して出かけて行ったと言う。嬉しい事だね、かなり恥ずかしいけどさ。
朝食を終えて、温かい日本茶を出してもらい、柏餅を食べてる俺。
セバスはなにするの? と問えば、掃除と洗濯をしてから本を読むそうだ。俺の昼食は、保温魔道具にきちんと用意されてるんだって。スープは温めればいいし、大丈夫だといってくれた。
昼過ぎて、時間を見て起こしてくれるって。本当にうちの皆は良いやつばかりだ。
お茶を飲み干した俺は、セバスに支えてもらい、トイレに向かう。要介護状態だぞ、俺。
戻ってすぐにベッドに横たわった。もちろん、寝ちゃいましたよね~
そんな風に日常を過ごし、十日を過ぎた頃、肉中心の生活に戻った。
角煮や煮込みだけじゃなくて、ステーキや焼き肉も食うことができる様になった。欲してると身体が訴えてる気がしたんだ。
すると、グンと元気になった気がする。
でも、まだ、昼寝はするよ。
少しずつ魔法を使い、半月後には、全く問題なく使えるように復活した。蒼竜刀も蒼伴刀も、気にせず振ってみたくて、ギルドの鍛錬場を借りて、パトリオットとバウと打ち合った。
十分くらいは身体慣らしをして、その後剣を交える。デカい二人が俺との打ち合いで後ろに下がるくらいには体調は戻った。
じゃあ、魔法を使ってみようかなと街を出た。
********************
【あとがき】
ここまで読んでいただき、ありがとうございます!
面白いと思ったら、★評価やフォローで応援お願いします。 皆さんの評価とフォローが、タケルの魔力になります!




